葉の表に、葉脈で区切られた角張った黄色い斑点が並ぶ。湿った日に葉を裏返すと、灰色のカビが見える。これがべと病です。
同じ「カビの病気」でも、うどんこ病が乾き気味を好むのに対し、べと病は多湿で広がります。 見分け方の比較は梅雨期の葉カビ病3種にまとめています。
さらに厄介なのは、野菜によって病原菌も感染の時期も違うことです。きゅうりは生育中に葉で広がりますが、玉ねぎは秋に植えた苗が感染し、翌春に発病します。 この記事では、その2つを分けて解説します。
べと病とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 病原菌 | 野菜ごとに違う。 きゅうりは Pseudoperonospora cubensis、玉ねぎは Peronospora destructor |
| 分類 | 卵菌類(かびの仲間)。うどんこ病とは別の系統 |
| 性質 | 生きた植物の組織にのみ感染する |
| 出る場所 | 主に葉。きゅうりでは葉だけに発生する |
| 条件 | 多湿。 きゅうりは20〜24℃が適温 |
大阪府の技術資料では、玉ねぎのべと病菌について「生きた植物(たまねぎ、ねぎなど)の組織にのみ感染する」と説明されています。枯れた葉の上で増える菌ではないため、対策は「生きている株をどう守るか」が中心になります。

きゅうりのべと病
症状
高知県によると、きゅうりのべと病は葉だけに発生し、ふつう下葉から始まります。
- はじめに淡黄色の境界のはっきりしない小斑点ができる
- 拡大して葉脈に区切られ、角張った黄褐色の病斑になる
- 湿度の高いときには葉裏に暗灰色のかびを生じる
島根県も「葉脈に境された黄色の角形病斑ができ、健全部と病斑部がモザイク状となる」とし、病斑の裏側には伝染の役割をする胞子がすす状にできると説明しています。
葉脈を越えて広がりにくいため、四角い模様が並ぶのがこの病気の見た目です。
どう広がるか
島根県の説明では、分生胞子が風などによって飛散して葉裏に付着し、これが発芽して遊走子をつくり、気孔から侵入します。
「葉が濡れている」ことが侵入の条件になります。高知県も、分生胞子が葉面に到達したとき「そこに水があれば、運動性のある遊走子を生ずる」としています。
発生しやすい条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 気温 | 20〜24℃(島根県)、20℃前後(高知県) |
| 湿度 | 多湿 |
| 肥料 | 肥切れすると発生しやすい(島根県) |
肥切れが条件に入っているのは見落としがちな点です。収穫が続いて株が疲れてきた時期は、それだけで発病しやすくなります。
防除
高知県は、次の4点を挙げています。
- ポリマルチ、敷わら等によって地表面からの水滴のはね上がりを防ぐ
- ハウス内の湿度の低下、夜間温度管理に注意する
- 適正な栽培管理を行って、草勢の維持をはかる
- 予防に重点を置く
家庭菜園では、株元をマルチや敷きわらで覆い、雨に当てず、追肥を切らさないと読み替えられます。雨除けの作り方は雨除けトンネル・ビニールトンネルDIYにまとめています。
雨除けの資材は、畝の幅と長さに合わせて選びます。支柱とフィルムが揃ったセットなら、必要な本数を数える手間が省けます。
(PR)「雨よけ トンネル」をAmazonで探す / 楽天で探す
玉ねぎのべと病|秋植えの落とし穴
玉ねぎのべと病は、春に突然現れるように見えて、実は前の年の秋に感染しています。 大阪府の技術資料をもとに整理します。
1次感染と越年罹病株
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 10〜12月 | 苗床や定植後のほ場で、土の中の卵胞子から感染する |
| 感染後 | しばらく潜伏する |
| 翌年2〜3月 | 発病し、越年罹病株と呼ばれる株になる |
越年罹病株は、葉が萎縮し、黄化し、つやがなく、ねじ曲がり、硬くなるのが特徴です。
注目すべきは、1,000株に数株程度の発生でも、2次感染株の多発につながるとされている点です。家庭菜園の規模なら、数株見逃すだけで全体に及びます。
2次感染
越年罹病株が伝染源となり、3〜5月に好適な気温と降雨が重なると2次感染が広がります。
- 分生胞子は気温6〜19℃で形成され、最適は13〜15℃
- 気温15℃前後、湿度90%以上で発芽する
- 感染から発病までの潜伏期間は2週間前後
- 分生胞子は通常100m、強風時はさらに広範囲に飛散する
2次感染株には黄色で大型の長卵形から楕円形の病斑が出て、多湿時には霜状のかびが生じることがあります。
残渣に残る卵胞子
発病した株の葉や根の内部、収穫終了後の残渣の内部には卵胞子が形成されます。 卵胞子は高温や乾燥に強く寿命が長く、ほ場に残って次作の伝染源になるとされています。
大阪府の資料は、べと病に感染した残さ(葉・根)はすき込まず、ほ場外へ持ち出して処分するよう求めています。
家庭菜園でやること
- 苗を買うときに、葉がねじれたり黄ばんだりしていないか確認する
- 連作を避ける(資料では2年以上の間隔)
- 春に怪しい株を見つけたら、抜き取って袋に入れて外へ出す
- 収穫後、葉や根を畑に残さない
玉ねぎの育て方は玉ねぎのプランター栽培にまとめています。
玉ねぎの苗は、秋の短い期間だけ出回ります。葉がねじれていない健全なものを選び、届いたらできるだけ早く植え付けてください。
(PR)「玉ねぎ 苗」をAmazonで探す / 楽天で探す

うどんこ病・灰色かび病との見分け方
| べと病 | うどんこ病 | 灰色かび病 | |
|---|---|---|---|
| 出る場所 | 主に葉 | 葉の表 | 花・実が中心 |
| 見た目 | 葉脈で区切られた角形の斑点 | 白い粉 | 灰色のかびが密生 |
| 葉裏 | 灰色〜暗灰色のかび | 変化は少ない | — |
| 好む条件 | 多湿 | 乾き気味 | 多湿・20℃前後 |
うどんこ病はうどんこ病の予防と対策、灰色かび病は灰色かび病の対策で個別に解説しています。
迷ったら、湿った朝に葉を裏返してください。 べと病なら、斑点の裏側にカビが見えます。
きゅうりでもうひとつ紛らわしいのが褐斑病です。 べと病の病斑が葉脈で区切られて角ばるのに対し、褐斑病は葉脈を越えて丸く広がり、同心円状の模様が出ます。初期はよく似ているため、形で見分けてください。
25〜28℃で増える条件と、出てからでは薬が効かない理由はきゅうりの褐斑病にまとめています。
発生させない育て方
| 対策 | 理由 |
|---|---|
| マルチ・敷きわらを敷く | 地表からの水滴のはね上がりを防ぐ |
| 雨に当てない | 葉が濡れている時間を減らす |
| 株間をあけ、下葉を整理する | 湿気がこもらないようにする |
| 追肥を切らさない | 肥切れは発生条件のひとつ |
| 朝に葉裏を見る | 湿っている時間帯はカビが見えやすい |
| 残渣を畑に残さない | 次の作の伝染源を断つ |

見つけたときの手順
- 発病した葉を取り除く
- 袋に入れて畑やベランダの外へ持ち出す
- 周りの株の葉裏を確認する
- 湿気をためない環境に整える(風通し・マルチ・雨除け)
- 薬剤を使う場合は、同一薬剤の連用を避ける
大阪府の資料は、玉ねぎのべと病について「感染前の防除が重要」とし、発生を認めたときは治療効果が期待される剤を散布するとしています。べと病は、出てから叩くより、出る前に条件を崩すほうが確実です。
よくある質問
Q. べと病になった実は食べられますか?
きゅうりのべと病は葉だけに発生するとされています。葉が傷んで株が弱ると収穫量は落ちますが、実そのものに病斑が出る病気ではありません。傷んだ葉は取り除いて処分してください。
Q. うどんこ病とべと病はどちらが厄介ですか?
性質が逆なので、対策も逆になります。うどんこ病は乾き気味で出やすく、べと病は多湿で広がります。べと病は葉裏に灰色のカビが出て、葉脈で区切られた角形の斑点になる点で見分けられます。
Q. 玉ねぎのべと病は、秋に何をすれば防げますか?
苗を植える時点で、葉がねじれたり黄ばんだりしていない健全な苗を選んでください。感染は10〜12月に起こり、発病は翌年2〜3月です。前に玉ねぎやねぎを作った場所を続けて使わないことも対策になります。
Q. 病気の葉は畑に埋めてもいいですか?
埋めないでください。玉ねぎでは、葉や根の内部に卵胞子が形成され、高温や乾燥に強く長く残って次の作の伝染源になるとされています。袋に入れて畑の外に持ち出して処分します。

▼ 有機液体肥料で野菜をもっと元気に
土の力を引き出す、菌根菌のチカラ【生きてる肥料】![]()
まとめ
べと病の要点です。
見分け方
- 葉表に葉脈で区切られた角形の斑点
- 湿った日は葉裏に灰色〜暗灰色のかび
- うどんこ病(白い粉・乾き気味)とは条件が逆
きゅうり
- 20〜24℃・多湿で発生。肥切れも条件
- マルチや敷きわらで水滴のはね上がりを防ぐ
- 雨に当てず、株間をあけ、追肥を切らさない
玉ねぎ(秋植え)
- 10〜12月に感染し、翌年2〜3月に発病(越年罹病株)
- 1,000株に数株でも2次感染の多発につながる
- 残渣はすき込まず、袋で持ち出す
いま玉ねぎの苗を植えるなら、選ぶ段階から始まっています。 葉の形と色を見てから買ってください。
参考