葉の表面に、白い曲線が走っている。まるで誰かが落書きをしたように、うねうねと伸びていく。
これは病気ではありません。ハモグリバエの幼虫が、葉の内側を食べながら進んだ跡です。その姿から「エカキムシ」とも呼ばれます。
この記事では、正体と種類、そして線を見つけたときに何をすればいいかをまとめます。葉の異変全体の見分け方は葉の異変サイン10種を参照してください。
白い線の正体
全国農村教育協会の資料では、被害をこう説明しています。
「幼虫が葉肉内を食入して絵描き状の被害痕を残す。成虫は吸汁や産卵のために葉表に点状の被害を残す。」
| 何が | どうする | 残る跡 |
|---|---|---|
| 幼虫 | 葉の内側(葉肉)を食べ進む | 白い曲線 |
| 成虫 | 吸汁と産卵のため葉表を刺す | 点状の小さな傷 |
線だけでなく「点」もこの虫の被害です。白い小さな点が葉一面に散っているときは、親である成虫がすでに来ていると考えてください。
大きさ
- 成虫は体長約2mm
- 幼虫はウジ状で、ナモグリバエでは葉内で約3mmになる
成虫は非常に小さく、飛んでいても気づきにくいのが厄介な点です。

似た症状との見分け
葉が白くなる症状は、ほかにもあります。「線」なのか「面」なのかで、まず切り分けます。
| 症状 | 見え方 | 原因 |
|---|---|---|
| 細い曲線が走る | うねる1本の線。 先端が太い | 幼虫が葉の内側を食べた跡 |
| 白い粉が広がる | 面で白くなる。 指で擦ると取れる | うどんこ病 |
| 細かい白点が散る | かすり状。葉裏に糸 | ハダニ |
| 点々と小さな傷 | 線ではなく点だけ | 成虫の吸汁・産卵 |
指で擦って取れるなら病気、取れずに葉の中にあるなら虫です。白い粉が面で広がる症状はうどんこ病の予防と対策を参照してください。
線と点が同時に見えるときは、世代が進んでいます。 成虫が産卵し、その幼虫がすでに中で育っている状態です。
主な種類
この虫は1種類ではありません。
| 種類 | 学名 |
|---|---|
| ナモグリバエ | Chromatomyia horticola |
| トマトハモグリバエ | Liriomyza sativae |
| マメハモグリバエ | L. trifolii |
| ナスハモグリバエ | L. bryoniae |
同資料によると、トマトハモグリバエは1999年以降に確認された侵入害虫とされています。近年になって増えた種類が含まれているため、昔からの経験だけでは読みにくい相手です。
蛹になる場所が対策を変える
対策は、「どこで蛹になるか」で変わります。
資料では、マメハモグリバエ等は土中で蛹となるとされています。葉の中で一生を終えるわけではなく、ある段階で葉から出て土に潜る種類があるということです。
だから、葉だけを見ていても終わりません。
- 葉の中にいる間は、被害葉ごと取れば止められる
- 土に潜られると、次の成虫が出てくるのを待つことになる
- マルチを敷いておくと、落ちた幼虫が土に潜りにくくなる
見つけたときの手順
- 白い線の「終着点」を探す
- その先端を指で潰す(まだ幼虫がいる場合がある)
- 数が多ければ、被害葉ごと取り除く
- 取った葉は袋に入れて畑の外へ
- 周囲に成虫の点状被害が広がっていないか確認する
線の途中を潰しても意味がありません。 幼虫は先端にいます。光に透かすと、黒い点として幼虫が見えることがあります。
どこまで取るかの目安
| 状態 | 対応 |
|---|---|
| 1枚に線が1〜2本 | 先端を潰すだけでよい |
| 1枚が線だらけ | その葉を取り除く |
| 株の下葉に集中 | 下葉を整理し、風通しを良くする |
| 新しい葉にも入り始めた | 予防(ネット・マルチ)に切り替える |
葉を取りすぎないことも大切です。 光合成する葉を減らしすぎると、株そのものが弱ります。被害が数枚なら、先端を潰すだけで十分です。

出やすい野菜と時期
種類によって、つく作物と出る時期が変わります。
| 時期 | 目立つ種類 | つきやすい野菜 |
|---|---|---|
| 春 | ナモグリバエ | エンドウ・そら豆などマメ科、葉物 |
| 晩春以降 | トマト・マメ・ナスの各ハモグリバエ | トマト・ナス・きゅうり、豆類 |
| 通年(施設) | 各種 | 葉物全般 |
マイナビ農業の解説では、春はナモグリバエの発生が目立ち、晩春以降は海外からの侵入種の発生が増えるとされています。
つまり、春と初夏で「相手が入れ替わる」ことになります。春にエンドウで線を見た人が、夏にトマトでまた見る。同じ虫とは限りません。
被害が株全体の何割かで判断してください。 下葉に数本の線があるだけなら、収穫への影響はほとんどありません。新しく出る葉にまで線が入り始めたら、対処の段階です。

放置するとどうなるか
1枚や2枚の線なら、収穫にはほとんど響きません。 問題は、そこで止まらない場合です。
| 進み方 | 株への影響 |
|---|---|
| 下葉に数本 | ほぼ影響なし |
| 葉の半分が白くなる | その葉は光合成できない |
| 株全体に広がる | 生育が鈍り、実つきが落ちる |
| 苗の段階で多発 | 葉数が足りず、そのまま育たない |
とくに苗のうちは、葉が数枚しかありません。 そのうち1枚が使えなくなる影響は、大きく育った株とは比べものになりません。苗のうちだけはネットで囲っておくのが、いちばん手間の少ない守り方です。
予防
同資料が挙げている防除方法は次のとおりです。
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 周辺雑草の除去 | 雑草が発生源になる |
| 防虫ネット利用 | 成虫の飛び込みを防ぐ |
| マルチ敷設 | 土に潜って蛹になるのを妨げる |
| 薬剤 | 幼虫発生初期に散布する |
成虫が2mmと小さいため、ネットは目合いの細かいものが必要です。 目合いの考え方は防虫ネットの使い方にまとめています。
成虫は数ミリと小さいため、目合いの細かいネットが要ります。数字が明記された製品を選んでください。
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成虫を早く知る
黄色の粘着トラップを畝に立てておくと、成虫が飛来した時点で気づけます。使い方は害虫粘着トラップの使い方を参照してください。
黄色に集まる性質を利用した道具なので、株の高さに合わせて立てるのがこつです。低すぎても高すぎても捕れません。
線が出てからでは、すでに葉の中に入られています。 トラップで成虫の飛来を捉えるほうが、一手早く動けます。春先からの予防は春の害虫初期防除にまとめています。
黄色の粘着トラップは、成虫の飛来を早く知るための道具です。株の高さに合わせて立てられるタイプが使いやすくなります。
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よくある質問
Q. 一度出たら毎年出ますか?
種類によっては土の中で蛹になるため、同じ場所で栽培を続けると発生が重なりやすくなります。収穫後に株と落ち葉を片付け、マルチを敷いておくと、次の世代が出にくくなります。
Q. 白い線が出た葉は食べられますか?
食べられます。線の部分は幼虫が食べた跡なので、その部分を取り除けば問題ありません。ただし見た目が悪く、被害が進むと葉全体が白っぽくなります。
Q. 線を見つけたら葉ごと取るべきですか?
被害が数枚なら、線の先端を指で潰すだけで十分です。葉を取りすぎると株が弱ります。線が多数走っている葉は、葉ごと取り除いて袋で持ち出してください。
Q. 農薬はいつ使えばいいですか?
幼虫発生初期とされています。線が伸びきってからでは、葉の中の幼虫に薬剤が届きにくくなります。使う場合は、育てている野菜に登録のあるものをラベルどおりに使ってください。
Q. マルチを敷くと効果がありますか?
種類によっては土の中で蛹になるため、マルチで土の表面を覆うと次の世代が出にくくなります。雑草を抑える効果もあるので、予防としては一石二鳥です。

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まとめ
この虫への対策の要点です。
正体
- 幼虫が葉肉内を食べた跡が白い線。 成虫は葉表に点状の傷
- 成虫は体長約2mm。ナモグリバエの幼虫は葉内で約3mm
種類
- ナモグリバエのほか、トマト・マメ・ナスの各ハモグリバエ
- トマトにつく種は1999年以降に確認された侵入害虫
対処
- 線の終着点を潰す。 途中を潰しても届かない
- 多ければ葉ごと取って袋で持ち出す
予防
- 周辺雑草の除去・防虫ネット・マルチ
- 薬剤は幼虫発生初期に
見つけたときに慌てて葉を落とさないでください。 株が持っている葉の数は、そのまま実をつける力です。落とすかどうかは、残る葉の枚数と相談して決めます。
白い線は、すでに入られたという合図です。 点状の傷のうちに気づけると、被害はぐっと小さくなります。
参考