採れすぎた野菜を、塩をふって重しをするだけ。浅漬けは、家庭菜園といちばん相性のいい保存食です。
ただし、昔ながらの漬物とは別物だと知っておく必要があります。塩分が低く、発酵もしていない。保存食というより、サラダに近いのが浅漬けです。
この記事では、塩の量の目安と、衛生面で押さえるべき点をまとめます。
浅漬けは保存食ではない
神奈川県の注意喚起は、浅漬けの性質をこう説明しています。
本来の漬物は塩分濃度が高く、乳酸発酵もあるため、食中毒菌が生き残りにくい。浅漬けにはこうした特性がないため、食中毒菌が死滅せず、事故につながると考えられています。
さらに、浅漬けは加熱工程がなく、製造過程で十分な殺菌ができないため、原材料から製品までの一貫した衛生管理が求められるとされています。
「漬けたから日持ちする」ではありません。 生野菜と同じ扱いをしてください。
過去の事故
浅漬けによる食中毒は、実際に起きています。神奈川県の資料では、平成24年8月の浅漬けによる腸管出血性大腸菌O157食中毒で8名が亡くなっています。
原因菌としては腸管出血性大腸菌が中心で、農業用水や堆肥を介して農産物を汚染するおそれがあるとも記されています。
自分で育てた野菜だから安全、ということはありません。 土と水に触れている以上、条件は同じです。
むしろ家庭菜園のほうが注意が要る面もあります。堆肥を自作している畑では、未熟な堆肥に菌が残っていることがあります。収穫した野菜をそのまま漬けるなら、洗浄の手間を省かないでください。

塩の量の目安
家庭でつくる浅漬けの塩の量は、野菜の重さに対して2%が基本の目安です。
- 2%|標準。しっかり漬かる
- 1%前後|薄味。水分の出方は穏やかになる
- 0.5%程度|ごく浅い。食感を残したいとき
厚生労働省の「漬物の衛生規範」に載るはくさい浅漬けの例では、塩分2.5%、pH5.5、保存料不使用で、10℃以下の保存と製造日から7日の賞味期限が設定されていました。
ここで誤解しないでほしいのは、2%という数字は味の目安であって、菌を抑える基準ではないという点です。 塩を増やせば安全になる、という性質のものではありません。
野菜の重さを量る
目分量だと毎回ぶれます。 ボウルごと計量器に載せ、風袋を引いてから野菜を入れると簡単です。
500gの野菜なら塩10g、300gなら6g。この計算だけ覚えておけば足ります。
塩の種類は、粗塩でも精製塩でもかまいません。粗塩のほうが角が立たない味になるとされますが、重量で計る限り塩分量は同じです。にがり分を含む粗塩は、やや水分が出にくいという違いがあります。
野菜の重さに対して2%を量るので、1g単位で表示されるものが向きます。ボウルごと載せて風袋を引ける機能があると簡単です。
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作り方
- 手を洗う(作業前と作業中、こまめに)
- 野菜を流水でよく洗う(葉物は1枚ずつ、きゅうりは1本ずつ)
- 水気を切る
- 食べやすく切る
- 重さを量り、2%の塩をまぶす
- 袋か容器に入れ、冷蔵庫へ
- 数時間〜一晩おく
昆布、唐辛子、ゆずの皮などを一緒に入れると香りが立ちます。塩の量は変えません。
重しは必ずしも要りません。保存袋に入れて空気を抜き、平らにして冷蔵庫に入れれば、野菜全体が塩に触れます。皿と重しを使う場合は、どちらも洗って乾かしたものを使ってください。
冷蔵庫の棚に収まる高さかを確かめてから選んでください。重し一体型なら、別に皿を用意する手間が省けます。
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漬かり具合は、野菜の厚みで決まります。薄く切れば2〜3時間、厚めなら一晩。時間を延ばすより、切り方を変えるほうが調整しやすくなります。
収穫した野菜の扱いは収穫した野菜の保存方法にまとめています。
衛生面で押さえる5つ
神奈川県の案内から、家庭向けの要点を抜き出します。
1. 流水でしっかり洗う
加熱できない野菜は流水で十分に洗い、汚れとともに細菌を洗い流します。 葉物は内側も洗います。キュウリやナスはスポンジやブラシで汚れを落とします。
畑から採ってきたものは、泥を落としてから台所に持ち込んでください。
収穫のときから意識しておくと手間が減ります。地面に直接置かない、落ちたものは漬物に回さない。家庭菜園後の泥汚れ対策で触れている考え方が、そのまま衛生対策になります。
2. 室温に置かない
細菌は時間とともに増えます。 室温に置かず、冷蔵庫で漬けます。
「常温で重しをして一晩」は、夏場には危険な作り方です。
昔ながらの漬物樽でそれができたのは、塩分が高く、発酵が進んでいたからです。塩を控えた現代の浅漬けに、同じやり方は当てはまりません。
3. 調味液を使い回さない
残った漬け汁に新しい野菜を足していく、という使い方は避けてください。 神奈川県も、調味液の再使用を避けるよう示しています。
4. 器具を使い分ける
まな板と包丁は、肉や魚と分けます。 分けられない場合は、野菜を先に切ってから肉を切る順番にしてください。
5. 大量に作らない
食べる分だけにします。 作り置きするほど、保存期間が延びてリスクが上がります。
採れすぎてどうしても使い切れないなら、浅漬けではなく冷凍や乾燥に回すほうが確実です。ハーブを電子レンジで乾燥する方法のように、水分を抜いてしまう保存のほうが日持ちします。

野菜別のコツ
きゅうり|板ずりしてから切ると色がよく出ます。薄く切るほど早く漬かります。
白菜|芯に近い部分は厚いので、そぎ切りにすると均一に漬かります。水分が多いので、塩は2%で十分です。
大根・かぶ|薄い輪切りかいちょう切りに。葉も一緒に漬けられます。
なす|アクが出るので、切ってすぐ塩をあてます。色を残したいならミョウバンを少量。
にんじん|水分が出にくいので、細く切るか、ほかの野菜と合わせます。
栽培した野菜の使い道はぬか漬けの始め方も参考になります。ぬか床は乳酸発酵するぶん、浅漬けとは性質が違います。


食べ切る目安
冷蔵で2〜3日を目安にしてください。
厚生労働省の衛生規範に載る例では、10℃以下の保存で製造日から7日の賞味期限が設定されていました。ただしこれは塩分2.5%で、衛生管理された施設でつくられたものの例です。
家庭でつくったものは、もっと短く見積もるほうが安全です。 作った日と翌日で食べ切る量にとどめてください。
においや粘りが出たら食べない。 迷ったら捨てる、が原則です。
容器も毎回きれいに洗ってください。前に漬けたものの汁が残った容器に新しい野菜を入れると、菌を持ち越すことになります。保存袋を使い捨てにするのがいちばん簡単です。
よくある質問
Q. 塩は何%が正解ですか?
野菜の重さに対して2%が基本の目安です。ただしこれは味の目安であって、菌を抑えるための基準ではありません。塩を増やしても食中毒を防げるわけではないので、洗浄と冷蔵保存のほうを徹底してください。
Q. 常温で漬けてもいいですか?
避けてください。細菌は時間とともに増えます。室温に置かず冷蔵庫で漬け、できるだけ早めに食べてください。夏場は特に危険です。
Q. 漬け汁は次に使えますか?
使い回さないでください。神奈川県の案内でも、調味液の再使用を避けるよう示されています。毎回新しく作ってください。
Q. 何日くらいもちますか?
家庭でつくったものは冷蔵で2〜3日を目安にしてください。厚生労働省の規範にある7日という例は、塩分2.5%で衛生管理された施設の製品の話です。
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まとめ
- 浅漬けは保存食ではなく、生野菜に近い。加熱工程がない
- 塩は野菜の重さの2%が目安。ただし安全の基準ではない
- 流水でしっかり洗う。 葉物は1枚ずつ、きゅうりはブラシで
- 室温に置かない。 冷蔵庫で漬ける
- 調味液は使い回さない
- まな板と包丁は肉・魚と分ける
- 大量に作らない。 冷蔵で2〜3日を目安に食べ切る
洗って、冷やして、早く食べる。 塩の量より、この3つのほうが効きます。
参考