根腐れの原因は「水のやりすぎ」と説明されがちですが、正確には水が抜けないことです。
同じ量の水を与えても、排水のよい鉢では根腐れしません。水が土中に留まると根が酸素を吸えなくなり、そこから壊死が始まります。つまり問題は水の量ではなく、水と空気の入れ替わりです。
この記事では、根腐れの見分け方と、段階に応じた対処を解説します。水切れとの区別は水切れと過湿の見分け方に詳しくまとめています。
根は水中でも呼吸している
見落とされがちですが、根も酸素を必要とします。
健康な土には、土の粒と粒の間に隙間があり、そこに空気が入っています。水をやると隙間が水で満たされ、水が抜けるとまた空気が入る。この入れ替わりが根の呼吸を支えています。
水が常に留まっていると、隙間から空気が追い出されたままになります。酸素を得られない根は数日で機能を失い、そこに嫌気性の細菌が繁殖して腐敗が進みます。
腐った根は水を吸えない
ここが根腐れの厄介なところです。土は湿っているのに、株は水不足になります。
だからしおれます。そして見た目が水切れとそっくりなので、水を足してさらに悪化させる、という悪循環が起こります。

根腐れが起きる5つの原因
原因1|鉢底の排水が詰まっている
最も多い原因です。細かい土の粒が沈んで排水穴をふさぎます。
鉢底ネットと鉢底石で防げます。ただしプランターの底面構造によっては鉢底石が不要な場合もあります。判断は鉢底石は必要?を参照してください。
原因2|受け皿に水を溜めっぱなし
受け皿の水を根が吸い続けると、土がいつまでも乾きません。
水やりの後は必ず捨ててください。 真夏の日中に限って浅く張るのは有効ですが、常時は避けます。
原因3|鉢が大きすぎる
苗に対して鉢が大きいと、根が届かない部分の土がいつまでも湿ったままになります。
株の大きさに合った容量を選んでください。目安はベランダ菜園のプランター選びにあります。
原因4|根詰まりしている
根が鉢いっぱいに回ると、土が押し出されて水も空気も通らなくなります。
排水が悪くなり、結果として根腐れに移行します。見分け方と対処はプランターの根詰まり対処にまとめています。
原因5|古くて固まった土
使い回した土は粒が崩れ、団粒構造が失われています。水はけが悪くなり、根腐れしやすくなります。
再生の手順はプランターの土は再利用できる?を参照してください。

見分け方
地上部のサイン
- 土が湿っているのにしおれる
- 下葉から順に黄色くなる
- 葉が力なく垂れる(乾いた感じではない)
- 新芽の伸びが止まる
- 水をやっても回復しない、むしろ悪化する
決め手は株元のにおい
健康な土は無臭か、かすかに土のにおいがします。
株元に鼻を近づけて、酸っぱいにおいやどぶのようなにおいがしたら根腐れです。嫌気性の細菌が繁殖している証拠で、これはほぼ確定診断になります。
根を見て確定する
抜いて確認するのが最も確実です。
| 根の状態 | 判断 |
|---|---|
| 白〜クリーム色、しっかりしている | 健康 |
| 茶色いが硬い | 古い根(正常な範囲) |
| 茶〜黒色でぬめる、触ると崩れる | 根腐れ |
| 黒くて悪臭がする | 重症 |
健康な根と腐った根は、触れば明確に違います。指でつまんで表皮がずるっと剥けるなら腐っています。

段階別の対処
軽症|下葉が数枚黄色い程度
水やりを止めるだけで戻ります。
- 受け皿の水を捨てる
- 土の表面が乾き、指を入れて中も乾くまで待つ(数日〜1週間)
- 風通しと日当たりのよい場所へ移す
- 乾いてから、いつもより少なめに水をやる
この段階では植え替えないでください。 根を触ること自体が負担になります。
中等症|株全体が黄色く、回復しない
植え替えて腐った根を切ります。
手順1|株を抜く 鉢を横に倒し、株元を持って引き抜きます。無理に引っ張らず、鉢の側面を叩いて緩めてください。
手順2|土を落として根を洗う 古い土を軽く落とし、水で根を洗って状態を確認します。
手順3|黒い根を切る 清潔なハサミで、黒くぬめる部分をすべて切り落とします。健康な白い部分が出るまで切ってください。中途半端に残すと、そこから腐敗が広がります。
ハサミは使う前に消毒してください。手順は家庭菜園の道具消毒にまとめています。
手順4|地上部も同じ割合で減らす 根を3分の1切ったら、葉も3分の1摘みます。根が減った状態で葉が多いと、水を吸い上げきれずに枯れます。 ここを省略する人が多く、失敗の原因になります。
手順5|新しい土に植える 古い土は使わないでください。病原菌が残っています。
手順6|植え替え直後はたっぷり、以後は乾かし気味に 根が再生するまで2〜3週間かかります。その間は半日陰で、肥料も与えないでください。
重症|株元が黒く柔らかい
回復は困難です。
株元まで腐敗が進むと、水を吸い上げる組織そのものが壊れています。他の株への感染源になるため、株ごと処分してください。
使った土も再生せず処分するか、太陽熱消毒を念入りに行ってください。処分方法は使い終わった培養土の処分方法を参照してください。
予防|排水を確保する
根腐れは、水を控えることより水が抜ける状態を作ることで防げます。
鉢底ネットを敷く 数十円で、土の流出と穴の詰まりを防げます。省略しないでください。
プランターを直置きしない 地面やベランダの床に直接置くと、底面の通気が失われます。レンガや専用のスタンドで数cm浮かせてください。
プランタースタンドは鉢底を数cm浮かせて通気を確保します。キャスター付きなら土の入った状態でも動かせます。
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受け皿の水を捨てる習慣をつける 水やりの5分後に見に行くだけです。
水やりは「乾いたらたっぷり」 少量をこまめに与えると、表面しか濡れず根が浅くしか張りません。指を第二関節まで入れて乾いていたら、鉢底から流れるまで与える。 これが基本です。
判断の詳しい手順は水やりは朝?夕方?にまとめています。
梅雨は特に注意 雨ざらしの場所では水やり不要です。軒下に移すか、鉢を傾けて水が抜けるようにしてください。梅雨の管理は梅雨の家庭菜園対策を参照してください。

根腐れしやすい野菜・しにくい野菜
| 野菜 | 特徴 | |
|---|---|---|
| しやすい | トマト・ミニトマト | 乾燥を好む。過湿に弱い |
| ハーブ類(ローズマリー・タイム) | 地中海原産。乾いた土を好む | |
| 玉ねぎ・にんにく | 球が腐りやすい | |
| しにくい | きゅうり・水菜 | 水を多く必要とする |
| サトイモ・クレソン | 湿った環境を好む |
トマトとハーブは水をやりすぎないことが育て方の要点になります。ハーブの管理は室内でバジルを育てる方法も参考になります。
よくある質問
Q. 根腐れした株は必ず枯れますか?
軽症なら回復します。下葉が数枚黄色い程度で株元がしっかりしていれば、水やりを止めて乾かすだけで戻ることが多いです。株元が黒く柔らかくなっている場合は困難です。
Q. 根腐れと根詰まりはどう違いますか?
根詰まりは根が鉢いっぱいに回った物理的な状態で、根腐れは根が壊死した状態です。ただし根詰まりを放置すると排水が悪くなり、根腐れに移行します。両方が同時に起きていることもあります。
Q. 植え替えのとき、根はどこまで切っていいですか?
黒くぬめる部分はすべて切ってください。健康な白い部分が出るまでです。目安として全体の半分まで切っても回復しますが、その場合は地上部も半分に減らしてください。
Q. 根腐れ防止剤は効きますか?
ゼオライトなどの根腐れ防止剤は、水を浄化して有害物質を吸着します。鉢底に敷くと一定の効果はありますが、排水そのものが悪ければ根本解決になりません。 鉢底ネットと通気の確保を優先してください。
Q. 一度根腐れした鉢はもう使えませんか?
使えます。中身をすべて出し、鉢を洗って乾かしてください。念のため熱湯をかけるか、日光に当てて消毒すると安心です。土は再生せずに処分するのが無難です。
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まとめ
根腐れの要点を整理します。
原因は水の量ではなく、水が抜けないこと
根も酸素を必要とします。水が留まると呼吸できず、数日で壊死します。腐った根は水を吸えないため、土は湿っているのに株は脱水します。
見分け方
- 土が湿っているのにしおれる
- 株元のにおい — 酸っぱい/どぶ臭ければ確定
- 根を見る — 黒くぬめり、表皮が剥けるなら腐敗
対処
- 軽症 → 水を止めて乾かす。受け皿の水を捨てる。植え替えない
- 中等症 → 黒い根を切り、地上部も同じ割合で減らして新しい土へ
- 重症(株元が黒く柔らかい)→ 処分する
予防
- 鉢底ネットを敷く
- プランターを直置きせず数cm浮かせる
- 受け皿の水を必ず捨てる
- 「乾いたらたっぷり」を守る(こまめに少量は逆効果)
しおれを見たら、水をやる前に指を土に入れる。この一手間だけで、根腐れの大半は防げます。