畑が空く真夏に植えて、翌年の初夏まで放っておける。 そのあいだ、ほとんど手がかかりません。

らっきょうは、家庭菜園でいちばん手間のかからない部類に入る作物です。ただし、植える時期を外すとうまくいきません。

この記事では、産地の栽培にもとづいて、植え付けの時期と分球のしくみをまとめます。

真夏に植える

農畜産業振興機構の産地資料によれば、鳥取県での作型は次のとおりです。

時期
植え付け 7月下旬〜9月上旬
収穫 翌年の5月下旬〜6月中旬

そして、植え付けから収穫までほぼ10ヵ月を要するとされています。

夏の盛りに植えるというのが、他の野菜と違うところです。畑がいちばん暑い時期に、種球を土に入れます。

この時期は、夏野菜が終わって秋冬野菜にはまだ早い、畑の端境期にあたります。空いた区画をそのまま使えるのも、取り入れやすい理由のひとつです。

プランターで作るなら、水はけのよい野菜用の土が向きます。砂や軽石を混ぜて水の抜けをよくしてください。

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なぜ真夏なのか

植え付け後、秋のあいだに根を張って葉を伸ばし、冬を越し、春に太ります。夏に植えるのは、秋までに根を張らせるためです。

遅れると、冬までに十分育たず、翌春の太りが悪くなります。 9月上旬を過ぎたら、その年は見送るほうが確実です。

逆に、早すぎても問題は少ない作物です。暑さには強く、植えてすぐ高温が続いても枯れることはまれです。畑が空いたタイミングで入れてしまうほうが、結果として間に合います。

秋から冬にかけて葉が伸び、冬のあいだは生育が止まったように見えます。この時期に何もしないのが正解で、追肥も水やりも要りません。春に気温が上がると一気に伸びはじめ、地下で球が太っていきます。

漬け液を自分で合わせるのが面倒なら、調味済みのものが手軽です。分量の目安としても使えます。

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Small rakkyo seed bulbs being planted into rows in sandy garden soil under strong summer sun, docume

分球のしくみ

らっきょうは、1球植えると、そこから複数に分かれて増えます。 これを分球といいます。

産地では、用途によって系統を使い分けています。

用途 選ぶ系統
洗いらっきょう用(漬物) 分球が多い球数型の系統
根付きらっきょう用(エシャレット) 分球の少ない球重型の系統

たくさん穫りたいなら分球の多い系統、1球を大きくしたいなら少ない系統ということです。

家庭菜園で手に入る種球は、多くが漬物向けの系統です。1球植えれば、翌年にはおよそ5〜10球に分かれていると考えておくと、必要な種球の量を見積もれます。

1年掘りと2年掘り

植えて翌年に掘るのが1年掘り、もう1年置くのが2年掘りです。

特徴
1年掘り 球が大きい。 分球数は少なめ
2年掘り 分球が進み、小粒が多数。 収量は増える

家庭菜園でらっきょう漬けをつくるなら、1年掘りで十分です。 小粒を大量に穫りたいときだけ、2年目まで置いてください。

2年掘りを選ぶ場合、1年目の初夏には何もしません。葉が枯れて地上部が消えても、球は土の中で生きています。秋にまた芽を出し、2年目の春にもう一度太って、分球した小粒の集まりになります。市販のらっきょう漬けで粒がそろって小さいものは、この作り方によるものです。

砂地を好む

産地の鳥取県福部町は、鳥取砂丘の東に位置する起伏豊かな丘陵の砂丘畑地帯で、資料は「らっきょう」のみが栽培可能な作物として続いてきたと記しています。

真夏の炎天下の砂の温度は60度にもなるという環境です。

水はけのよい、やせた土を好むと覚えてください。肥えた土に植えると葉ばかり茂り、球が太りません。

砂丘地で栽培が続いてきた理由も、ここにあります。保水力の乏しい砂地は多くの野菜に向きませんが、らっきょうにとっては過湿を避けられる好条件になります。庭の土が粘土質なら、砂や軽石を混ぜて水の抜けをよくしてから植えてください。

家庭菜園での土づくり

やること 理由
水はけをよくする 過湿で腐る
肥料は控えめに 多いと葉ばかりになる
堆肥を入れすぎない 同上
プランターなら深さ20cm以上 球が下へ太る

ネギ、玉ねぎ、にんにくと同じヒガンバナ科の仲間です。これらとの連作は避けてください。考え方は連作障害を避ける畝のローテーションにまとめています。

A planter box with rows of rakkyo shoots emerging from sandy soil on a balcony, autumn morning light

植え付けから収穫まで

手順

  1. 種球を用意する(食用のらっきょうではなく、種球として売られているもの)
  2. 7月下旬〜9月上旬に植える
  3. 深さ5cm程度、株間10〜15cm
  4. 芽が出たら、水やりは控えめに
  5. 秋に一度、軽く追肥
  6. 冬はそのまま。防寒は不要
  7. 春に葉が伸びる
  8. 5月下旬〜6月中旬、葉が倒れはじめたら収穫

冬のあいだ、ほとんどやることがありません。 これがこの作物の最大の利点です。

雑草だけは気をつけてください。葉が細く、地面を覆わないため、春先に草に負けることがあります。目についたときに抜いておく程度で足ります。

収穫の判断

葉が黄色くなって倒れてきたらが目安です。掘り遅れると、球が分かれて再び伸びはじめます。

梅雨に入ってしまうと、土が重くなって掘りにくく、球も傷みやすくなります。葉の様子を見ながら、梅雨入り前に終えるつもりで日取りを決めてください。

雨の少ない日を選んで掘ると、土が落ちやすく、作業が楽になります。

掘るときはスコップを株から離れた位置に入れてください。真上から入れると球を割ります。株の外側から土ごと持ち上げるようにすると、まとまったまま抜けます。

同じ秋植えの球根野菜としてはにんにくのプランター栽培が近い管理になります。

Rakkyo plants in a garden bed with yellowing leaves falling over, ready for harvest, early summer li
A glass jar of pickled rakkyo on a kitchen counter beside freshly cleaned bulbs, bright indoor dayli

収穫後の扱い

掘り上げたらすぐ処理してください。 置いておくと芽が伸びはじめます。

ひと晩置いただけでも、切り口から芽が動きはじめます。漬ける予定の日に合わせて掘るのが、いちばん手際のよい進め方です。

  1. 土を落とす
  2. 根と葉を切り落とす
  3. 薄皮をむく
  4. 塩漬け、または甘酢に漬ける

薄皮は水につけるとむきやすくなります。量が多いときは、まとめて水に放ってから作業してください。

エシャレット(根らっきょう)として生食するなら、球が太りきる前の若いうちに掘ります。葉がまだ青く、球が白く細長い状態です。

同じ株から、時期をずらして両方を楽しむこともできます。春先に一部を若採りしてエシャレットにし、残りを初夏まで置いて漬物用に太らせる、という使い分けです。

漬け物に回す方法はぬか漬けの始め方も参考になりますが、らっきょうは甘酢漬けか塩漬けが一般的です。

よくある質問

Q. いつ植えればいいですか?

産地では7月下旬から9月上旬に植え付けます。秋までに根を張らせる必要があるため、9月上旬を過ぎたらその年は見送るほうが確実です。収穫は翌年の5月下旬から6月中旬で、植え付けから収穫までほぼ10か月かかります。

Q. 食用のらっきょうを植えてもいいですか?

種球として売られているものを使ってください。食用に加工されたものは植えても育ちません。生のまま売られているものでも、品種や状態が分からないため、種球を買うほうが確実です。

Q. 2年置いたほうがいいですか?

用途によります。1年掘りは球が大きく、2年掘りは分球が進んで小粒が多数穫れます。家庭でらっきょう漬けをつくるなら1年掘りで十分です。

Q. 肥料はどのくらい必要ですか?

控えめにしてください。やせた水はけのよい土を好む作物で、肥料が多いと葉ばかり茂って球が太りません。秋に一度軽く追肥する程度で足ります。

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まとめ

  • 植え付けは7月下旬〜9月上旬。 収穫は翌年5月下旬〜6月中旬
  • 植え付けから収穫までほぼ10か月
  • 1球が分球して増える。 系統によって分球数が違う
  • 1年掘りは球が大きく、2年掘りは小粒が多数
  • 水はけのよい、やせた土を好む。 肥料は控えめに
  • 冬の管理はほぼ不要
  • 葉が倒れてきたら収穫。 掘り遅れると再び伸びる

夏に植えて、春まで忘れる。 手間のかからなさでは群を抜く作物です。


参考