新しい畳を入れて1年ほどで、あの鮮やかな緑が黄色くなってきます。
これを「傷んだ」と受け取る人が多いのですが、劣化ではありません。 い草に含まれる色素が紫外線で変化する、自然な現象です。
とはいえ、日の当たる場所だけ色が変わる「ムラ」は防げます。 この記事では、なぜ変色するのかを押さえたうえで、対処と判断の基準を整理します。
畳の素材そのものについては和室の畳の種類と選び方にまとめています。
緑が黄色くなる仕組み
い草には2種類の色素が含まれています。
| 色素 | 色 | 性質 |
|---|---|---|
| クロロフィル(葉緑素) | 緑 | 紫外線に弱い。分解されやすい |
| カロテノイド | 黄 | 比較的安定 |
新しい畳が緑に見えるのは、クロロフィルの緑がカロテノイドの黄色を覆い隠しているためです。
紫外線を浴びるとクロロフィルは分解され、隠れていた黄色が現れます。 これが「畳が黄色くなる」正体です。
褐色に変わる理由
さらに時間が経つと、黄色から褐色〜飴色に変わります。
クロロフィルは分解の過程で、分子内のマグネシウムが水素に置き換わり、フェオフィチンという褐色の物質に変化します。これが全体の色をさらに深くします。
色の変化の時系列
| 時期 | 色 |
|---|---|
| 新品 | 鮮やかな緑 |
| 数か月 | やや落ち着いた緑 |
| 1〜2年 | 黄色みが出る(自然な変化) |
| 3〜5年 | 黄褐色 |
| 5年以上 | 飴色〜褐色 |
1〜2年で黄変が始まるのは正常です。 「早すぎる」わけではありません。
飴色の畳は、本来の姿として好まれることもあります。 落ち着いた色合いは、和室のインテリアとしてむしろ合わせやすくなります。

変色を遅らせる方法
完全には防げません。 光が当たる以上、クロロフィルは分解されます。目指すのは「遅らせる」ことと「ムラを防ぐ」ことです。
1|直射日光を遮る
最も効果があります。
| 方法 | 効果 |
|---|---|
| UVカットカーテン・レースカーテン | 高い。日常的に使える |
| 遮光カーテン | 高い(ただし部屋が暗くなる) |
| 障子 | 和紙が光を拡散し、直射を和らげる |
| UVカットフィルム(窓ガラス) | 高い。工事不要のものもある |
| すだれ・よしず(外側) | 高い(夏の暑さ対策も兼ねる) |
障子は、それ自体が優れたUV対策です。 障子をカーテンに替えた部屋では、畳の変色が早まります。
窓まわりの選択肢は和室の窓まわりコーディネートにまとめています。
2|換気しながら日を遮る
日中に窓を開けたいときは、レースカーテンか障子を閉めたままにしてください。
風は通しつつ、直射だけを避けられます。畳にとっては風通しも重要(カビ対策)なので、両立させる形が理想です。
湿気対策は和室の湿気・カビ対策を参照してください。
3|家具やラグの位置を動かす
部分的な色ムラを防ぐための対策です。
- 年に1〜2回、家具の位置を少し動かす
- ラグは季節ごとに敷き替えるか、たまに外す
- 座布団や座卓を置きっぱなしにしない
位置を変えなければ、その下だけが緑のまま残ります。 数年後に家具をどけたとき、はっきりした跡が現れます。
部分的な色ムラへの対処
家具・ラグの跡
畳全体は日焼けし、覆われていた部分だけが緑のままという状態です。
残念ながら、緑の部分を日焼けさせて揃えることはできません。 色を「戻す」ことはできても「進める」ことは実質的に不可能だからです。
対処
- 同じ位置にラグや家具を戻す(隠す)
- 裏返しか表替えをする(根本的な解決)
- 数年かけて自然に馴染むのを待つ
予防が唯一の有効策です。 定期的に位置を動かしてください。
窓際だけ色が違う
南向きの窓際は、部屋の奥より数倍の紫外線を受けます。
- カーテンや障子で遮る
- 窓際に家具やラグを置いて保護する(跡は残ります)
- 畳の位置を入れ替える(可能な場合)
半畳の置き畳なら、位置を入れ替えて日焼けを均一化できます。 置き畳の選び方は置き畳の選び方にまとめています。
黒い斑点・カビとの見分け
色ムラと病変は別です。
| 症状 | 原因 |
|---|---|
| 全体が均一に黄色い | 日焼け(正常) |
| 一部だけ緑が残る | 家具・ラグの跡 |
| 黒や緑の点々 | カビ(湿気) |
| 白い粉状のもの | カビ |
| 赤茶色のシミ | 水分・液体をこぼした跡 |
| 部分的に濃い変色 | 同上 |
カビは湿気の問題なので、日焼け対策とは別に対処が必要です。手順は和室の湿気・カビ対策を参照してください。


「戻す」ことはできるのか
基本的にできません。
分解されたクロロフィルは元に戻らないためです。ネット上で見かける「酢水で拭くと緑が戻る」といった方法は、汚れが落ちて明るく見えるだけで、色素そのものは戻りません。
やってはいけないこと
- 漂白剤を使う|い草が傷み、変色が悪化する
- 強くこする|表面の繊維が毛羽立つ
- 大量の水拭き|カビと変色の原因になる
- 着色スプレー|一時的で、ムラになる
できるのは「汚れを落とす」だけ
- 乾いた布で目に沿って拭く
- 掃除機を目に沿ってかける
- 汚れがひどい部分のみ、固く絞った布で拭き、すぐ乾拭き
水拭きは最小限に。 い草は水分を吸うため、変色とカビの両方を招きます。
裏返しと表替えの判断
色を戻す唯一の方法は、畳表を新しくすることです。
| 方法 | 内容 | 時期の目安 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 裏返し | 畳表を裏返して張り直す | 新調から3〜5年 | 約4,000円/畳 |
| 表替え | 畳表と畳縁を新品に交換 | 裏返しから4〜7年 | 約5,000〜20,000円/畳 |
| 新調 | 畳床ごとすべて交換 | 10〜15年 | 約10,000円〜/畳 |
※費用は地域・畳表の等級で大きく変わります。
裏返しができる条件
裏返しは1回しかできません。 畳表には裏表があり、裏面は未使用のまま残っています。
次の場合は裏返しできません。
- すでに裏返し済み
- 畳表が薄くなっている・擦り切れている
- シミが裏まで達している
- カビが内部まで入っている
- 和紙畳・樹脂畳(裏面がない製品が多い)
日焼けだけが理由なら、裏返しで十分きれいになります。 費用も表替えの半分以下です。
5年を過ぎると裏面も日焼けが進むため、裏返しのタイミングを逃さないことが節約になります。
費用の全体像は和室リフォームの費用相場にまとめています。
日焼けしにくい畳という選択
変色を根本的に避けたいなら、素材を変える方法があります。
| 素材 | 変色 | 特徴 |
|---|---|---|
| い草(天然) | する | 香り・調湿性に優れる |
| 和紙畳 | しにくい | 樹脂コーティング。色が長持ち |
| 樹脂畳(ポリプロピレン) | しにくい | 水に強い。ペット・子ども向き |
和紙畳と樹脂畳は、日焼けによる変色がほとんどありません。 ただし、い草の香りと調湿性は得られません。
日当たりの強い部屋や、色を保ちたい場合の選択肢として検討する価値があります。素材の比較は和室の畳の種類と選び方にまとめています。

よくある質問
Q. 畳が1年で黄色くなりました。不良品ですか?
正常です。い草のクロロフィル(緑の色素)は紫外線に弱く、1〜2年で分解が進んで黄色みが出ます。隠れていたカロテノイド(黄の色素)が見えるようになるためで、劣化ではありません。
Q. 黄色くなった畳を緑に戻せますか?
戻せません。分解されたクロロフィルは元に戻らないためです。「酢水で緑が戻る」という方法は、汚れが落ちて明るく見えるだけです。色を戻すには裏返しか表替えが必要になります。
Q. 日焼けを完全に防ぐ方法はありますか?
い草である限り、完全には防げません。ただしUVカットカーテンや障子で直射日光を遮れば、大きく遅らせられます。変色しない素材を選ぶなら、和紙畳か樹脂畳が選択肢になります。
UVカットのレースカーテンなら、明るさを保ちながら紫外線だけを減らせます。畳の変色を遅らせる対策としては、もっとも手軽な選択肢です。
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Q. ラグの跡が残ってしまいました。
その部分だけ日焼けせずに緑が残った状態で、揃えることはできません。同じ位置にラグを戻して隠すか、裏返し・表替えで解決してください。予防としては、年に1〜2回位置を動かすのが有効です。
Q. 裏返しと表替え、どちらをすればいいですか?
新調から3〜5年で、まだ裏返しをしていないなら裏返しです。費用は表替えの半分以下で済みます。すでに裏返し済み、または畳表が擦り切れている場合は表替えになります。
まとめ
畳の日焼けと変色について整理します。
仕組み
い草のクロロフィル(緑)が紫外線で分解され、隠れていたカロテノイド(黄)が現れます。さらに進むとフェオフィチンという褐色の物質に変化し、飴色になります。1〜2年での黄変は正常です。
遅らせる方法
- UVカットカーテン・障子で直射日光を遮る(最も効果的)
- 換気時もレースか障子は閉めたままに
- 年1〜2回、家具とラグの位置を動かす(色ムラの予防)
戻すことはできない
分解された色素は戻りません。漂白剤や強い水拭きは、い草を傷めるだけです。色を戻すには裏返しか表替えが必要です。
判断の目安
- 新調から3〜5年・裏返し未実施 → 裏返し(約4,000円/畳)
- 裏返し済み、または擦り切れ → 表替え
- 10〜15年経過 → 新調
飴色の畳は、本来の姿でもあります。 落ち着いた色合いは和室に馴染みやすく、無理に緑を保とうとしなくても構いません。気になるのは色ムラのほうなので、家具の位置を動かす習慣だけ持っておくと安心です。
参考