葉に、緑の濃い部分と薄い部分がまだらに混ざる。葉が縮れたり、形がゆがんだりする。それはモザイク病かもしれません。

モザイク病はウイルスによる病気で、一度かかると回復しません。 薬で治すこともできないため、できるのは「早く見つけて広げない」ことと「かからないように防ぐ」ことです。

ただし、原因のウイルスによって、うつり方がまったく違います。 アブラムシが運ぶものもあれば、アブラムシとは関係なく、手や種、土でうつるものもあります。うつり方を知らずに対策すると、的外れになりかねません。

この記事では、野菜ごとの原因ウイルスとうつり方の違いから、見つけたときの処分、予防までを解説します。葉の異変全体の見分け方は葉の異変サイン10種にまとめています。

モザイク病とは

項目 内容
原因 ウイルス(野菜によって種類が違う)
主な症状 葉に緑の濃淡のモザイク模様、萎縮、奇形
治るか 治らない。 一度感染すると回復しない
薬 薬剤で治すことはできない
人への影響 人体には影響しない

かかった野菜は食べられる?

フマキラーは、モザイク病のウイルスは人体に影響がないため、感染した初期の野菜や果実は食べても構わないと説明しています。

ただし、症状が進むと、キュウリでは実にこぶができて形がゆがむことがあります。実の状態を見て判断してください。

9月は秋まきのアブラナ科に注意

ダイコンのモザイク病は、生育初期に羽のあるアブラムシが多いと多発するとされています。9月にまくダイコンやハクサイ、キャベツなどは、芽が出た直後から守ることが大切です。

うつり方は大きく2タイプ

モザイク病を起こすウイルスは、うつり方で次の2つに分けて考えると対策を立てやすくなります。

A. アブラムシが運ぶタイプ B. 手・道具・種・土でうつるタイプ
主なウイルス CMV(キュウリモザイクウイルス)、WMV(カボチャモザイクウイルス)、ZYMV、TuMVなど TMV(タバコモザイクウイルス)、ToMV(トマトモザイクウイルス)、PMMoVなど
主な野菜 キュウリ、ダイコン・ハクサイ・キャベツ、トマトなど トマト、ピーマン、ししとうなど
アブラムシ 主な運び手 虫ではうつらない
手・道具 作業でうつることもある 非常にうつりやすい
種・土 — 種の表面や土に残ったウイルスからうつる
予防の中心 アブラムシを寄せない 手・道具・種・土を清潔に保つ

Aタイプ:アブラムシは「短い時間」で運ぶ

大阪府病害虫防除所の資料では、CMVのアブラムシによる伝染を非永続伝染に分類しています。これは、ウイルスを持ったアブラムシが、短い時間だけ感染させる力を持つタイプです。

CMVはマメ科・ナス科・ウリ科・キク科・アブラナ科・バラ科など、ほとんどすべての野菜に感染するとされています。感染した株を吸ったアブラムシが、近くの株へ移って吸うことで広がるため、飛んでくるアブラムシを株に寄せないことが予防の中心になります。

Bタイプ:虫ではなく「触ること」で広がる

高知県は、トマトのTMV・ToMVについて「虫媒伝染はしない」とし、種子伝染、管理作業による接触伝染、土壌伝染を挙げています。ピーマン・ししとうのウイルスについても、極めて容易に接触伝染すると注意しています。

芽かきや収穫で、病気の株に触れた手やハサミのまま次の株に触れるだけで広がります。アブラムシ対策をどれだけ徹底しても防げないのが、このタイプです。

A gardener pinching side shoots on tomato plants with bare hands in a home vegetable garden, showing

野菜別の原因ウイルスと症状

野菜 主な原因ウイルス タイプ 症状の特徴
キュウリ CMV、WMV、ZYMVなど A 緑の濃淡のモザイク、葉の萎縮・奇形。WMVでは葉の縁がのこぎり状、実にこぶ
トマト CMV、TMV・ToMVなど A・B両方 葉のモザイク。原因によって対策が変わる
ピーマン・ししとう TMV、PMMoV、TMGMV B PMMoVは葉に軽いモザイク、実が退緑〜黄化。TMV・TMGMVは明瞭なモザイクで、えそが出ることも
ダイコン・ハクサイ・キャベツなど TuMV、CMVなど A 葉脈が透けたあと濃緑〜黄色のモザイク、ちりめん状

キュウリ

島根県によると、CMVでは小さな黄色の斑点が集まってモザイクになり、WMVでは葉脈の間にやや大きな黄緑色の斑紋ができ、葉脈が透けたり、実にこぶができて奇形になったりします。

アブラムシの活動が活発な春から秋に発生しやすく、乾燥した天気が続くとアブラムシが増えて多発しやすいとされています。

トマト

トマトは、アブラムシが運ぶCMVと、手や種、土でうつるTMV・ToMVの両方にかかります。症状だけでどちらかを見分けるのは難しいため、両方の予防をしておくのが確実です。

品種カタログでは、「Tm-2a」などの記号でトマトモザイクウイルスへの抵抗性が示されています。苗や種を買うときに確認してください。

ピーマン・ししとう

高知県は、うつり方を次のように説明しています。

  • 病気の株から採った種の表面には多数のウイルスが付着し、発芽のときの傷口から次の株に感染する
  • 発病株の根から土にウイルスが出て、新しく植えた株の根の傷口から侵入する
  • 管理作業で、健康な株へ接触伝染する

ダイコン・ハクサイ・キャベツ

全国農村教育協会の資料では、汁液でもうつるが、アブラムシによる伝染が主体とされています。ダイコンは初期にかかると株全体が縮み、根が太らないため、秋まきの芽が出た直後の対策が重要です。

モザイク病を見分けるポイント

次のような症状がそろったら、モザイク病を疑います。

  • 葉の緑が濃い部分と薄い部分でまだら(モザイク状)になっている
  • 葉が縮れる、ゆがむ、ちりめん状になる
  • 茶色く枯れた斑点や筋(えそ)が出ることもある
  • 株全体の育ちが悪く、縮んだように見える

栄養不足でも、葉の色が黄色くまだらに変わることがあります。 1株だけで判断せず、周りの株にも同じ症状が広がっていないかを確認してください。栄養不足との見分け方は、冒頭で紹介した葉の異変サインの記事で解説しています。

Side by side comparison of a healthy green pepper leaf and a leaf with a pale yellow green mottled m

見つけたときの対処

治らない病気なので、目的は「ほかの株に広げない」ことです。 高知県と大阪府の資料をもとに、手順をまとめます。

  1. 発病株は、見つけたらすぐに抜き取る
  2. 抜いた株は畑やプランターに残さず、袋に入れて処分する
  3. 触った手は石鹸でよく洗う
  4. ハサミなどの刃物は、ほかの株に使う前に消毒するか、別のものに替える
  5. 収穫が終わったら、根や葉の残さを土に残さない
  6. 周りの株にアブラムシがついていないか確認する

作業の順番は、健康な株を先に、疑わしい株を最後にするのが安全です。ハサミや支柱の消毒方法は家庭菜園の道具消毒にまとめています。

モザイク病の予防

Aタイプ(アブラムシが運ぶ)の予防

対策 ポイント
防虫ネット 苗のうちからネットで覆う
反射マルチ(シルバーマルチ) 光の反射で羽のあるアブラムシの飛来を減らす
アブラムシの防除 見つけたら早めに対処する。ダイコンは生育初期が重要
除草 畑とその周りの雑草を取り除く
乾燥が続く時期に注意 アブラムシが増え、発生しやすくなる

反射マルチの効果は、試験でも確かめられています。青森県産業技術センター野菜研究所がニンニク畑で行った試験では、透明マルチと比べて、反射マルチで羽のあるアブラムシの飛来数が66〜72%減り、アブラムシが運ぶウイルスに感染した株の割合も42〜59%減りました。

シルバーマルチは幅と長さで選びます。畝の幅より少し広いものを選ぶと、端を土で押さえて固定しやすくなります。

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ネットの目合いと張り方は防虫ネットの使い方、マルチの張り方はマルチシートの張り方と効果、アブラムシの防ぎ方はアブラムシ対策を参照してください。

防虫ネットは、目合い(網目の細かさ)によって防げる虫が変わります。アブラムシのような小さな虫を防ぐなら、目合いの細かいものを選んでください。

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Young daikon radish seedlings covered with fine white insect netting over hoops, silver reflective m

Bタイプ(手・種・土でうつる)の予防

対策 ポイント
抵抗性品種を選ぶ トマトはTm-2aなどの抵抗性の表示を確認する
病気の株から種を採らない 種の表面にウイルスが付いている
手とハサミを清潔に 株を移るたびに手を洗い、刃物は消毒するか替える
残さを土に残さない 根から土にウイルスが出る

シルバーマルチや防虫ネットは、アブラムシを防ぐための対策です。 Bタイプには効果がないので、2つのタイプの対策を混同しないようにしてください。

Garden pruning scissors being wiped with a cloth next to a spray bottle and a pair of gloves on a wo

よくある質問

Q. モザイク病は治りますか?

治りません。ウイルス病は一度感染すると回復せず、薬剤で治すこともできません。見つけたらすぐに抜き取り、ほかの株に広げないことを優先してください。

Q. モザイク病にかかった野菜は食べられますか?

モザイク病のウイルスは人体に影響がないため、感染した初期の野菜や果実は食べても構わないとされています。症状が進んだ株では、実にこぶができるなど形が悪くなることがあるので、状態を見て判断してください。

Q. アブラムシを駆除すれば、モザイク病は防げますか?

アブラムシが運ぶタイプ(キュウリやダイコンのCMV・TuMVなど)には有効です。一方、トマトやピーマンのTMV・ToMV・PMMoVは虫ではなく手や道具、種、土でうつるため、アブラムシ対策では防げません。手とハサミを清潔に保ち、抵抗性品種を選んでください。

Q. 抜いた株のあとに、また野菜を植えても大丈夫ですか?

原因がトマトやピーマンのTMV・ToMV・PMMoVなどなら、発病株の根から土にウイルスが出て、次に植えた株に根の傷口から侵入することがあります。根や葉の残さをできるだけ取り除き、次は抵抗性品種を選んでください。

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まとめ

モザイク病の要点です。

基本

  • ウイルス病で、一度かかると治らない。 薬剤でも治せない
  • 人体には影響しない。初期の実は食べても構わない

うつり方は2タイプ

  • A:アブラムシが運ぶ(キュウリ・アブラナ科のCMV・TuMVなど)
  • B:手・道具・種・土でうつる(トマト・ピーマンのTMV・ToMV・PMMoVなど)
  • トマトは両方にかかる

見つけたら

  • すぐ抜き取り、残さを残さない
  • 手は石鹸で洗い、刃物は消毒するか替える

予防

  • A:防虫ネット・反射マルチ・除草
  • B:抵抗性品種・種を採らない・清潔な手と道具

9月にまくダイコンやハクサイは、芽が出た直後にアブラムシが来ると被害が大きくなります。種をまいたその日から、防虫ネットをかけておくのがおすすめです。


参考

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