収穫したじゃがいもを洗っていると、針で突いたような小さな穴が点々と開いている。深さはそれほどでもないが、数が多い。

ハリガネムシです。 名前は虫の形から来ていて、カマキリに寄生するあのハリガネムシとは別の生き物。コメツキムシの幼虫の俗称です。

この記事では、被害の見分け方と、薬以外で減らす方法をまとめます。

どういう虫か

全国農村教育協会の資料によれば、幼虫は針金のような細長い体形で、光沢のある硬い表皮をもちます。

種類は複数います。

  • マルクビクシコメツキ|幼虫は体長約25mm、体幅1.7mm、光沢のある茶褐色。成虫は体長7〜9mm
  • トビイロムナボソコメツキ|幼虫は体長約23mm、体幅1.3mm、光沢のある卵黄色
  • コガネコメツキ|幼虫は体長約28mm、体幅4mm、橙黄色

細長くて硬く、つやがある。 土を掘ってこの形の虫が出てきたら、ほぼこれです。

体色は種類で違いますが、どれも共通して細長く、押しても簡単にはつぶれない硬さがあります。土の中で見つかる虫のなかでは、形がはっきり違うので判別しやすいほうです。

土を掘り返して拾う作業に使うので、幅の狭いものが向きます。ステンレス製は土離れがよく、洗うのも簡単です。

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成虫には変わった習性があります。敵から逃れるため偽死行動をとり、裏返ると「パチンという音をたてて飛び跳ね」て起き上がる。 コメツキムシという名前は、この動きから来ています。

加害するのは幼虫だけで、成虫は作物を食べません。

つまり、成虫を見かけても慌てる必要はありません。問題は、その成虫が土に産んだ卵から始まる数年先の話です。逆に言えば、畑のまわりで成虫をよく見る年は、数年後に被害が出やすいという予兆になります。

A slender shiny brown wireworm larva about two centimetres long lying on dark soil beside a trowel,

被害の見分け方

主な対象はジャガイモの塊茎です。資料は被害をこう説明しています。

新イモでは「針金で突き刺したような被害痕」が残り、商品価値が下がります。被害イモは腐敗しやすく、貯蔵できない。

農林水産省の栽培技術指針も、ジャガイモの害虫としてハリガネムシを挙げ、針金のような細長い虫(コメツキムシ類の幼虫)が、いもの表面から体を突き刺すように食い込み、いもの表面に直径2〜3mmの小孔ができるとしています。

直径2〜3mm。 これが目安の数字です。

ほかの被害との違い

加害者 痕の様子
ハリガネムシ 直径2〜3mmの小さな円い穴。 複数
コガネムシ幼虫 表面をえぐったような広い傷
ナメクジ 不規則なくぼみ。ぬめりの跡
そうか病 かさぶた状のあばた。 穴ではない

「小さくて丸い穴が点々」ならハリガネムシだと考えてください。土の中の白い虫はコガネムシ幼虫の対策、いもの表面のあばたはじゃがいものそうか病を参照してください。

植え付け直後も危ない

資料は、植付後の種イモが被害を受けると、発芽が阻害されたり生育が抑制されたりするとしています。

芽が出ないのは種いもが悪かったから、とは限りません。 掘り返してみると、虫が入っていることがあります。

発芽しなかった株をそのままにせず、一度掘って原因を確かめる価値はここにあります。虫が原因なら、周囲の株も同じ条件にあるということです。

対象はじゃがいもだけではありません。 多食性で、根菜類、トウモロコシ、ムギ類、イネ科牧草も食害します。

2〜3年かけて育つ

ここが、この虫の対策を難しくしています。

資料によれば、卵からふ化した幼虫は土壌中で2〜3年かけて成長し、最終年の6〜7月に蛹化して成虫になる。

1年では入れ替わりません。 今年被害が出た畑には、来年も再来年も幼虫が残っています。

「今年だけ対処すれば終わり」ではないということです。複数年にわたる計画が要ります。

発生しやすい場所

種類によって分布が違います。マルクビクシコメツキは全国の火山灰土や沖積土地帯に、トビイロムナボソコメツキは北海道に多く、泥炭土地帯に発生します。

そして、資料には被害は局所的に発生することが多いとあります。

畑全体ではなく、一部の区画に固まる。 去年被害が出た場所を覚えておくと、翌年の判断に使えます。

記録を残しておくと役に立ちます。どの畝で何個穴の開いたいもが出たか、簡単にメモするだけで、翌年どこにじゃがいもを植えないかを決められます。

植え付け用として売られているものを選んでください。品種名と検定の表示があるものが確実です。

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A home vegetable plot with grassy weedy edges adjacent to the cultivated beds, early summer daylight

減らす方法

1. 輪作する

資料が挙げる防除法のひとつが、被害が少ない作物との輪作です。

イネ科は食べられるので避けてください。 トウモロコシやムギ類も加害対象です。マメ科や葉物を挟むほうが確実です。

畑を休ませる年に緑肥をまく場合も、イネ科は選ばないでください。

作付けの回し方は連作障害を避ける畝のローテーションにまとめています。

2. 周囲の草を刈る

幼虫は雑草の根も餌にします。畑の周囲に草地があるほど、供給源が近くなります。

畝の肩、通路、畑の外周。ここを刈っておくだけで、入ってくる数が減ります。 雑草対策は家庭菜園の雑草対策を参照してください。

3. 耕して拾う

掘ったときに見つけたら、その場で取り除いてください。 2〜3年かけて育つ虫なので、1匹取れば来年以降の被害が確実に減ります。

植え付け前に耕すとき、土をよく見ながら進めると、まとまった数を拾えます。

鳥に手伝ってもらう方法もあります。耕したあとしばらく放置しておくと、ムクドリやセキレイが降りてきて土の表面に出た幼虫をついばみます。すぐに畝を立てず、一日置くだけで違います。

4. 早めに掘る

土の中に置く時間が長いほど、穴は増えます。 枯れるのを待ちすぎず、適期に掘り上げてください。

じゃがいもの収穫時期はプランターでじゃがいも栽培にまとめています。

プランター栽培なら、そもそも被害に遭いにくくなります。新しい培養土を使えば、土の中に幼虫はいません。地植えで毎年やられるようなら、数年だけ鉢に切り替えるという逃げ方もあります。

Gloved hands sifting through turned garden soil looking for larvae before planting, spring daylight
Freshly dug potatoes laid out on soil in the shade, some with small bore holes visible, autumn after

薬剤について

資料には、発生が多い圃場では薬剤防除を行うとあり、土壌くん蒸剤が挙げられています。

ただし、これらは家庭菜園向きではありません。 取り扱いに資格や届出が要るものもあります。

家庭菜園では、輪作・除草・拾い取り・早掘りの4つで組み立ててください。 2〜3年かけて育つ虫なので、同じ年に劇的に減らすことはできませんが、数年続ければ確実に減ります。

よくある質問

Q. カマキリに寄生するハリガネムシと同じですか?

別の生き物です。こちらはコメツキムシ(甲虫)の幼虫の俗称で、カマキリなどに寄生する類線形動物のハリガネムシとは関係がありません。名前が同じなのは、どちらも針金のような形をしているためです。

Q. 穴の大きさはどれくらいですか?

直径2〜3mmの小孔です。針金で突き刺したような痕になります。コガネムシ幼虫による表面をえぐるような傷とは形が違います。

Q. 食べられますか?

穴の部分を取り除けば食べられます。ただし被害イモは腐敗しやすく貯蔵できないため、早めに使い切ってください。

Q. 一度対策すれば終わりですか?

終わりません。幼虫は土壌中で2〜3年かけて成長するため、今年被害が出た畑には来年以降も幼虫が残っています。複数年にわたって輪作と除草を続けてください。

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まとめ

  • コメツキムシの幼虫。針金のような細長い体で、光沢のある硬い表皮
  • 被害は直径2〜3mmの小孔。針で突いたような痕
  • 加害するのは幼虫だけ。 成虫は作物を食べない
  • 被害イモは腐敗しやすく貯蔵できない
  • 植え付け直後の種いもも狙われる
  • 土壌中で2〜3年かけて成長する。 1年では入れ替わらない
  • 被害は局所的に出る。 場所を覚えておく
  • 家庭菜園では輪作・除草・拾い取り・早掘り

数年がかりの相手です。 今年の収穫より、来年以降を見て動いてください。


参考