株の地際が黒ずみ、そのまわりの地面に光沢のある白い糸のようなものが広がっている。数日後、そこにナタネの種のような粒が現れる。

これが白絹病(しらきぬびょう)です。白い絹糸と、あとから出る粒。この2つがそろえば、ほぼ間違いありません。

厄介なのは、その粒(菌核)が何年も土に残ることです。この記事では、見分け方と、菌核を残さない片付け方を中心にまとめます。株が枯れる病気の切り分けは青枯病の見分け方と対策も参考になります。

白絹病とは

項目 内容
病原菌 Sclerotium rolfsii(糸状菌)
出る場所 株の地際部と、そのまわりの地表
特徴 光沢のある白い菌糸と、菜種状の菌核
好む条件 比較的高温
残り方 菌核が浅い土壌中で5〜6年生存

全国農村教育協会の資料では、病原菌はSclerotium rolfsiiとされ、「病原菌は比較的高温を好み」、菌核は「梅雨期頃に適度な湿度と温度により発芽し」ます。

梅雨から夏、そして残暑までが要注意の時期です。

症状の見分け方

進み方には順番があります。

段階 見え方
初期 地際に暗色の染みのような病斑ができる
中期 光沢のある白色の菌糸の束が這う
後期 ナタネの種子のような丸く明褐色の菌核(直径1〜2mm)
結果 株がしおれ、やがて枯れる

同資料は、菌核を「ナタネの種子のような丸く明褐色、直径1~2mm」と説明しています。

白い菌糸が決め手

ほかの病気と違い、菌糸が株の表面だけでなく地面にまで広がります。

  • 光沢がある(つやのない白カビとは違う)
  • 放射状に地表へ広がる
  • 湿った日にはっきり見える

「地面に白い糸が這っている」という見え方は、白絹病にかなり特徴的です。

菌核を探す

白い菌糸を見つけたら、数日後にもう一度見てください。 菌糸の上に、ナタネほどの大きさの丸い粒が現れます。

色は明褐色です。最初は白っぽく、やがて茶色くなります。この粒が見えたら、確定とみてよい段階です。

Small round light brown sclerotia the size of rapeseed scattered on white fungal mycelium at the bas

菌核が5〜6年残る

この病気のいちばん厄介な性質です。

全国農村教育協会は、菌核が「浅い土壌中で5~6年間生存でき」ると説明しています。

つまり、今年発生した場所は、数年にわたって発生源であり続けます。

起きること 意味
菌核が土に落ちる 翌年以降の伝染源になる
浅い層に残る 耕すと広がる可能性がある
5〜6年生存 1年の輪作では足りない

同資料は伝染について、「被害植物からは菌糸が伸びて近隣の植物を侵す」としています。隣の株へ、地面を這って移るということです。

株間が詰まっているほど、被害が連鎖します。

ほかの土の病気との見分け

株が地際から傷んで枯れる病気は複数あります。地表に何が見えるかで切り分けます。

病気 地際・地表の見え方 決め手
白絹病 光沢のある白い菌糸が地表を這う 菜種状の明褐色の菌核
菌核病 白い綿状の菌糸 ネズミの糞に似た黒い菌核
青枯病 見た目の変化は乏しい 茎を水に差すと白い菌液
根腐れ 根が黒く傷む 地表にカビは出にくい

菌核の色が、白絹病と菌核病を分けます。 白絹病は明褐色で菜種ほど、菌核病は黒くてネズミの糞に似た形です。

どちらも「土に残る粒」を作る病気なので、片付け方の考え方は共通します。粒を残さないことが対処の中心になります。

Comparison of two diseased plant bases side by side, one with light brown round sclerotia and one wi

見つけたときの手順

全国農村教育協会が挙げている対処は明快です。

「白色菌糸の広がりに気付いたら、すぐに罹病株を抜き取り、跡地に薬剤処理をする。菌核を土壌に残さないように除去する」

家庭菜園では、次の手順になります。

  1. 白い菌糸に気づいたら、すぐ抜く(迷っている間に隣へ移ります)
  2. 株だけでなく、周りの土ごとすくい取る
  3. 菌核を残さない。地表の粒を丁寧に取る
  4. 取ったものは袋に入れて畑の外へ
  5. 使ったスコップを洗う

「土ごと」がポイントです。 株を引き抜くだけでは、地面に落ちた菌核が残ります。菌核が残れば、片付けた意味がありません。

道具の扱いは家庭菜園の道具消毒にまとめています。

罹病株は土ごとすくい取るため、刃の厚い移植ごてが向きます。目盛り付きなら植え付けの深さ合わせにも使えます。

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A gardener removing a diseased plant together with the surrounding soil using a trowel and placing i

抜いたあとの土をどうするか

抜き取った跡地は、そのまま次の苗を植えないでください。

  • 土をすくい取った穴は、周りの土で埋めない(菌核ごと広げることになります)
  • 使ったスコップと手袋を洗う
  • その区画は、その年は休ませるのが安全です
  • プランターなら土を処分し、容器も洗う

「もったいない」が最も高くつく病気です。数年単位で残る菌核を前に、土を惜しむ意味はありません。

予防

株元を涼しく、乾かす

高温を好む病気なので、地際の環境を変えるのが基本です。

対策 ねらい
株間をあける 菌糸が隣へ届きにくくする
下葉を整理する 地際の風通しを良くする
敷きわらを厚くしすぎない 地際が蒸れる原因になる
水を株元にためない 湿った状態を続けない

マルチや敷きわらは多くの病気に効きますが、白絹病では厚く敷きすぎると逆効果になることがあります。 地際が蒸れる状態は避けてください。

未熟な有機物を入れない

菌核は、腐りかけの有機物を足がかりに増えると説明されることがあります。

  • 未熟な堆肥を大量に入れない
  • 刈り草や落ち葉を、株元に生のまま積まない
  • 前作の残渣を土に浅くすき込んだまま植えない

堆肥の作り方と使い方は家庭菜園の堆肥の作り方にまとめています。

未熟な有機物は株元で分解が進み、地際が蒸れる原因になります。市販品を使うなら、完熟と表示されたものを選んでください。

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同じ場所を続けて使わない

菌核が5〜6年残るため、翌年だけ別の野菜にしても足りません。

  • 発生した区画は数年あける
  • プランターなら土を入れ替える
  • 夏の太陽熱を使った土壌消毒を検討する

輪作の考え方は連作障害を避ける畝のローテーションを参照してください。

よくある質問

Q. 白いカビが生えていますが、白絹病ですか?

光沢のある白い菌糸が地際から地面へ這うように広がり、数日後にナタネの種子のような直径1〜2mmの明褐色の粒(菌核)ができれば白絹病です。粒ができない白いカビは別のものです。

Q. 抜いたあとに同じ場所へ植えられますか?

避けてください。菌核は浅い土壌中で5〜6年生存するとされています。発生した区画は数年あけるか、プランターなら土を入れ替えてください。

Q. 株を抜くだけでは足りませんか?

足りません。資料でも「菌核を土壌に残さないように除去する」とされています。株のまわりの土ごとすくい取り、地表の粒も取り除いてから袋で持ち出してください。

Q. どの野菜に出ますか?

多くの作物で発生します。地際部が侵されるため、株元が蒸れやすい環境で育てている野菜ほど注意が必要です。白い菌糸を見つけたら、野菜の種類にかかわらず同じ対応をしてください。

Vegetable plants spaced widely apart with clear airy soil surface at their bases in a summer garden,

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まとめ

白絹病の要点です。

見分け方

  • 地際に暗色の染みのような病斑
  • 光沢のある白い菌糸が地表を這う
  • ナタネの種子のような明褐色の菌核(直径1〜2mm)

性質

  • 病原菌は比較的高温を好む
  • 菌核は浅い土壌中で5〜6年生存する
  • 菌糸が伸びて隣の株へ移る

対処

  • 気づいたらすぐ抜く。土ごと、菌核を残さず
  • 袋に入れて畑の外へ

予防

  • 株間をあけ、地際を蒸らさない
  • 未熟な有機物を株元に置かない
  • 発生した区画は数年あける

この病気は、見つけるのが遅れるほど土に残る菌核が増えます。 1株のうちに片付ければ、翌年以降の負担は小さく済みます。逆に、数株に広がってから対応すると、その区画は数年使いにくくなります。初動の速さが、そのまま来年の畑の自由度になります。

見回りは、株元を見る習慣に尽きます。 葉ばかり見ていると気づけません。水やりのとき、地際を一度のぞいてください。

白い糸を見たら、その日のうちに動いてください。 隣の株へ移るのは、あっという間です。


参考