葉や枝が、黒いすすをかぶったようになっている。拭くと少し取れるが、またすぐ黒くなる。

これはすす病です。名前は病気でも、本当の原因は虫です。ここを取り違えると、いくら殺菌剤をまいても終わりません。

この記事では、県や防除機関の資料をもとに、なぜ黒くなるのか・どう見分けるか・何を断てば止まるのかをまとめます。葉の異変全体は葉の異変サイン10種を参照してください。

すす病とは

項目 内容
原因 害虫が分泌する甘露にカビが繁殖する
原因となる虫 カイガラムシ類・コナジラミ類・アブラムシ類
菌の性質 植物に侵入しない。表面だけに生息する
症状 葉・枝・果実の表面が黒色の菌糸で覆われる
影響 光合成が阻害され、樹勢が低下する

全国農村教育協会の資料は、すす病の病原菌について「病原菌は樹体に侵入することはなく、表面だけに生息する」と説明しています。

これが、すす病を理解するうえでいちばん大事な点です。 病原菌は植物に寄生しているのではなく、葉の上にこぼれた糖分を食べているだけです。

甘露とは何か

甘露(かんろ)は、吸汁性の害虫が出す排泄物です。植物の汁を吸った虫が、糖分を含んだ液を出します。

同資料は、「カイガラムシ類、コナジラミ類、アブラムシ類が分泌した甘露を病原菌が栄養源として繁殖する」としています。

島根県も、カキのすす病について「カイガラムシ類などの排泄物を栄養源として繁殖したかびが表面を覆う」とし、「カイガラムシ類などの排泄物に寄生するので、これらの害虫の多発園では発生が多い」と説明しています。

つまり、黒い膜は「虫がいた証拠」です。

Aphids clustered on a plant stem with shiny sticky honeydew droplets on the leaf below, early stage

症状の進み方

島根県は、症状の進行をこう説明しています。

「葉では表面に黒色すす様のかびが生え、やがて、菌叢は密になり、厚さを増して葉の大部分を覆うようになる。果実ではへたの部分から始まり、暗褐色となる」

段階 見え方
初期 葉の表面にうっすら黒い点や膜
中期 膜が密になり、厚みが出る
進行 葉の大部分を覆う
果実 へたの部分から始まり、暗褐色になる

「へたから始まる」という記述は覚えておく価値があります。実の異変を探すとき、まずへたのまわりを見てください。

上の葉より下の葉に出る

虫は葉の裏や枝にいて、甘露は下へ落ちます。 そのため、すす病は加害されている場所より下の葉に出やすくなります。

黒い葉を見つけたら、その真上を見てください。 そこに虫がいます。

出やすい時期と場所

虫が多い時期と場所に、そのまま重なります。

条件 理由
虫が増える春と秋 アブラムシやコナジラミが活発になる
風が通らない場所 甘露が乾かず、カビが繁殖しやすい
株が混み合っている 虫が移動しやすく、光も届かない
軒下やベランダの内側 雨が当たらず、甘露が流れない

雨に当たらない場所ほど出やすいのが、すす病の特徴です。ふつうの病気は雨で広がりますが、すす病は雨で甘露が洗い流されない環境で悪化します。

ベランダ菜園や室内の観葉植物で目立つのは、このためです。 屋外の畑より、囲われた場所のほうが条件はそろいます。

Potted plants crowded together under a balcony roof where rain does not reach, leaves looking dull a

見分け方

黒くなる症状はほかにもあるため、次の点で切り分けます。

症状 見え方 正体
すす病 黒い膜。擦ると多少落ちる。 葉の表面 甘露に生えたカビ
べと病・炭疽病などの病斑 決まった形の斑点 植物に侵入した病原菌
土ぼこり 水で流れる 汚れ
黒いアブラムシ 粒が動く 虫そのもの

決め手は「べたつき」です。 すす病が出ている株は、その前後に葉がべたついていることがほとんどです。手で触って粘るなら、甘露が落ちている証拠になります。

葉の表面をなぞって黒いものが取れ、しかも下がべたつくなら、すす病とみて間違いありません。

対策|虫を断つのが先

全国農村教育協会が挙げている防除方法は、次のとおりです。

「カイガラムシ類、コナジラミ類、アブラムシ類を駆除する。密植状態を改善し、園内の通風・乾燥を図る」

殺菌剤ではなく、殺虫と環境改善が挙げられている点に注目してください。

1. 原因の虫を減らす

虫 見つかる場所 対処
アブラムシ 新芽・葉裏 早期に取り除く。アブラムシ対策
コナジラミ 葉裏。揺らすと白い虫が飛ぶ 黄色の粘着トラップ、夏の害虫対策
カイガラムシ 枝や茎に固着 歯ブラシなどでこすり落とす

カイガラムシは動かないので見逃しやすい虫です。 枝に白や茶色の小さな盛り上がりがないか、触って確かめてください。

固着したカイガラムシは薬剤が効きにくいため、専用品を選んでください。こすり落とす作業と併せると確実です。

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2. 風を通す

密植状態の改善と通風・乾燥が挙げられています。

  • 株間をあける
  • 混み合った枝葉を整理する
  • 鉢を並べすぎない

風が通る場所では、甘露も乾きやすくなります。

風は、虫にとっても住みにくい条件です。 アブラムシもコナジラミも、動かない空気の中で増えます。株元の込み合った葉を数枚落とすだけで、見違えることがあります。

3. 黒い膜を落とす

虫を減らしたあとなら、落とす作業が効きます。

  • 水で洗い流す(葉の表裏を濡らす)
  • 柔らかい布でやさしく拭く
  • ひどい葉は取り除く

強くこすらないでください。 葉の表面を傷つけると、そこから別の病気が入ります。

葉を拭くなら、繊維が細かく傷を付けにくい布が向きます。水だけで汚れを落とせるので、薬剤を使わずに済みます。

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順番を間違えないことが大事です。 虫が残ったまま洗っても、数日でまた黒くなります。

A gardener gently wiping black sooty film from a plant leaf with a soft cloth while supporting the l

季節の変わり目も狙い目です。 春の新芽が伸びる時期と、秋に虫が増える時期。この2回だけでも重点的に見ておくと、黒くなる前に手を打てます。

再発させないために

一度出た株は、条件が変わらなければまた出ます。

やること 目的
新芽を定期的に見る アブラムシは新芽につく
葉裏を揺すって確かめる コナジラミは飛んで逃げる
枝の触診 カイガラムシは固着していて動かない
混み合った枝を落とす 風を通し、甘露を乾かす
鉢の間隔をあける 虫の移動を妨げる

点検は「べたつき」を手がかりにすると早いです。 葉を触って粘るなら、黒くなる前の段階です。この時点で虫を取れば、すす病そのものが起きません。

黒くなってから慌てるより、べたつきの段階で気づくほうが手間がかかりません。 水やりのついでに、葉を一枚つまんでみてください。

A hand touching the upper surface of a leaf to check for sticky honeydew residue, inspection gesture

よくある質問

Q. すす病の葉は元に戻りますか?

黒い膜は洗ったり拭いたりすれば落とせますが、原因の虫が残っていれば再び黒くなります。まず虫を減らしてから落としてください。ひどく覆われた葉は取り除いたほうが早く回復します。

Q. 殺菌剤をまけば治りますか?

防除方法として挙げられているのは、カイガラムシ類・コナジラミ類・アブラムシ類の駆除と、密植状態の改善による通風・乾燥です。原因となる虫を断つことが対策の中心になります。

Q. 実が黒くなった場合は食べられますか?

すす病の菌は植物の内部に侵入せず表面だけに生息します。洗えば食べられますが、島根県の資料ではカキの果実でへたの部分から始まり暗褐色になるとされており、見た目は大きく損なわれます。

Q. どの野菜に出やすいですか?

アブラムシやコナジラミがつく野菜であればどれでも出ます。果樹やかんきつでよく知られていますが、家庭菜園でもナス科やウリ科、葉物で発生します。虫が多い株ほど出やすくなります。

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まとめ

すす病の要点です。

正体

  • 害虫が出す甘露にカビが繁殖したもの
  • 病原菌は植物に侵入せず、表面だけに生息する
  • 原因はカイガラムシ類・コナジラミ類・アブラムシ類

見分け方

  • 黒い膜が擦ると多少落ちる
  • 葉がべたつく(甘露が落ちている)
  • 黒い葉の真上に虫がいる

対策の順番

  1. 原因の虫を減らす
  2. 株間をあけて風を通す
  3. そのあとで黒い膜を落とす

すす病は、植物の病気というより「虫がいる状態の表示」です。黒くなったこと自体より、その原因が何か月続いていたかのほうが問題になります。株の勢いが落ちているなら、まず虫を探してください。

葉が黒いのは結果です。 上を見上げて虫を探すところから始めてください。


参考