収穫しようと手に取った実に、小さな穴があいている。割ってみると中が食べられ、周りから腐り始めている。
タバコガの幼虫です。葉をかじる害虫と違い、実の内部に入り込むため、外から見ただけでは気づけません。
この記事では、県の病害虫情報をもとに、被害の特徴・オオタバコガとの違い・見つけ方と対策をまとめます。害虫全体の見分け方は家庭菜園の害虫図鑑を参照してください。
タバコガとは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 幼虫の大きさ | 老熟すると約40mm |
| 色 | 淡緑色の地に、背面の両側に白いすじ |
| 卵 | 直径0.4mmのまんじゅう型 |
| 産む場所 | 果実のへた付近、蕾、葉の裏に1個ずつ |
| 加害する野菜 | ピーマン、トマト、ナス、オクラなど |
島根県の資料では、卵は「果実のへた付近や蕾、葉の裏に1個ずつ産みつけられる」とされています。まとまって産まないため、卵の段階で気づくのは困難です。
被害の特徴
島根県は、被害の進み方をこう説明しています。
「ふ化直後の幼虫は蕾や花を食害するが、一度脱皮すると果実に食入し、内部の種子を食害する」
そして「食入加害を受けた果実は食入孔の周囲から腐敗し、食用にならない」とされています。
1頭が何個も食べる
この虫のいちばん厄介な性質がここです。
高知県はトマトのオオタバコガについて、「1頭の幼虫が果実を渡り歩いて食害するために、寄生幼虫数が少なくても被害果が多くなる」としています。
虫が1匹しかいなくても、被害果は何個も出る。 だから「大量発生していないから大丈夫」という判断が通用しません。

オオタバコガとの違い
よく似た2種がいて、どちらも同じような被害を出します。
| タバコガ | オオタバコガ | |
|---|---|---|
| 刺毛 | 短い | 長い |
| 背面の斑紋 | 黒い斑紋が目立つ | 目立ちにくい |
| 露地の発生回数 | 年3回 | 年4〜5回 |
| 越冬 | 蛹が土中 | 主に蛹態(施設内) |
| 産卵数 | 200〜300個 | 平均400〜700個 |
島根県は、「タバコガはオオタバコガより刺毛が短く、背面の黒い斑紋が目立つのが特徴」としています。
家庭菜園では、厳密に見分ける必要はありません。 対策は同じです。ただしオオタバコガのほうが発生回数も産卵数も多いので、施設やトンネルを使っている場合は警戒を強めてください。
発生の時期
| 時期 | 状態 |
|---|---|
| 冬 | 蛹が土中で越冬 |
| 5月中旬ごろ | 成虫が現れる |
| 6月下旬〜 | 被害が見られ始める |
| 8月・9月中〜下旬 | 被害がもっとも多くなる |
| 11月中旬 | 発生が終わる |
島根県によると、卵期間は3日、幼虫期間は20〜25日で、1か月程度で成虫になります。世代の回転が速いということです。
さらに、9月には被害果率が20%以上になることもあるとされています。5個に1個が食べられる計算です。高知県も、オオタバコガの密度は8〜9月に最も高くなるとしています。
秋の収穫期は、この虫がいちばん多い時期と重なります。
見つけ方
実の中にいるため、姿を直接探すより痕跡を探すほうが早く見つかります。
- 食入孔(実にあいた小さな丸い穴)
- 虫糞(穴の周りや実の下に落ちた黒い粒)
- 新しい食害痕(新芽や蕾がかじられている)
- 若齢幼虫による円形または楕円形の孔(葉や新芽)
高知県は防除の第一歩として、「新しい食害痕や虫糞の排出に注意」することを挙げています。
毎日の収穫のついでに、実の付け根とその真下を見る習慣をつけてください。落ちている黒い粒が、いちばん分かりやすい合図です。

若いうちに見つけるほうが楽
ふ化直後の幼虫は、まだ実に入っていません。 島根県の説明どおり、この段階では蕾や花を食べています。脱皮して実に入られると、外から手が出せなくなります。
高知県も、若齢幼虫は新芽や葉に円形または楕円形の孔をあけ、中・老齢になると茎や腋芽の内部へ侵入するとしています。
| 段階 | いる場所 | 対処 |
|---|---|---|
| ふ化直後 | 蕾・花・新芽 | 見つけて捕殺できる |
| 脱皮後 | 果実の内部 | 実ごと処分するしかない |
| 老熟 | 茎や腋芽の内部にも | 被害部を切り取る |
つまり、蕾や新芽の食害痕を見た時点が最後のチャンスです。実に穴があいてからでは、その実はもう戻りません。

対策
見つけたらすること
- 幼虫を捕殺する(実の中にいれば、その実ごと処分)
- 孔のあいた果実は早期に摘果する
- 摘果した実は袋に入れて畑の外へ出す
- 周りの実のへた付近を確認する
高知県も、孔のあいた果実を「早期に摘果」するよう挙げています。放置すると、中の幼虫がそこで育ち、次の実へ移ります。
入れない
成虫は夜に飛来して産卵します。 物理的に入れないのが確実です。
高知県は、施設の開口部に寒冷紗(目合い5mm程度)を張ることを挙げています。チョウやガを止めるには、細かすぎる目合いは不要ということです。家庭菜園のトンネルでも同じ考え方が使えます。
ネットの選び方は防虫ネットの使い方にまとめています。
ガやチョウの侵入を防ぐなら、細かすぎない目合いで足ります。トンネルの周囲を覆える幅があるか確認してください。
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栽培が終わったら
蛹は土の中で越冬します。 高知県は、栽培終了時に施設を密閉して蒸し込みを行う方法を挙げています。
家庭菜園では次のように置き換えられます。
- 残った株と被害果を畑に残さない
- プランターなら、冬に土を掘り返して天日に当てる
- 畑なら、耕して蛹を地表に出す
農薬を使わない対策全般は農薬を使わない家庭菜園の害虫対策を参照してください。トマトやピーマンの育て方はミニトマトのプランター栽培、ピーマンをプランターで育てる方法にまとめています。
被害果を切り取る作業が続く時期は、手元に置ける小型のはさみがあると楽です。刃先の細いものが実を傷めません。
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よくある質問
Q. 穴のあいた実は食べられますか?
食入孔の周囲から腐敗するため、食用には向きません。島根県も「食入加害を受けた果実は食入孔の周囲から腐敗し、食用にならない」としています。見つけたら早めに摘果して処分してください。
Q. 数匹しかいないのに被害が多いのはなぜですか?
1頭の幼虫が果実を渡り歩いて食害するためです。高知県も、寄生している幼虫の数が少なくても被害果が多くなると説明しています。虫の数と被害の数は一致しません。
Q. いつがいちばん危ない時期ですか?
8月から9月中〜下旬です。島根県では9月に被害果率が20%以上になることもあるとされ、高知県もオオタバコガの密度は8〜9月に最も高くなるとしています。秋の収穫期と重なります。
Q. ネットの目合いはどれくらい必要ですか?
高知県は施設の開口部に目合い5mm程度の寒冷紗を張ることを挙げています。アブラムシのような微小害虫を防ぐ細かい目合いは必要ありません。
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まとめ
タバコガ対策の要点です。
被害
- ふ化直後は蕾や花、脱皮後は果実に食入して種子を食べる
- 食入孔の周囲から腐敗し、食用にならない
- 1頭が果実を渡り歩くので、虫が少なくても被害果は増える
時期
- 蛹が土中で越冬。5月中旬ごろから成虫
- 8月・9月がピーク。 9月は被害果率20%以上のことも
見つけ方
- 食入孔と虫糞。 実の付け根と真下を見る
対策
- 孔のあいた実は早期に摘果して袋で持ち出す
- 目合い5mm程度のネットで成虫を入れない
- 収穫後は株と被害果を残さず、土を耕す
この虫は、数の多さではなく「一匹あたりの被害の大きさ」で効いてきます。 だからこそ、早い段階で一匹を取る価値があります。
毎日の収穫のついでに、落ちている黒い粒を探してください。 それが最初の合図です。
参考