葉の表面が、こすったように銀白色に光っている。 粉をふいたうどんこ病とも、斑点とも違う。光の角度を変えると、てらてらと反射する。
これはアザミウマの吸汁痕です。 体長1mmほどの細長い虫が、葉や花の中に潜んで汁を吸っています。
この記事では、被害の見分け方と、防虫ネットでは止められない理由、そして代わりに何をするかを、県の病害虫防除所と農研機構の資料からまとめます。
銀白色のすれ跡を見分ける
島根県病害虫防除所は、ネギアザミウマの被害をこう説明しています。
成・幼虫とも茎葉や花の中に生息し、表皮組織から吸汁加害する。加害部は銀白色になり、激発すると株が萎ちょうし枯死することもある
ナスにつくミナミキイロアザミウマについては、加害部が銀色〜銀褐色に光る(シルバリング)のが特徴とされ、症状の幅はさらに広くなります。
| 部位 | 症状 |
|---|---|
| 葉 | 葉脈に沿ったカスリ、銀白色のすれ、褐変 |
| 展開葉 | ケロイド状になる、株のすくみ |
| 果実 | 果実面の退色、すじ状褐変傷果、サメ肌傷果 |
| 全体 | 落葉、果実肥大停止、奇形果、株枯死 |
「光る」「かすれる」が共通点です。 穴が開くわけでも、かびが生えるわけでもありません。
虫そのものを確認する
島根県の資料によれば、ネギアザミウマの成虫は体長約1mm、全体淡黄〜灰黄色で、気温が低いと体色は濃くなります。 幼虫と蛹は全体が白色〜淡黄色で、紡錘形です。
肉眼ではほとんど点にしか見えません。 白い紙の上で葉や花を軽くたたくと、落ちた虫が動くので確認できます。
見る場所にもコツがあります。この虫は明るく開けた葉の表ではなく、花の内側、巻いた新芽の中、果実とへたのすきまといった、狭くて暗いところに集まります。株全体をながめても見つかりません。花を一つつまんで開き、中をのぞくほうが確実です。
症状が出る順番も覚えておくと役に立ちます。先に傷むのは新しく伸びてきた部分で、古い葉は最後まで無事なことがあります。株の下のほうだけを見て「まだ大丈夫」と判断すると、見落とします。
葉の異変全般の見分け方は葉の異変サイン10種にまとめています。

一年中いて、5月から増える
島根県の資料では、ネギアザミウマは年に10回以上発生し、冬でも幼虫・蛹・成虫が見られ、5月以降に増加するとされています。
増え方の数字も具体的です。
| 項目 | 数値(25℃) |
|---|---|
| 卵期間 | 5日 |
| 幼虫・蛹期間 | 約9日 |
| 成虫の寿命 | 20日前後 |
| 産卵数 | 1匹の雌が100〜200個 |
2週間で次の世代が出てきます。 気づいたときには何世代も重なっている、という状態になりやすいのはこのためです。
野菜を選ばない
寄主範囲も広く、ネギ類のほかキャベツ、エンドウ、メロン、キュウリ、ナス、ダイズ、さらにダリアやカーネーションなどの花にもつきます。
畑のどこかに居場所が残ります。 1つの作物だけ対策しても、隣から入ってきます。
花に集まる性質があるため、観賞用に植えた草花も供給源になります。野菜のそばにダリアやカーネーションのような花を植えているなら、そちらも一緒に見てください。
反射で飛来を減らす目的なので、銀色の面を上にして張ります。畝幅より広いものを選び、端を土で押さえてください。
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防虫ネットでは止まらない
ここが、他の害虫との最大の違いです。
農研機構が0.6mm目合いのネットでアブラナ科野菜の害虫を調べた試験では、モンシロチョウやハモグリバエ類は完全に阻止され、コナガ幼虫も1〜5%に抑えられました。しかしアザミウマ類とハダニ類は「阻止効果なし」に分類されています。
体が細く、小さすぎるためです。 一般的な防虫ネットで防ぎきるのは現実的ではありません。
ネットの選び方そのものは防虫ネットの使い方にまとめていますが、この虫に関しては別の手が要ります。

代わりに効く3つの手
1. 青色の粘着トラップ
この虫は青色に強く誘引されます。 黄色のトラップでも捕れますが、青色のほうが効果が高いとされています。
- 作物の10〜30cm上に吊るす
- 2〜3m間隔で1枚が目安
- 株の生長に合わせて高さを上げる
捕殺が目的ではなく、「いるかどうか」と「増えているか」を知るための道具と考えてください。設置と読み方は害虫粘着トラップの使い方にまとめています。
2. 光を反射させる
成虫は反射光を嫌います。 株元にシルバーマルチを敷くか、銀色の反射テープを張ると、飛来を減らせます。
ただし株が茂って地面が隠れると効果は落ちます。 定植直後からの数週間がもっとも効く時期です。マルチの張り方はマルチシートの張り方と効果を参照してください。
3. 周りの草を減らす
花の中に潜む性質があるため、畑の周りに花をつけた雑草が多いと供給源になります。 畝の肩と通路の草を刈っておくだけでも違います。
薬が効きにくい
島根県の資料は、ミナミキイロアザミウマについてこう明記しています。
本種は多くの薬剤に対する感受性が低く、薬剤防除は困難である
買ってきた薬をかければ解決、とはいきません。 花や新芽の内側に潜むため、薬液がかかりにくいという事情もあります。
使う場合は作用機構の異なる薬を交代で使い、トラップと反射資材を主役にするという組み立てが現実的です。夏場の害虫全般への向き合い方は夏の家庭菜園 害虫対策にまとめました。


ウイルス病を運ぶ
もうひとつ、吸汁被害そのものより重い問題があります。
島根県の資料は、ネギアザミウマがトマト黄化えそ病ウイルスを媒介すると記しています。ミカンキイロアザミウマも同じウイルスを媒介することが知られています。
ウイルス病に治療法はありません。 発病した株は抜き取るしかなく、吸汁被害が軽くても、媒介されれば収穫そのものを失います。
「少しだけなら放っておく」が通用しないのは、この点です。 発生を早く知るために、トラップを先に吊るしておく価値があります。
発病した株を見つけたときの扱いも、吸汁被害とは変わります。株に残った虫がそのまま次の株へ移るため、抜き取るときは袋に入れてその場で口を閉じ、畑の外へ出してください。引き抜いた株を畝に置いたままにすると、かえって広げることになります。
よくある質問
Q. 銀白色に光るのは病気ではないのですか?
病気ではなく、吸汁された跡です。表皮組織から汁を吸われた部分に空気が入り、光を反射するようになります。かびも斑点も出ない点で、うどんこ病やべと病と区別できます。
この虫には青色が向きます。吊り下げ用の穴があるものだと、株の生長に合わせて高さを変えられます。
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Q. 防虫ネットで防げませんか?
難しいのが実際です。農研機構の試験では、0.6mm目合いのネットでもアザミウマ類とハダニ類は阻止効果なしに分類されています。青色粘着トラップと光反射資材を組み合わせてください。
Q. 黄色と青色、どちらのトラップがいいですか?
この虫には青色が向きます。黄色でも捕れますが、青色のほうが誘引の効果が高いとされています。アブラムシやコナジラミも併せて見るなら、黄色と併用する方法もあります。
Q. 冬は心配しなくていいですか?
島根県の資料では、冬でも幼虫・蛹・成虫が見られ、5月以降に増加するとされています。年に10回以上発生するため、無防備な期間はありません。春先の作付け時から備えてください。
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まとめ
- 被害は銀白色のすれ・シルバリング。 穴もかびも出ない
- 成虫は体長約1mm。花や新芽の内側に潜む
- 25℃で卵5日・幼虫蛹9日。 1匹が100〜200卵。増えるのが速い
- 冬でもいる。5月以降に増加し、年10回以上発生する
- 防虫ネットでは止まらない(0.6mmでも阻止効果なし)
- 青色粘着トラップ・光反射資材・除草が現実的な手
- トマト黄化えそ病ウイルスを媒介する。 軽視できない
早く気づくことが、この虫にはいちばん効きます。青いトラップを1枚、作付けと同時に吊るしてください。
参考