葉に穴が開いているのに虫が見つからない。これはヨトウムシの典型的な被害です。

ヨトウムシは漢字で夜盗虫と書きます。名前のとおり、昼間は株元の土に潜って隠れ、夜になってから出てきて葉を食べます。昼に探しても見つからないのは当然なのです。

この記事では、姿を見なくても被害を特定する方法と、日中に捕まえる手順を解説します。害虫対策の全体像は農薬を使わない家庭菜園の害虫対策にまとめています。

ヨトウムシとは

ヨトウガ(夜盗蛾)の幼虫です。近縁のハスモンヨトウやシロイチモジヨトウも、家庭菜園では同じように扱います。

成長段階で行動が変わる

若齢(体長1cm以下) 葉裏に群れています。葉の表皮を残して裏側だけを食べるので、食べられた部分が白い薄膜のように透けて見えます。この段階なら葉ごと切り取れば済みます。

中齢〜老齢(体長2〜5cm) 分散して土に潜るようになります。夜だけ出てきて葉を食べ、日中は株元の浅い土の中で丸まっています。この段階から急に手強くなります。

老齢幼虫は1匹で1日に葉を数枚食べます。放置すると数日で株が丸裸になります。

発生時期

春(4〜6月)と秋(9〜11月)が2つのピークです。真夏は高温で活動が鈍り、涼しくなるとまた増えます。

秋の被害のほうが深刻になりやすいのは、越冬前に体を大きくするため食欲が旺盛になるからです。

Close-up of cabbage leaf showing translucent white patches where young cutworms have eaten only the

被害の見分け方

ヨトウムシの食害の特徴

  • 葉の中央に不規則な穴が開く(縁からではない)
  • 若齢期は白く透けた薄膜状の食べ跡
  • 進行すると葉脈だけを残して食べ尽くす
  • 株元に黒い粒状のフンが落ちている
  • 昼間に探しても虫がいない

フンが決め手です。 直径1〜3mmの黒い粒が株元や葉の上に落ちていたら、ヨトウムシがいます。フンが大きいほど幼虫も大きく、被害が進んでいます。

他の害虫との違い

害虫 食べ方 見つかる時間 見た目
ヨトウムシ 葉の中央に穴。葉脈を残す 夜のみ 灰褐色〜黒。丸まる
アオムシ 葉に穴。緑のフン 昼も葉の上 緑色。動きが遅い
ナメクジ 不規則な穴。粘液の跡 夜・雨天 粘液の光る跡
ダンゴムシ 地際の葉や芽 夜 丸まる甲殻類

粘液の跡があればナメクジです。区別はナメクジ徹底対策を参照してください。

緑色の虫が昼間に葉の上にいればアオムシで、こちらは見つけやすい害虫です。

葉の異変全般の見分け方は葉の異変サイン10種にまとめています。

Rows of small yellow egg clusters on the underside of a brassica leaf, held up to show the hidden lo

駆除の方法

方法1|株元を掘る(日中の基本)

最も確実です。 被害のある株の根元を、半径10cm・深さ3〜5cmほど手や移植ごてで掘ってください。

丸まった灰褐色の幼虫が出てきます。刺激すると丸くなるので、見つけやすい姿勢です。

掘る場所のコツ:新しいフンが落ちている真下です。ヨトウムシは食べた葉の近くに潜みます。

方法2|夜に見回る(確実だが手間)

日没後1〜2時間が活動のピークです。懐中電灯を持って葉の上を見ると、葉を食べている最中の個体を捕まえられます。

被害が深刻なら、2〜3晩続けてください。数が目に見えて減ります。

方法3|若齢のうちに葉ごと処分する

葉裏に群れている段階なら、その葉を切り取って処分するだけで済みます。

白く透けた食べ跡を見つけたら、葉裏を確認してください。数十匹が固まっていることがあります。1枚の葉を犠牲にするだけで、その世代を断てます。

方法4|米ぬかトラップ

ヨトウムシは米ぬかに集まります。

  1. 浅い容器に米ぬかを入れる
  2. 被害のある株の近くに、地面と同じ高さで埋める
  3. 翌朝、集まった幼虫を回収する

農薬を使わずに数を減らせる方法です。ダンゴムシやナメクジも一緒に捕れます。

スプレーは効きにくい

アブラムシと違い、ヨトウムシには牛乳スプレーや石けん水はほとんど効きません。体が大きく、体表も硬いためです。

手作りスプレーが有効なのは吸汁性の小さな害虫に対してで、食害性のイモムシには物理的な駆除が確実です。スプレーの使いどころは家庭で作れる無農薬スプレーを参照してください。

Gardener digging carefully around the base of a vegetable plant with a hand trowel, revealing a curl

予防が最も効く

卵の段階で潰す

ヨトウガは葉裏に卵を数十〜数百個まとめて産みます。表面は毛で覆われ、白っぽい綿のような塊に見えます。

これを見つけて潰せば、その数百匹の被害を丸ごと防げます。卵1つ潰すのは、幼虫を100匹捕まえるのと同じ効果です。

春と秋の発生期は、週に1回でいいので葉裏を確認してください。

防虫ネットをかける

成虫(蛾)に卵を産ませないのが根本的な対策です。

植え付けと同時にかけてください。 後からでは、中に卵や幼虫を閉じ込めることになります。

  • 目合いは1mm以下で十分(アブラムシほど細かくなくてよい)
  • 裾を土に埋めるかピンで固定する
  • ネットが葉に触れていると、その上から産卵されるので支柱で浮かせる

ネットの張り方はアブラムシ対策でも触れています。

株元を清潔にする

落ち葉や枯れ葉が積もっていると、日中の隠れ場所になります。株元は片付けておいてください。

マルチを敷いている場合、その下も潜み場所になります。被害が続くなら一度めくって確認してください。マルチの扱いはマルチシートの張り方と効果を参照してください。

天敵を活かす

カマキリ、クモ、鳥、寄生バチがヨトウムシを捕食します。殺虫剤を使わない菜園では、これらが自然に数を抑えてくれます。

呼び込む方法は益虫を呼ぶ家庭菜園にまとめています。

Fine mesh insect netting stretched over hooped supports above a vegetable bed, edges buried in soil,

被害を受けやすい野菜

野菜 時期 注意点
キャベツ・白菜 春・秋 結球内部に入られると手が出せない
ブロッコリー 秋 花蕾に潜り込む
小松菜・水菜 春・秋 生育が早いぶん被害も早い
ほうれん草 秋 若齢期の被害が多い
レタス 春・秋 結球前が狙われる
ナス・ピーマン 夏〜秋 実に穴を開けることも
大根・カブ 秋 葉を食べられて生育が止まる

アブラナ科が最も狙われます。 キャベツや白菜は結球が始まる前が勝負です。結球後に内部へ入られると、外から手が出せません。

よくある質問

Q. 昼間探しても虫が見つかりません。本当にヨトウムシですか?

その症状こそヨトウムシです。昼は株元の土に潜っています。新しい黒いフンが落ちていれば確定なので、その真下の土を深さ3〜5cm掘ってみてください。

Q. 牛乳スプレーは効きますか?

ほとんど効きません。牛乳スプレーは体が小さく柔らかいアブラムシやハダニに有効な方法で、体表の硬いイモムシには通用しません。手で取るか、米ぬかトラップを使ってください。

Q. 一度駆除したのにまた出てきます。

卵が残っているか、周囲から成虫が飛来しています。葉裏の卵塊を確認し、防虫ネットで産卵自体を防いでください。卵1つで数百匹が生まれるので、幼虫を追いかけるより卵を潰すほうが効率的です。

防虫ネットは目合いの数字が小さいほど細かい虫を通しません。ヨトウムシの成虫を防ぐなら1mm以下を選んでください。

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Q. 食べられた葉は元に戻りますか?

穴の開いた葉は再生しません。ただし成長点(新芽)が無事なら、新しい葉が出て株は回復します。逆に成長点をやられると、その株は終わりです。

Q. 収穫した野菜に混ざっていたら?

洗えば問題ありません。人体に害はないので、見つけて取り除けば食べられます。キャベツや白菜は、外葉を剥がして芯まで確認してください。

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まとめ

ヨトウムシ対策の要点を整理します。

見つけ方

  1. 葉の中央に不規則な穴、葉脈だけが残る
  2. 株元に黒い粒状のフンが落ちている(決め手)
  3. 昼間に探しても虫がいない

駆除

  • フンの真下の土を、深さ3〜5cm掘る(最も確実)
  • 白く透けた葉裏に群れていたら、葉ごと切り取る
  • 日没後1〜2時間に懐中電灯で見回る
  • 米ぬかトラップを埋めておく
  • スプレーは効かない。物理的に取る

予防

  • 葉裏の卵塊を潰す(1つで数百匹分の効果)
  • 防虫ネットを植え付けと同時にかける(目合い1mm以下、裾を固定)
  • 株元の落ち葉を片付ける

春と秋の発生期に、週1回だけ葉裏を見る習慣をつけてください。卵の段階で見つけられれば、その後の駆除はほとんど必要なくなります。

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