昨日まで元気だったトマトが、葉が青いまましおれている。 しかも翌朝には少し戻っている。

この「枯れているのに緑のまま」という状態が、青枯病の名前の由来です。しおれは水切れとよく似ていますが、原因も対処もまったく違います。

この記事では、その場で確かめられる見分け方と、うつり方、そして家庭菜園でできる対策をまとめます。しおれの原因全般は水切れと過湿の見分け方を参照してください。

青枯病とは

項目 内容
病原 細菌(Ralstonia solanacearum)
主な野菜 トマト・ナス・ピーマン・ししとうなどナス科
伝染 土壌伝染。 主に根の傷口から入る
治るか 治らない。 発病株は抜き取る
進行 高温時は1週間ほどで枯死

高知県は、なすの青枯病について病原菌をRalstonia solanacearumとし、発病後の経過を次のように説明しています。

「一部の葉が水分を失って青いまましおれる。2〜3日間は日中はしおれ、夜間や曇雨天の日には回復するが、その後回復しなくなり、株全体がしおれ、ついには枯死する」

「夜になると戻る」時期があるのがこの病気の特徴です。ここで「水が足りなかっただけ」と判断してしまうと、対処が遅れます。

Close up of a wilted tomato stem near the soil line being cut with pruning shears, showing browned v

水に挿して確かめる

青枯病かどうかは、その場で確かめられます。

高知県の資料には、次のように書かれています。

「茎の地際部を切断すると維管束が褐変しており、この茎を水を入れた容器などに差し込むと、白色の細菌液が糸を引くように流出する」

手順にすると、こうなります。

  1. しおれた株の地際部の茎を切る
  2. 切り口を見る → 維管束(茎の中の管の部分)が褐色になっている
  3. 切った茎を透明なコップの水に差す
  4. 数分待つ → 切り口から白い液が糸を引いて流れ出す

この白い糸が見えたら、青枯病です。 水切れや根腐れでは、このようなものは出ません。

確かめた道具と水は、そのまま使い回さないでください。 病原菌そのものが流れ出ている状態です。

どうやってうつるか

高知県は、伝染についてこう説明しています。

「水によって運ばれ、定植時や管理作業の際の根の傷、線虫などによる食害、側根が発生するときの亀裂など、根の傷口から侵入する。また、地上部からも、管理作業時にはさみなどを介して伝染する」

経路 具体的に
根の傷 定植時に根を傷つける、線虫の食害、側根が出るときの亀裂
水 雨や水やりで菌が運ばれる
はさみ・手 芽かきや収穫の作業で株から株へ

「土の中の病気」だと思われがちですが、はさみでも広がります。 ここは灰色かび病やモザイク病と同じで、道具の扱いが結果を左右します。

道具の消毒方法は家庭菜園の道具消毒にまとめています。

株を移るたびに拭ける小型のはさみがあると作業が止まりません。分解して洗える構造だと消毒も楽になります。

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発生しやすい条件

高知県は、発病を助長する条件として「高温、排水不良、過度のかん水、肥料過多」を挙げています。

条件 家庭菜園での例
高温 真夏。 高温時は1週間ほどで枯死する
排水不良 水がたまる畝、底穴の詰まったプランター
過度のかん水 毎日たっぷり与え続ける
肥料過多 元肥も追肥も多めに入れる

「たくさん水と肥料をやる」ほど発病しやすくなるという点が、初心者には意外なところです。手をかけるほど良いとは限りません。

とくに梅雨明けから真夏にかけては条件がそろいます。気温が上がり、夕立で畝に水がたまり、追肥も重なる時期です。高知県の資料にあるとおり、高温時には病勢の進展が早く、1週間ほどで枯死します。この時期の「しおれ」だけは、水切れと決めつけないでください。

また、定植のときに根を傷つけないことも予防のひとつです。根鉢を強く崩したり、乾いた土に無理に押し込んだりすると、それ自体が侵入口になります。植え穴に先に水を入れ、崩さずそっと据えるだけで傷は減らせます。

Raised vegetable beds with good drainage and mulch in a sunny summer garden, water running off rathe

見つけたときと予防

見つけたとき

  • 発病株は早めに抜き取る(高知県は除去焼却を挙げています)
  • 抜いた株は畑に残さず、袋に入れて持ち出す
  • 触ったはさみを消毒する。 高知県は次亜塩素酸ソーダによるはさみの消毒を挙げています
  • 抜いた跡の土を、他の畝に移動させない

予防

対策 内容
抵抗性台木への接ぎ木苗を使う ナス科では有効な選択肢
土壌消毒 太陽熱利用や土壌くん蒸剤
排水を改善する 畝を高くする、暗渠をつくる
施肥を適正にする 肥料過多を避ける
定植時期の調整 高温期を外す
連作を避ける 同じ場所でナス科を続けない

接ぎ木苗の選び方は接ぎ木苗の選び方と特徴、連作の考え方は連作障害を避ける畝のローテーションにまとめています。

ナス科では抵抗性台木の接ぎ木苗が選択肢になります。購入時は台木の種類と接ぎ木部の位置を確認してください。

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プランター栽培なら、土を入れ替えるのが確実です。 発病した株を育てた土は、他の野菜に使い回さないでください。

プランター・ベランダでの対応

畑と違い、プランターは「土ごと切り離せる」のが強みです。発生してしまったときの手順は、畑より単純になります。

手順 やること
1 発病株を、土ごと袋に入れて抜き取る
2 そのプランターの土は他の野菜に回さない
3 容器は洗って乾かす。使い回すなら消毒する
4 受け皿にたまった水は流さず捨てる

見落としやすいのが受け皿です。 高知県の資料にあるとおり、この菌は水によって運ばれます。受け皿の水が隣のプランターへ流れる置き方をしていると、それだけで経路になります。

ベランダでは、鉢を直接床に置かないほうが安全です。 台やスタンドで浮かせると、水がたまらず、雨で跳ね返った土も届きにくくなります。過度のかん水を避けることは、そのまま予防になります。

Potted vegetable plants raised on stands on a balcony with individual saucers, good spacing and drai

よくある質問

Q. 水切れとどう見分けますか?

水をやってもしおれが戻らない、あるいは夜だけ戻るという経過なら青枯病を疑います。確実なのは、地際の茎を切って水に差す方法です。切り口から白い細菌液が糸を引いて出れば青枯病です。

Q. 治す方法はありますか?

ありません。発病した株は早めに抜き取り、袋に入れて畑の外へ持ち出してください。残すほど、水やはさみを介して周りの株へ広がります。

Q. 同じ場所にまた植えられますか?

病原菌は土の中に残ります。ナス科を続けて植えるのは避け、太陽熱を使った土壌消毒や、抵抗性台木の接ぎ木苗の利用を検討してください。プランターなら土を入れ替えるのが確実です。

Q. 同じナス科でも、かかりにくい野菜はありますか?

高知県の資料はなす・ピーマン・ししとうについて記載しており、トマトでも発生します。ナス科であればいずれも対象と考えて、連作を避け、抵抗性台木の接ぎ木苗を選ぶのが現実的な対応です。品種による差より、土と水の条件のほうが結果を左右します。

Q. 実は食べられますか?

発病した株の実は、傷みが進んでいなければ食べても差し支えありませんが、株が枯れる過程で品質は落ちます。それより、抜き取って広げないことを優先してください。

A gardener disinfecting pruning shears with a spray bottle before moving to the next plant in a vege

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まとめ

青枯病の要点です。

見分け方

  • 葉が青いまましおれる。 はじめは夜に回復し、やがて戻らなくなる
  • 地際の茎を切って水に差す → 白い細菌液が糸を引く
  • 切り口では維管束が褐変している

うつり方

  • 水で運ばれ、根の傷口から侵入
  • はさみなど道具を介して地上部からも

条件

  • 高温・排水不良・過度のかん水・肥料過多

対策

  • 発病株は早めに抜き取り、袋で持ち出す
  • はさみを消毒する(次亜塩素酸ソーダ)
  • 抵抗性台木の接ぎ木苗・太陽熱消毒・排水改善・連作回避

この病気は、気づくのが早いほど被害が小さくなります。 1株で止められれば畝は守れますが、数日放置すると隣へ移ります。

しおれを見たら、水をやる前に茎を切ってください。 判断が1日早いだけで、残る株の数が変わります。


参考