スプラウトは、家庭菜園のなかでもっとも手軽な栽培です。

土も日当たりも要りません。空き容器と種と水道水だけで、7〜10日で収穫できます。プランターを置く場所がない家でも、キッチンの片隅で完結します。

失敗の原因もほぼ1つに絞られます。水を替えないことです。ここさえ守れば、初めてでもまず失敗しません。

土を使わない栽培の全体像は水耕栽培の基本にまとめています。

スプラウトとは

発芽して間もない新芽の総称です。特定の野菜の名前ではありません。

分類 育て方 代表例
かいわれ型 遮光して徒長させ、最後に緑化 かいわれ大根・ブロッコリー・レッドキャベツ
もやし型 完全に遮光したまま収穫 大豆もやし・緑豆もやし
中間型 明るい場所で育てる アルファルファ・クレス
再生型 根元を水に浸けて再収穫 豆苗・小ねぎ

この記事では、家庭でもっとも作りやすい「かいわれ型」を中心に解説します。

豆苗との違い

混同されやすいので整理します。

スプラウト(かいわれ型) 豆苗
始め方 種から育てる 買った豆苗の根元を残す
期間 7〜10日 7〜10日
費用 種代(1袋200〜400円で数回分) 0円(食べたあとの根元)
繰り返し 種があれば何度でも 2〜3回で終了
種類 選べる 豆苗のみ

まず試すなら豆苗、続けるならスプラウトという順序が無駄になりません。豆苗のやり方はキッチンで再生栽培できる野菜10選にまとめています。

Several containers of different sprouts side by side on a kitchen counter, radish sprouts broccoli s

用意するもの

容器

専用品は不要です。 家にあるもので足ります。

容器 向き 使い方
ガラス瓶(ジャム瓶など) 口にガーゼをかぶせて輪ゴムで留める
タッパー・保存容器 キッチンペーパーを敷く
豆腐の空きパック 使い捨てで衛生的
ザル+ボウル 水切りが楽
専用スプラウト栽培器 排水が設計されている

深さは5cm程度で十分です。 根を張らせるのではなく、水に浸けておくだけだからです。

必ず「スプラウト用」「発芽用」と表示された種を買ってください。

野菜の栽培用の種には、発芽をよくするための消毒剤(殺菌剤)がコーティングされていることがあります。着色された種(赤・青・ピンク)は特に注意が必要です。

スプラウトは種ごと食べるので、消毒済みの種は使えません。

種類 収穫日数
かいわれ大根 7〜10日 ぴりっと辛い。定番
ブロッコリースプラウト 7〜10日 穏やか。青臭さが少ない
レッドキャベツ 7〜10日 茎が赤い。彩りに
マスタード 6〜8日 辛味が強い
クレス 6〜8日 ぴりっとした辛味
アルファルファ 5〜7日 細く柔らかい。サラダ向き

初めてならかいわれ大根です。 発芽率が高く、成長が早く、変化が分かりやすくなります。

そのほか

  • キッチンペーパーかコットン(タッパー式の場合)
  • アルミホイルか箱(遮光用)
  • 霧吹き(あると便利)

育て方の手順

手順1|種を水に浸ける(6〜12時間)

種を容器に入れ、かぶるくらいの水を注ぎます。

  • 一晩(6〜12時間)が目安
  • 12時間を超えない(腐敗の原因になる)
  • 浮いた種は取り除く(発芽しないことが多い)

手順2|水を切って並べる

浸けた水は必ず捨てます。

容器 並べ方
タッパー 底に濡らしたキッチンペーパーを敷き、種を重ならないように広げる
ガラス瓶 種を入れたまま、口にガーゼをかぶせて逆さに立てかける
ザル ボウルに重ね、種を広げる

種を重ねないでください。 重なった部分が蒸れて腐ります。

手順3|遮光する(3〜5日)

ここがかいわれ型の要点です。

暗くすると、光を求めて茎がまっすぐ長く伸びます。この状態を意図的に作ります。

  • アルミホイルで容器を覆う
  • 段ボール箱をかぶせる
  • 使っていない引き出しに入れる

完全な暗闇にする必要はありません。 直射日光が当たらず、薄暗ければ十分です。

手順4|1日2回、水を替える

もっとも重要な作業です。

時期 回数
夏(25度以上) 1日2〜3回
春秋 1日2回(朝と夜)
1日1〜2回

やり方

  1. 容器に水を注ぐ
  2. 軽く揺すって全体を洗う
  3. 完全に水を切る(残すと腐る)

水に浸けっぱなしにしないでください。 根が呼吸できず、その日のうちに酸っぱいにおいが出ます。

手順5|緑化する(1〜2日)

茎が8〜10cmに伸びたら、遮光をやめます。

明るい場所に置くと、黄色かった葉が1〜2日で緑になります

  • 直射日光は不要(葉焼けする)
  • レース越しの窓辺か、室内の明るい場所
  • 引き続き1日2回の水替えは続ける

緑化させると栄養価が上がり、見た目も良くなります。

手順6|収穫

茎が10〜12cmになったら、根元をハサミで切ります。

  • 一度に全部切る(少しずつ切ると残りが傷む)
  • 収穫後は水で洗ってから食べる
  • 冷蔵で2〜3日
Hands cutting radish sprouts at the base with kitchen scissors above a container, harvest step in a
A container of sprouts covered with aluminum foil for the dark growing period beside an uncovered on

失敗の原因と対処

酸っぱいにおいがする

腐敗です。水替えが足りません。

一度においが出たら回復しません。残念ですが処分してください。 種の量を減らし、水替えの回数を増やして作り直します。

予防 – 1日2回、夏は3回 – 水を切りきる(底に溜めない) – 種を重ねない

ぬめりが出る

同じく水替え不足です。触ってぬるつく、糸を引く場合は食べないでください。

発芽しない

原因 対処
種が古い 発芽率は保存2年で大きく落ちる
水に浸けた時間が短い 6時間以上浸ける
消毒済みの種を使った スプラウト用の種を買う
温度が低い 20〜25度を確保。冬は暖かい部屋へ

白い綿のようなものがついた

根毛(こんもう)と カビの見分けが必要です。

根毛 カビ
場所 根の周りだけ どこにでも
見た目 白くふわふわ。均一 白〜灰色。まだら
におい 無臭 かび臭い・酸っぱい
水をかけると 消える 消えない

根毛は正常です。 水をかけて消えるなら問題ありません。においがしたらカビなので処分してください。

ひょろひょろで倒れる

遮光期間が長すぎます。茎が8〜10cmになったら明るい場所へ出してください。

衛生管理

種ごと食べるため、通常の野菜より衛生に気を配る必要があります。

  • 容器は使う前に熱湯消毒する(またはアルコール)
  • 手を洗ってから作業する
  • 水は水道水を使う(塩素が雑菌の増殖を抑える)
  • 収穫後は流水で洗う
  • 少しでも異臭がしたら食べない

ミネラルウォーターや浄水は避けてください。 塩素がないぶん、雑菌が増えやすくなります。

種類別の育て方の違い

種類 浸水時間 遮光 収穫の目安
かいわれ大根 6〜8時間 3〜4日 10〜12cm
ブロッコリー 6〜8時間 3〜4日 8〜10cm
レッドキャベツ 6〜8時間 3〜4日 8〜10cm
マスタード・クレス 4〜6時間 2〜3日 6〜8cm
アルファルファ 6〜8時間 遮光不要(明るい場所で) 4〜5cm
大豆もやし 12時間 収穫まで遮光 8〜10cm

アルファルファは遮光しません。 明るい場所でそのまま育てます。

Fresh radish sprouts arranged on a plate with tofu and a salad, ready to eat, simple home cooking ph

通年で作れる

スプラウトは室内で年間を通して育てられます。

季節 注意点
春・秋 最適。何も気にしなくてよい
腐りやすい。水替えを3回に
発芽が遅い。暖かい部屋(20度以上)

冬に屋外の畑が使えない時期でも、スプラウトなら収穫が続きます。室内での栽培全般は室内で野菜を育てる方法にまとめています。

2つの容器を3〜4日ずらして始めると、途切れずに収穫できます。

食べ方と栄養

そのまま食べるのが基本

加熱すると栄養の一部が失われます。 サラダ・冷奴・納豆・そばの薬味など、生のまま添えるのがもっとも簡単です。

  • かいわれ大根|刺身のつま・サラダ・肉巻き
  • ブロッコリースプラウト|サラダ・スムージー・サンドイッチ
  • レッドキャベツ|彩りが必要な料理に
  • マスタード・クレス|サンドイッチ・肉料理の付け合わせ

加熱するなら、火を止めてから加えてください。 味噌汁やスープなら、器に盛ってから散らします。

栄養価が高い理由

スプラウトは発芽の過程で、種の中の栄養が急激に増えます。

発芽には大量のエネルギーが必要で、そのために種が持つ酵素が働き、ビタミンやアミノ酸が新たに作られます。同じ重さの成熟した野菜より、栄養密度が高くなることがあります。

とくにブロッコリースプラウトは、成熟したブロッコリーより特定の成分を多く含むとして知られています。

使い切れないときは

収穫後2〜3日しかもたないため、量の調整が要ります。

  • 根つきのまま冷蔵する(切ってからより長持ちする)
  • 湿らせたキッチンペーパーで包んで保存袋へ
  • 育てる種の量を減らす(大さじ1杯で十分な量になる)

種は少なめから始めてください。 大さじ1杯の種で、タッパー1つ分が採れます。多くまくと重なって腐ります。

よくある質問

Q. 普通の野菜の種を使ってもいいですか?

使えません。栽培用の種は発芽をよくするための消毒剤がコーティングされていることがあり、スプラウトは種ごと食べるため危険です。「スプラウト用」「発芽用」と表示された種を選んでください。

スプラウト用の種は消毒剤のコーティングがなく、種ごと食べても安全です。かいわれ大根やブロッコリーは発芽率が高く、初めてでも失敗しにくい品目です。

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Q. 水は1日何回替えればいいですか?

春秋は1日2回、夏は2〜3回です。水を替えるだけでなく、軽く揺すって洗い、完全に水を切ってください。浸けっぱなしにすると、その日のうちに腐ります。

Q. 白いふわふわしたものはカビですか?

根の周りだけに均一に生えていて、水をかけると消えるなら根毛です。正常な状態なので問題ありません。まだらに広がり、かび臭さや酸っぱいにおいがある場合はカビなので、食べずに処分してください。

Q. 日当たりは必要ですか?

育てている間はむしろ暗くします。茎を長く伸ばすために3〜4日遮光し、8〜10cmになったら明るい場所へ移して1〜2日で緑化させます。直射日光は必要ありません。

Q. どのくらい日持ちしますか?

収穫後、冷蔵で2〜3日です。長くは持たないので、食べる分だけ育てるか、容器を数日ずらして複数用意してください。切らずに根がついたまま冷蔵すると、少し長くもちます。

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まとめ

スプラウトの育て方の要点を整理します。

用意するもの

  • 空き容器(ガラス瓶・タッパー・ザル)
  • スプラウト用の種(栽培用の種は使わない)
  • 遮光用のアルミホイルか箱

6つの手順

  1. 種を6〜12時間水に浸ける
  2. 水を切り、重ならないように広げる
  3. 3〜4日遮光して茎を伸ばす
  4. 1日2回(夏は3回)水を替え、切りきる
  5. 8〜10cmになったら明るい場所で1〜2日緑化
  6. 10〜12cmで根元を切って収穫

失敗しないための1点

水替えを欠かさないこと。 酸っぱいにおいが出たら回復しません。1日2回、軽く洗って水を切りきる。これだけで成功します。

まずはかいわれ大根の種を1袋から。空き瓶ひとつで、1週間後には収穫できます。

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