シソやバジルの葉に、不規則な穴があいている。近づくと、小さなバッタが2匹重なって跳んで逃げる。
これがオンブバッタです。名前のとおり、小さいほうが大きいほうの背中に乗っています。
この記事では、オンブバッタの見分け方と生活の流れ、そして家庭菜園でできる対策をまとめます。害虫全体の見分け方は家庭菜園の害虫図鑑を参照してください。
オンブバッタとは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Atractomorpha lata |
| 分類 | バッタ目オンブバッタ科 |
| 大きさ | 雄25mm、雌42mm内外 |
| 発生時期 | 5〜10月ごろ |
| 好む植物 | シソ科(シソ・バジル・ミント)、キク科 |
農研機構の資料では、成虫の大きさを「雄25mm、雌42mm内外」としています。オスとメスで倍近い差があるのが、この虫の特徴です。
なぜ「おんぶ」しているのか
背中に乗っているのはオスです。体が小さいオスが、大きなメスの上に乗っています。
これは交尾のあと、ほかのオスが近づかないようにメスを確保している行動とされています。かわいらしい姿に見えますが、2匹まとめて葉を食べている状態でもあります。

被害の特徴
オンブバッタの食べ跡には、はっきりした特徴があります。
| 見るところ | 特徴 |
|---|---|
| 穴の形 | 不規則。 葉の縁からも中央からも食べる |
| 出る場所 | やわらかい若い葉が狙われやすい |
| 幼苗 | 茎まで食べられて枯れることがある |
| 虫の姿 | 近づくと跳んで逃げる。 糞は葉の上に残る |
アオムシの食べ跡と紛らわしいのですが、オンブバッタは食べながら移動します。 1枚を集中して食べるより、あちこちに穴が散るのが見分けのポイントです。
幼虫と成虫で被害が変わる
春から初夏に出る幼虫は小さく、開ける穴も小さいものです。 見逃しやすい代わりに、この時期に減らせれば夏の被害は軽くなります。
問題は、夏以降の成虫です。 体が大きくなるぶん食べる量も増え、1匹でも葉が目立って欠けます。しかも、この時期の成虫は産卵を控えています。 見つけたときの1匹は、翌年の数十匹につながります。
探すときのこつ
- 朝のうちに見る(気温が低いと動きが鈍い)
- 葉の裏と株元を見る(表にいるとは限らない)
- 食べ跡の新しい葉の周辺を探す(近くにいることが多い)
- 糞(黒い小さな粒)が落ちている葉の上を疑う
シソの育て方はベランダでシソを育てる方法にまとめています。シソは特に好まれるので、毎年同じ場所で作ると被害が続きます。
食べ跡が似ている虫との見分け
葉に穴があいていても、犯人は別のこともあります。残された跡と、そこにいる虫の有無で切り分けます。
| 犯人 | 食べ跡の特徴 | 見つかる場所 |
|---|---|---|
| アオムシ | 葉の縁から大きくかじる。緑の糞が残る | 葉裏に静止している |
| ヨトウムシ | 夜に葉を食べ、昼は姿がない | 昼は土の中に潜る |
| ナメクジ | 穴のまわりに光る粘液の跡 | 鉢底や石の下 |
| ダンゴムシ | 地際のやわらかい部分をかじる | 落ち葉の下 |
昼に探しても虫が見つからないなら、夜行性の相手を疑ってください。 夜に懐中電灯で見に行くと正体が分かります。ヨトウムシの対処はヨトウムシ対策にまとめています。
粘液の跡があれば、虫ではなく軟体動物です。 対策がまったく変わるので、ここは先に切り分けておく価値があります。
ショウリョウバッタとの違い
庭で見かける緑色のバッタには、よく似た種類がいます。
| オンブバッタ | ショウリョウバッタ | |
|---|---|---|
| 大きさ | 雄25mm・雌42mm内外 | さらに大型(雌は80mm前後になる) |
| 好む植物 | シソ科・キク科など | イネ科が中心 |
| 顔つき | 頭がとがる | 頭が細長くとがる |
| 菜園での害 | 葉物・ハーブに直接被害 | 被害は比較的少ない |
イネ科を好むバッタは、野菜への被害が相対的に小さくなります。 逆にオンブバッタは、家庭菜園で育てる葉物やハーブを真っ先に狙います。同じ「バッタ」でも、対応の優先度が違うと考えてください。
発生の流れ
オンブバッタは年1回の発生で、卵のまま冬を越します。
| 時期 | 状態 |
|---|---|
| 秋 | 成虫が土の中に卵塊で産卵する |
| 冬 | 卵のまま越冬 |
| 5月ごろ | 幼虫が現れる(成虫に似た姿) |
| 夏 | 脱皮を繰り返しながら食害を続ける |
| 8月ごろ | 羽化して成虫になり、再び産卵する |
ここに対策の急所があります。 卵は土の中にあるので、秋に成虫を放置すると、翌年の発生源をその場に残すことになります。

対策
防虫ネットで入れない
もっとも確実なのは、そもそも寄せ付けないことです。
- 苗のうちからネットをかける
- バッタは跳んで入るので、裾をしっかり土で押さえる
- 目合いの細かいものを選ぶ
ネットの選び方と張り方は防虫ネットの使い方にまとめています。
防虫ネットは、目合いと幅で選びます。畝やプランターの周囲を覆える幅があるか、裾を押さえる余裕があるかを確認してください。
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見つけたら捕まえる
数が少ないうちは、手で捕まえるのが早くて確実です。
- 朝の涼しい時間は動きが鈍く、捕まえやすい
- 2匹重なっている個体は、まとめて捕まえられる
- 跳ぶ方向に先回りせず、上から静かにかぶせる
周りの草を刈る
菜園の周囲の雑草が、発生源になります。 特にイネ科以外の広葉の雑草は、オンブバッタの餌場です。畝の周りだけでも刈っておくと、飛び込んでくる数が減ります。
農薬に頼らない害虫対策全般は農薬を使わない家庭菜園の害虫対策を参照してください。
捕まえるだけなら柄の短い網が扱いやすくなります。プランターの間に差し込める細めのものだと、株を傷めずにすみます。
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秋の始末
卵で冬を越すということは、秋の始末がそのまま来年の発生数になります。
収穫が終わったら、株を残さず片付けます。 成虫が居着いたまま秋を越すと、その土に卵が産み付けられます。プランターなら、冬の間に土を掘り返して天日に当てるのも有効です。
プランター・ベランダでの注意
「ベランダなら来ない」ということはありません。 オンブバッタは跳ねて移動し、飛ぶこともできます。シソやバジルを置いていれば、においを頼りに見つけられます。
| 場面 | 起きること | 対応 |
|---|---|---|
| 手すり際に置く | 外から直接飛び込む | 壁側へ寄せる |
| 鉢を寄せて並べる | 株から株へ歩いて移動 | 間隔をあけ、1鉢ずつ見る |
| ネットをかぶせるだけ | 裾から入られる | ひもや洗濯ばさみで裾を閉じる |
| 秋に土を放置 | 卵が残る | 土を掘り返し、天日に当てる |
プランターの利点は、1鉢ずつ持ち上げて全体を見られることです。 葉の裏、鉢の縁、株元。この3か所を順に見れば、たいてい見つかります。
ネットは「かぶせる」のではなく「閉じる」ものだと考えてください。裾が開いていると、地面を歩いて中に入られます。

よくある質問
Q. オンブバッタは放っておいても大丈夫ですか?
数が少なければ大きな被害にはなりませんが、シソやバジルなど好まれる植物では葉が穴だらけになります。幼苗では茎まで食べられて枯れることもあるため、苗のうちは特に注意してください。
Q. 2匹重なっているのは親子ですか?
親子ではありません。小さいほうがオス、大きいほうがメスです。交尾のあと、ほかのオスを近づけないためにオスがメスの上に留まっている行動とされています。
Q. どの野菜が狙われやすいですか?
シソ・バジル・ミントなどのシソ科と、キク科の野菜が好まれます。やわらかい若い葉から食べられるので、植え付け直後の苗がもっとも危険です。
Q. 薬剤を使わずに減らせますか?
減らせます。苗のうちから防虫ネットをかけ、見つけたら朝のうちに捕まえ、周囲の雑草を刈る。この3つで多くの場合は間に合います。

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まとめ
オンブバッタ対策の要点です。
見分け方
- 雄25mm・雌42mm内外。小さいオスがメスの背に乗る
- シソ科・キク科を好む。不規則な穴が散る
- ショウリョウバッタはイネ科中心で、被害は比較的小さい
生活の流れ
- 年1回の発生。卵で越冬し、5月ごろ幼虫、8月ごろ成虫
- 秋に土の中へ産卵する
対策
- 苗のうちから防虫ネット。 裾を押さえる
- 朝のうちに捕殺(重なった2匹はまとめて)
- 周囲の雑草を刈る/秋に株を片付ける
来年の数は、今年の秋に決まります。 収穫後の片付けまでが対策です。
参考