箱から出したものの、どの段に何を置くのか分からない。 去年の写真も撮っていない。男雛と女雛は、どちらが左だったか。
段ごとの並べ方には決まりがあります。 そして左右だけは、関東と関西で逆になります。
この記事では、一般社団法人日本人形協会の解説をもとに、七段飾りの並べ方と、飾る時期・しまう時期を整理します。
上巳の節句とは
3月3日のひな祭りは、正式には上巳(じょうし)の節句といいます。桃の季節にあたることから、桃の節句とも呼ばれます。
日本人形協会によれば、今のかたちは2つの流れが結びついたものです。
- 平安時代のお人形遊び(ひいな遊び)
- 紙やわらで作った素朴な人形に、自分の災厄を移して海や川に流した祓いの行事
人形が身代わりになって災いを引き受ける。 流し雛の風習に、その原型が残っています。
初節句は、生まれたばかりの赤ちゃんが、健やかに育つように願いをこめてお祝いする行事で、江戸時代から続く習わしとされています。祝い膳は寿司と蛤のお吸い物が慣例です。
人形は、お嫁さんの実家から贈るのが普通とされています。
現代では両家で折半することも増えています。贈る側と飾る側で置き場所の相談を先にしておくと、大きさの行き違いが起きません。
収納箱は、人形の数と道具の量に合わせて選びます。桐製は調湿性があり、押入れの上段に置ける高さかを確かめてください。
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男雛と女雛、どちらが左か
ここだけ、地域で逆になります。
| 男雛の位置 | |
|---|---|
| 関西(京雛) | 向かって右 |
| 関東 | 向かって左 |
日本人形協会の解説では、関西では男雛は左(向かって右)、女雛は右(向かって左)が一般的とされ、関東では逆になります。関東の並べ方は、明治以降の西洋的ルールに倣ったものです。
どちらが正しいということはありません。 日本に古くからある左上位の考え方に沿うなら関西式、明治以降の作法に沿うなら関東式です。
買った人形の説明書に従うのがいちばん確実です。顔の向きや道具の作りが、その並べ方を前提にしていることがあります。
迷ったときは、祖父母の家にあった飾り方に合わせるという決め方もあります。地域の慣習は家単位で受け継がれてきたもので、そろえておくと写真を見返したときに違和感がありません。
和室の左上位の考え方そのものは和室の上座と下座にまとめています。
段ごとの並べ方
七段飾りを、上から順に見ていきます。
一段目|内裏雛
男雛と女雛。 左右は前述のとおり地域で分かれます。背後に屏風、両脇にぼんぼりを置きます。
二段目|三人官女
座っている官女を中央に、立ち姿の官女を両側に置きます
持ち物は、向かって右から長柄銚子、中央は盃を乗せた三方、左は加銚子です。
三段目|五人囃子
向かって右から地謡、笛、小鼓、大鼓、太鼓の順に並べます
右から左へ、音が小さいものから大きいものへ並ぶと覚えると迷いません。いちばん右の地謡だけが楽器を持たず、扇を持ちます。
顔立ちにも違いがあり、能楽のはやし方を子どもの姿であらわした人形です。五人とも童顔なのはそのためです。
四段目|随身(左大臣・右大臣)
黒袍と赤袍の場合は、右を黒袍にします。 同じ色の場合は、敬老の意味から老人を右に置きます。
五段目|仕丁
中央の人形に沓台、男雛側に台笠、女雛側に立傘
両脇には左近の桜と右近の橘を置きます。並べ方は、向かって右に桜、左に橘です。
六段目・七段目|雛道具
六段目には特別なルールはないとされています。七段目は決まっていて、中央に重箱を置き、左に御駕篭、右に御所車です。

並べ方の早見
| 段 | 置くもの |
|---|---|
| 一 | 内裏雛(屏風・ぼんぼり) |
| 二 | 三人官女(中央が座り姿) |
| 三 | 五人囃子(右から地謡・笛・小鼓・大鼓・太鼓) |
| 四 | 随身(黒袍を右/老人を右) |
| 五 | 仕丁(中央に沓台/右に桜・左に橘) |
| 六 | 雛道具(決まりなし) |
| 七 | 中央に重箱・左に御駕篭・右に御所車 |
いつ出して、いつしまうか
出す時期
日本人形協会によれば、春を迎えた立春の頃から飾る方が多いとされています。立春は2月4日前後です。
1月上旬から飾る家庭もあるとされ、早く出すこと自体は問題ありません。
しまう時期
「早くしまわないと婚期が遅れる」という言い方がありますが、協会の説明は違います。
3月3日から4月上旬までの間の、とくに天気の良い日にしまっていただくことをお勧めします
慌ててしまう必要はありません。 旧暦の4月上旬まで飾るのもよいとされています。
日付より天気で決める。 湿った日にしまうと、箱の中に湿気が残ります。五月飾りも同じ考え方で、五月人形の飾り方にまとめています。
しまう時期にこだわりが生まれた背景には、季節の節目を過ぎた飾りを置き続けないという感覚があったと考えられます。ただし、協会が示しているのは期限ではなく、人形を傷めないための条件です。雨が続くようなら、晴れるまで待ってかまいません。
| 目安 | |
|---|---|
| 出す | 立春(2月4日頃)から。 1月上旬でもよい |
| しまう | 3月3日〜4月上旬の、天気の良い日 |
和室のどこに置くか
床の間があれば、そこが第一候補です。 もともと季節の設えを置くための空間なので、段飾りの高さも収まります。
避けたい条件は、五月飾りと共通です。
| 避ける | 理由 |
|---|---|
| 直射日光 | 衣裳と顔が褪色する |
| 湿気の多い場所 | カビとシミ |
| 暖房の風が直接当たる場所 | 乾燥で傷む |
| 人の通り道 | 1か月以上置くため、ぶつかる |
飾る期間が長いことを先に考えてください。 立春から4月上旬まで置くなら、2か月近くその場所を占有します。
置ける場所から飾りの形式を選び直すこともできます。七段飾りが収まらなければ、親王飾りや三段飾り、ケース飾りという選択があります。ケース飾りは組み立てが不要で埃も入らず、出し入れの負担が小さくなります。段数を減らすことは簡略化ではなく、毎年続けるための現実的な判断です。
置き場所の幅と奥行きを測ってから探すと選びやすくなります。ケース飾りや収納飾りは、飾り台そのものの寸法も確認してください。
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床の間の各部や寸法は床の間の各部名称を、床の間がない部屋での工夫は床の間の活用アイデアを参照してください。


しまうときの手順
- 晴れて乾いた日を選ぶ
- 柔らかい筆や刷毛で埃を払う
- 顔は素手で触らない(手の脂がシミになる)
- 顔に薄紙を巻く
- 人形用の防虫剤を、直接触れないように入れる
- 風通しのよい場所へ収納する
写真を撮っておくと、来年がまったく違います。 段ごとに1枚、箱の中身も1枚。箱の内側に入れておけば、迷いません。
よくある質問
Q. 男雛は向かって右と左、どちらですか?
地域で分かれます。関西(京雛)は向かって右、関東は向かって左が一般的です。関東の並べ方は明治以降の西洋的ルールに倣ったもので、どちらが正しいということはありません。購入時の説明書に従うのが確実です。
Q. 雛人形はいつから飾りますか?
立春の頃から飾る方が多いとされています。1月上旬から飾る家庭もあり、早く出すこと自体は問題ありません。
Q. 早くしまわないと婚期が遅れますか?
日本人形協会は、慌ててしまう必要はないとしています。3月3日から4月上旬までの間の、とくに天気の良い日にしまうことがすすめられており、旧暦の4月上旬まで飾るのもよいとされています。
Q. 五人囃子の並び順が分かりません。
向かって右から、地謡、笛、小鼓、大鼓、太鼓の順です。いちばん右の地謡だけが楽器を持たず扇を持ちます。
まとめ
- 3月3日は上巳(じょうし)の節句。桃の節句とも呼ぶ
- 原型は人形に災厄を移して流す祓いの行事
- 男雛は関西が向かって右、関東が向かって左
- 五人囃子は右から地謡・笛・小鼓・大鼓・太鼓
- 仕丁の脇は向かって右に桜、左に橘
- 出すのは立春頃から。 しまうのは3月3日〜4月上旬の晴れた日
- 「早くしまわないと」は慌てる必要なし
段ごとに写真を1枚。 来年のいちばんの備えになります。
参考