「家庭菜園を始めれば野菜代が浮く」と考えて始めると、多くの場合そうはなりません。
初年度はまず赤字になります。 プランターと土をそろえる費用が、収穫した野菜の金額を上回るためです。
ただし2年目以降は状況が変わります。何を育てるかによっても大きく変わります。この記事では、実際の費用を積み上げたうえで、元が取れる条件を整理します。
実際にかかる費用
初年度の費用(プランター2つの場合)
| 品目 | 費用 | 備考 |
|---|---|---|
| プランター 65cm×2 | 1,600円 | 800円×2 |
| 培養土 25L×2袋 | 1,000円 | 500円×2 |
| 鉢底石 | 500円 | 再利用可 |
| 苗 6株 | 900円 | 150円×6 |
| 化成肥料 | 500円 | 1年もつ |
| 支柱・ひも | 400円 | 数年使える |
| 移植ごて・じょうろ | 800円 | 数年使える |
| 合計 | 5,700円 |
2年目以降の費用
| 品目 | 費用 |
|---|---|
| 培養土の補充・改良材 | 600円 |
| 苗または種 | 500〜900円 |
| 肥料 | 500円 |
| 合計 | 1,600〜2,000円 |
プランター・道具・鉢底石は繰り越せます。 初年度に3,300円分の耐久品を買っているので、2年目からは3分の1程度になります。
道具を安く済ませる方法は園芸用品は100均で揃う?で品目別に整理しています。

元が取れる野菜・取れない野菜
野菜によって採算が大きく違います。判断の基準は「店頭価格 ÷ 収穫量」です。
元が取れる野菜
| 野菜 | 理由 |
|---|---|
| 大葉(青じそ) | 1株で100枚以上。店では10枚100円 |
| バジル | 摘み続けて数か月収穫できる |
| ミニトマト | 1株で50〜100個 |
| 小ねぎ | 再生栽培で何度も収穫できる |
| パセリ | 少量ずつ長期間 |
| ミント・ローズマリー | 多年草。植えれば毎年 |
| ししとう・ピーマン | 1株で30〜50個 |
共通点は「少しずつ長く収穫できる」ことです。 買うと使い切れずに余る薬味やハーブは、家庭菜園と最も相性が良い品目です。
大葉の育て方はベランダでシソを育てる方法にまとめています。
元が取れない野菜
| 野菜 | 理由 |
|---|---|
| じゃがいも | 店頭が安い。場所も取る |
| 玉ねぎ | 収穫まで8か月。1個数十円 |
| キャベツ・白菜 | 1株で1玉。場所あたりの効率が悪い |
| とうもろこし | 1株で1〜2本。株間も広い |
| 大根 | 深い容器が必要。店頭が安い |
単価が安く、1株から1個しか採れない野菜は採算が合いません。育てる楽しみを目的にするなら問題ありませんが、節約が目的なら向きません。
単価で比べる
大葉を例にすると分かりやすくなります。
- 苗代:150円
- 収穫:1株から100枚以上
- 店頭価格:10枚入り100円 → 100枚で1,000円
苗150円が1,000円分になります。 一方、じゃがいもは種いも200円で1kg前後(店頭300円程度)にしかなりません。
費用を下げる5つの方法
1|土を再利用する
最も効果が大きい方法です。
培養土は毎年買い替える必要がありません。古い土をふるって根を取り除き、石灰と堆肥を混ぜれば再生できます。1シーズンで1,000円前後の節約になります。
手順はプランターの土は再利用できる?にまとめています。土の処分に困っている場合も、再生すればごみに出す必要がなくなります。
2|苗ではなく種から育てる
苗1株150円に対し、種は1袋200〜300円で数十粒入っています。
種から育てられる野菜|小松菜・ほうれん草・水菜・ラディッシュ・大根・にんじん・枝豆
苗を買ったほうがいい野菜|トマト・ナス・ピーマン・きゅうり(発芽に高温が必要で、育苗期間も長い)
葉物は種のほうが圧倒的に安く、失敗も少なくなります。
3|再生栽培を組み合わせる
買った野菜の根元を水に浸けるだけで再収穫できます。費用は0円です。
豆苗・小ねぎ・三つ葉・レタスの芯などが向きます。詳しくはキッチンで再生栽培できる野菜10選を参照してください。
4|挿し木で増やす
ハーブは枝を切って水に挿すだけで根が出ます。ミント・ローズマリー・バジルは特に簡単です。
バジルは1株買えば挿し木で増やせるので、翌年以降は苗を買い足す必要がありません。まずは1株から試してみてください。
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1株買えば、翌年以降は買い足す必要がありません。方法は挿し木で増やす野菜・ハーブにまとめています。
5|雨水を使う
水道代は微々たるものですが、大量に育てる場合は積み上がります。雨水タンクを使えば水やりの費用がゼロになります。雨水タンク・雨水活用DIYで作り方を解説しています。


節約以外の価値
費用だけで判断すると見落とすものがあります。
収穫直後の鮮度 枝豆やとうもろこしは、収穫後すぐに糖度が落ちます。採れたてを食べられるのは家庭菜園だけの利点です。
少量ずつ使える 大葉やパセリは、必要な分だけ摘めます。買うと余らせて捨てることが多い品目です。食品ロスの削減という意味では、確実に得をします。
買えない品種 アイコやゼブラトマトなど、店頭に並びにくい品種を育てられます。
子どもの食育 野菜が育つ過程を見せられます。家庭菜園で子どもの食育で扱っています。

赤字にしないための3つの原則
原則1|最初から広げない
プランター2つから始めてください。いきなり5つ買うと、管理しきれずに枯らします。
枯らした分はそのまま損失です。手が回る範囲で始め、続けられると分かってから増やすほうが確実です。
原則2|単価の高いものから育てる
大葉・バジル・パセリ・ミニトマト。店で買うと割高で、しかも使い切れない品目を選ぶと、体感の節約効果が最も大きくなります。
原則3|道具は使い回す前提で選ぶ
プランターとじょうろは、安さで選ぶと1シーズンで割れて買い直しになります。耐久品にだけ費用をかけ、消耗品は安く済ませるのが結果的に安上がりです。
よくある質問
Q. 家庭菜園は結局、節約になりますか?
初年度は赤字、2年目以降は選ぶ野菜次第です。大葉・バジル・ミニトマトのように単価が高く長く収穫できるものを選べば、年間5,000〜10,000円程度の食費削減は現実的です。じゃがいもや玉ねぎでは元が取れません。
Q. 初期費用を抑えるにはどうすればいいですか?
プランターを1つに絞り、苗ではなく種から始めてください。小松菜やラディッシュなら、プランター1つ・培養土1袋・種1袋の約1,500円で始められます。支柱も不要です。
Q. 培養土は毎年買い替える必要がありますか?
ありません。ふるって根を取り除き、石灰と堆肥を混ぜれば再生できます。連作を避けて別の科の野菜を植えれば、数年は使い続けられます。
Q. 100均でどこまで揃いますか?
支柱・麻ひも・ラベル・鉢底ネット・移植ごては100均で十分です。プランターと培養土は容量と耐久性の面で不利なので、ホームセンターを選んでください。
Q. ベランダでもある程度の量が採れますか?
葉物とハーブなら十分です。65cmプランター1つで小松菜が20株ほど育ちます。実のなる野菜は株数が限られるため、量より鮮度と品種を目的にするのが現実的です。
広い畑で本格的に野菜を育ててみたい方には、サポート付きで初心者でも安心の「シェア畑」がおすすめです。道具や苗も揃っているので、手ぶらで通えます。
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まとめ
家庭菜園の採算を整理します。
費用の実際
- 初年度:約5,700円(プランター2つ・道具込み)
- 2年目以降:約1,600〜2,000円(耐久品を繰り越せる)
元が取れる野菜
大葉・バジル・ミニトマト・小ねぎ・パセリ・ハーブ類。単価が高く、少しずつ長く収穫できるものです。じゃがいも・玉ねぎ・キャベツ・大根は店頭が安く、採算が合いません。
費用を下げる方法
- 土を再利用する(年間1,000円前後)
- 葉物は種から育てる
- 再生栽培を組み合わせる(0円)
- ハーブは挿し木で増やす(翌年以降は買い足し不要)
- 雨水を使う
赤字にしない3原則
プランター2つから始める。単価の高いものを選ぶ。道具は使い回す前提で選ぶ。
深型プランターは土の量が多く、乾きにくいぶん水やりの失敗が減ります。長く使うものなので厚みのある製品を選んでください。
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まずは大葉かバジルを1株、150円から試してみてください。使い切れずに捨てていた薬味が、必要な分だけ摘めるようになります。