きゅうりの葉に、コンパスで描いたような円が残っている。円の内側だけがきれいに食べられ、まわりは無傷。近づくと、オレンジ色の小さな甲虫がさっと飛び立つ。
ウリハムシです。 ウリバエとも呼ばれます。
この記事では、なぜ円形に食べるのか、見えないところで進む幼虫の被害、そして家庭菜園でできる手を、県の病害虫防除所とJAの資料からまとめます。
円形の食べ跡ができる理由
JA秩父の営農情報は、この虫の食べ方をこう説明しています。
きゅうり、カボチャ、ズッキーニ等のウリ科野菜に成虫が飛来し、体を回転しながら葉の表面を浅く輪状に食害するため、多発すると葉がボロボロなる
体を回転させながら食べるから、円になります。島根県病害虫防除所も、葉にきれいな円形の食害痕をのこすと記しています。
ウリ科の葉には、傷つけられると苦み成分を集める性質があります。先に円く傷を入れておけば、その内側には苦み成分が届かない。 円形に食べる行動は、こう説明されることが多い動きです。
見分けるには、この円を探してください。 不規則な穴ならアオムシやヨトウムシ、かすり状なら別の虫です。
円がいくつも重なって、最後には葉の大部分が失われることもあります。その段階まで来ると「円形」には見えなくなりますが、食べ跡の縁をたどると弧が残っているので、犯人の見当はつきます。
もう一つの手がかりは、虫の逃げ方です。葉に手を近づけたときに、ぽとりと落ちてから飛ぶのではなく、横へ素早く飛び去るなら甲虫の仲間です。
苗が小さい時期にかけるものなので、短めのトンネル用で足ります。開花期に外すことを見込んで、着脱しやすい仕様を選んでください。
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虫そのもの
| 特徴 | |
|---|---|
| 成虫 | 体長7〜8mm。背面が橙黄色、腹面が黒色の甲虫 |
| 幼虫 | 老熟すると体長約10mm。円筒形で淡黄白色、頭部は褐色のウジのような虫 |
成虫と幼虫で、まったく別の虫に見えます。 そして、加害する場所も違います。

地上と地下で二重に食べられる
成虫は葉を食べる
島根県の資料によれば、成虫の食害は4月下旬から見られます。
多発すると葉がぼろぼろになり,生育が遅れるなどの被害となる
小苗は枯死することもあります。 本葉が数枚しかない時期に群がられると、そこで終わってしまいます。
幼虫は根を食べる
見落とされやすいのがこちらです。JA秩父の資料では、幼虫は白いウジで、根を食害しながら成長するとされ、こう続きます。
孵化幼虫は細根を食害し、成長するにつれ太い根や株元の茎にもぐり込んで食害する
島根県の資料も、初期の幼虫の被害はほとんどわからないとしたうえで、幼虫が主根を加害するようになると地上部の生育は衰え、ひどい場合にはしおれて枯死すると記しています。
「葉は食べられていないのに株が弱る」なら、地下を疑ってください。 根の被害はコガネムシ幼虫の対策と見分けが必要になります。
地下の被害が厄介なのは、気づいた時点で手当てができないことです。根が食べられてしまった株は、水をやっても肥料を足しても戻りません。幼虫が増えてから対処するのではなく、産卵そのものを減らす方向でしか防げない、という性質の害虫です。
一年のサイクル
JA秩父の資料にある生活史は、対策を打つ時期をそのまま教えてくれます。
| 時期 | 状態 |
|---|---|
| 冬 | 集団で成虫越冬(草むら、石垣の隙間、建物の陰など) |
| 春 | 越冬場所から離れ、ウリ類が植えられるとその株元に産卵 |
| 4月下旬〜7月上旬 | 産卵期。最盛期は6月上旬頃 |
| 初夏 | 幼虫が根を食害。幼虫期間3〜5週間、蛹期間1〜2週間 |
| 7〜8月 | 新成虫が現れる。年1回の発生 |
| 9月下旬頃 | 越冬場所へ移動 |
産卵数は1雌当たり100〜500個で、1か所当たり数十個の卵を株元に産みます。
そして、注意すべき時期がはっきりしています。
成虫被害は、5月と8月に集中
5月は越冬した成虫、8月は新しく出てきた成虫です。 苗が小さい5月のほうが、被害は決定的になります。
なお、産卵の時期には地域差があります。島根県の資料では産卵は6月上旬頃から始まり7月中旬に最も多く、長いものでは9月まで続くとされ、幼虫の加害は6月下旬頃から7月に最も多いとされています。住んでいる地域の気候に合わせて、前後させて読んでください。

家庭菜園でできること
JA秩父の資料が挙げる対策を、家庭菜園向けに並べ替えます。
1. 植え付けと同時にネットをかける
成虫の飛来侵入を防止する。(可能であれば、防虫ネットや寒冷紗等を利用)
株元に産卵されなければ、根の被害も起きません。 苗が小さいうちはネットの効果がもっとも高く、受粉が必要になる開花期の前まで覆っておけます。張り方は防虫ネットの使い方にまとめました。
2. シルバーマルチを敷く
シルバーポリフィルムによるマルチを行ない、成虫の飛来侵入を防止する。成虫の忌避効果がそのまま産卵防止効果につながる
飛来を減らすことが、そのまま産卵を減らすことになるという点が重要です。マルチの張り方はマルチシートの張り方と効果を参照してください。
3. 午前中に捕まえる
成虫を見つけ次第捕殺する。虫の動きがのろい温度の低い午前中の方が効果的
昼間は敏感で、手を伸ばすと飛びます。 気温が上がる前の時間なら、素手でも捕まえられます。
飛び立たれても、多くはすぐ近くの葉に止まります。あきらめずに追うと取れます。
4. ネギ類を近くに植える
臭いを嫌うネギ類を苗の直ぐ側に植えつける(コンパニオンプランツ)
苗のすぐそばが条件です。 畝の端に植えても効きません。
苗を植える穴に、ネギの苗を一本添えて一緒に埋めるやり方が手軽です。根が絡んでも互いの生育をひどく妨げることはなく、収穫期まで置いておけます。
コンパニオンプランツとして使うなら、束で売られている細めの苗が扱いやすくなります。植え付け時期が合うものを選んでください。
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「防除困難な害虫」である
JA秩父の資料は、はっきりこう書いています。
ウリハムシは防除困難な害虫で、効果的除去方法はなかなかない状態
ゼロにする方法はない、というのが前提です。 そのうえで、できることを重ねます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 植え付け時 | ネット+シルバーマルチ+ネギを横に |
| 5月 | 朝の見回りと捕殺。 苗が小さい時期は最優先 |
| 6〜7月 | 株元を見て産卵の有無を確認 |
| 8月 | 新成虫の飛来。収穫中なので捕殺が中心 |
| 秋 | 周辺の枯草を片づけ、越冬場所を減らす |
ウリ科の栽培そのものはズッキーニのプランター栽培やゴーヤをプランターで育てる方法を参考にしてください。
よくある質問
Q. なぜ円形に食べるのですか?
体を回転させながら葉の表面を浅く輪状に食害するためです。ウリ科の葉は傷つくと苦み成分を集めるため、先に円く傷を入れておくと内側にその成分が届かなくなる、という説明がよくされます。
Q. 葉は無事なのに株が弱るのはなぜですか?
幼虫が地下で根を食べているためです。孵化直後は細根を、成長すると太い根や株元の茎にもぐり込んで食害します。初期の被害は地上部からほとんど分かりません。
Q. いつがいちばん危ない時期ですか?
成虫被害は5月と8月に集中します。5月は越冬した成虫、8月は新しく出てきた成虫です。苗が小さい5月のほうが、枯死につながるため被害は重くなります。
Q. 捕殺はいつすればいいですか?
気温の低い午前中です。虫の動きがのろく、捕まえやすくなります。日中は敏感で、近づくだけで飛び立ちます。
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まとめ
- 食べ跡はきれいな円。体を回転させながら輪状に食べる
- 成虫は体長7〜8mm、背面が橙黄色。幼虫は根を食べる白いウジ
- 集団で成虫越冬し、春にウリ類の株元へ産卵(1雌100〜500個)
- 成虫被害は5月と8月に集中。 年1回の発生
- 対策はネット・シルバーマルチ・午前中の捕殺・ネギを横に
- 資料も「防除困難な害虫」と明記。重ねて効かせる
苗が小さい5月を守りきれば、その年はだいぶ楽になります。
参考