ししとうは、夏野菜のなかでももっとも失敗が少ない部類です。
同じトウガラシ属でもピーマンより実が小さく、株への負担が軽いため、次々と実がつきます。1株で50〜100個穫れるので、プランター1つで食卓には十分足ります。
ただし、ときどき辛い実が混ざります。 これは品種の問題ではなく育て方の問題で、防ぐ方法があります。同じ仲間のピーマンはピーマンをプランターで育てる方法を参照してください。
ししとうの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 科 | ナス科トウガラシ属 |
| 植え付け | 5月上旬〜6月上旬(気温20度以上) |
| 収穫 | 6月下旬〜10月上旬 |
| 生育適温 | 22〜30度 |
| 日照 | 1日6時間以上 |
| 連作年限 | 3〜4年(ナス科) |
| 難易度 | ★★☆☆☆ |
ナス科なので、前年にトマト・ナス・ピーマン・じゃがいもを植えた場所は避けてください。 プランターなら土を新しくすれば問題ありません。輪作の考え方は連作障害を避ける畝のローテーションと作付け計画にまとめています。
ピーマン・パプリカとの違い
| ししとう | ピーマン | パプリカ | |
|---|---|---|---|
| 実の大きさ | 4〜6cm | 6〜8cm | 8〜10cm |
| 収穫まで | 30〜40日 | 40〜50日 | 60〜80日(完熟まで) |
| 1株の収穫数 | 50〜100個 | 30〜50個 | 10〜20個 |
| 株への負担 | 小さい | 中 | 大きい |
| 辛味 | まれに出る | 出ない | 出ない |
収穫までが短く、数が採れるのがししとうの利点です。 早く結果が出るので、最初の1株に向いています。

準備するもの
プランターのサイズ
ししとうは根が深く張ります。深さ25cm以上を確保してください。
| プランター | 土の量 | 植えられる株数 |
|---|---|---|
| 丸型10号(直径30cm) | 約8L | 1株。もっとも扱いやすい |
| 丸型12号(直径36cm) | 約12L | 1株(大きく育てる場合) |
| 標準65cm(深18cm) | 約12L | 1株(やや浅い) |
| 深型65cm(深25cm) | 約20L | 2株。株間30cm |
標準プランターは深さが足りません。 深型か、丸型の10号以上を選んでください。プランター選びの全体像はベランダ菜園のプランター選びにまとめています。
土と肥料
- 野菜用の培養土(元肥入り)
- 鉢底石(構造によっては不要。鉢底石は必要?を参照)
- 化成肥料(8-8-8)または野菜用の追肥
- 支柱1本(60〜90cm)
苗の選び方
種からより苗からが確実です。発芽に25〜30度が必要で、家庭では管理しづらいためです。
良い苗の見分け方は次の4点です。
- 本葉が7〜8枚ついている
- 節と節の間が詰まっている(徒長していない)
- 一番花のつぼみがついているか、咲き始めている
- 葉の裏に虫や斑点がない
苗選びの詳細は苗の選び方と植え付けの基本を参照してください。
植え付けの手順
- プランターに培養土を入れ、縁から3cm下まで満たす
- 苗のポットと同じ大きさの穴を掘る
- 根鉢を崩さずにそっと置く
- 周囲の土を寄せて、軽く押さえる
- 支柱を株から10cm離して斜めに挿す
- 麻ひもで8の字に軽く結ぶ
- 鉢底から流れ出るまでたっぷり水をやる
植え付けは気温が20度を超えてからです。 5月上旬でも寒い日が続く年は、待ったほうが結果的に早く育ちます。
一番花は摘む
最初に咲いた花(一番花)は摘み取ってください。
株がまだ小さいうちに実をつけると、根と枝の生育が止まります。一番花を摘むと、その後の収穫量が増えます。

辛い実ができる原因と防ぎ方
ししとうが辛くなるのは、株がストレスを受けたときです。
辛味成分のカプサイシンは、本来トウガラシが持っている成分です。ししとうは辛味が出ないように改良された品種ですが、株が弱ると先祖返りのように辛味が出ます。
辛味が出る4つの条件
| 原因 | なぜ辛くなるか | 対処 |
|---|---|---|
| 水切れ | もっとも多い原因。乾燥がストレスになる | 土を乾かしすぎない |
| 高温(35度以上) | 株が消耗する | 遮光・打ち水 |
| 肥料切れ | 生育が止まる | 2週間に1回の追肥 |
| 採り遅れ | 実が硬く大きくなると出やすい | 若いうちに穫る |
水切れがもっとも大きな要因です。 真夏に1日水やりを忘れただけで、その後の実に辛味が出ることがあります。
見分け方
辛い実には特徴があります。
- 形がいびつ、曲がっている
- ヘタの近くにしわが多い
- 表面の艶がない
- 種が多い
確実ではありませんが、いびつな実は避けたほうが無難です。 焼く前に切って、種が詰まっているものは辛い可能性が高くなります。
辛い実に当たったら
食べられないわけではありません。細かく刻んで炒め物に混ぜれば、辛味が分散します。 佃煮にするのも定番です。
日常の管理
水やり
ししとうは水を切らさないことが最優先です。
| 時期 | 頻度 |
|---|---|
| 植え付け〜6月 | 2日に1回 |
| 7〜8月(盛期) | 1日1〜2回(朝と夕方) |
| 9月以降 | 1日1回 |
朝にたっぷり与えてください。 真夏は夕方にもう一度必要になることがあります。判断は土を見て行います。方法は真夏の水やり完全ガイドにまとめています。
マルチング(土の表面をわらやバークチップで覆う)をすると、乾燥が大きく減ります。辛味対策としても有効です。
追肥
植え付けの2週間後から、2週間に1回与えます。
- 化成肥料(8-8-8)を10〜15g(大さじ1杯強)
- 株元から10cm離してまく
- または液体肥料を規定倍率で週1回
実がつき始めたら切らさないでください。 肥料が切れると花が落ち、辛味も出やすくなります。量の目安はプランター追肥のリズムを参照してください。
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整枝は3本仕立てに
一番花のすぐ下から出るわき芽を2本だけ残し、それより下のわき芽はすべて取ります。
主枝1本+わき芽2本の3本仕立てが基本です。それより下のわき芽を残すと、風通しが悪くなって病気が出ます。
上のほうのわき芽は取らなくて構いません。 ししとうは枝が細く、放任でも自立します。


収穫のコツ
若採りが基本
長さ4〜6cm、指の太さくらいで収穫します。
大きくしすぎると次のことが起きます。
- 皮が硬くなる
- 辛味が出やすくなる
- 種が硬くなる
- 株が疲れて、次の実がつかなくなる
採り遅れが収穫量を最も減らします。 2〜3日に1回は株を見て、大きくなったものから順に穫ってください。
穫り方
ヘタの上をハサミで切ります。手でもぎ取ると枝が折れます。
収穫は朝のうちが最適です。実に水分が満ちていて、日持ちします。
収穫が止まったら
8月の猛暑期に、花が落ちて実がつかなくなることがあります。株が疲れているサインです。
- 実をすべて収穫する(残すと養分を取られる)
- 混み合った枝を3分の1ほど切り戻す
- 追肥を1回する
- 水を切らさず、10日ほど待つ
9月に入って涼しくなると、再び花がつきます。 10月上旬まで収穫できます。ナスの更新剪定と同じ考え方で、詳しくはナスの更新剪定を参照してください。
トラブルと対策
花が落ちる
| 原因 | 対処 |
|---|---|
| 高温(35度以上) | 遮光ネットで日差しを弱める |
| 水切れ | 朝夕2回の水やりに切り替える |
| 肥料切れ | 追肥する |
| 窒素過多 | 葉が濃く茂っているなら追肥を止める |
真夏の落花は正常な反応のことも多く、涼しくなれば戻ります。
葉が黄色くなる
下葉から黄色くなるなら肥料切れ、葉脈の間が黄色いならマグネシウム不足です。判断は葉の異変サイン10種にまとめています。
アブラムシがつく
新芽と葉裏につきます。見つけ次第、テープで取るか水で流してください。 予防はアブラムシ対策を参照してください。
実に穴が開く
タバコガの幼虫です。実の中に入り込むため、薬剤が効きにくくなります。見つけた実は取り除いて処分してください。 防虫ネットで成虫の産卵を防げます。張り方は防虫ネットの使い方にまとめています。
よくある質問
Q. ししとうが辛くなるのはなぜですか?
株がストレスを受けたためです。もっとも多いのは水切れで、次いで高温・肥料切れ・採り遅れです。品種の問題ではないので、水を切らさず若いうちに穫れば、辛い実はほとんど出なくなります。
Q. 何個くらい収穫できますか?
1株で50〜100個が目安です。若採りを続ければ、6月下旬から10月上旬まで穫り続けられます。採り遅れると株が疲れて数が減ります。
Q. 標準のプランターでも育てられますか?
深さ18cmの標準プランターでは根が窮屈です。1株なら育ちますが、深型(25cm以上)か丸型10号以上のほうが安定します。土の量が多いほど水切れしにくく、辛味も出にくくなります。
Q. 支柱は必要ですか?
必要です。実の重さで倒れることは少ないものの、ベランダは風が強く、株元から折れることがあります。60〜90cmの支柱を1本、斜めに挿してください。
Q. 種から育てられますか?
育てられますが、発芽に25〜30度が必要で、家庭では温度管理が難しくなります。苗なら1株150〜250円なので、初めてなら苗から始めるのが確実です。
夏野菜の苗はセット品だと種類を揃えやすくなります。植え付け適期は5月上旬〜6月上旬、気温20度以上が目安です。
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まとめ
ししとうのプランター栽培の要点を整理します。
準備
- 深さ25cm以上のプランター(丸型10号または深型65cm)
- 苗から始める(5月上旬〜6月上旬、気温20度以上)
- 一番花は摘む
辛くしないための4点
- 水を切らさない(真夏は朝夕2回)
- マルチングで乾燥を防ぐ
- 2週間に1回の追肥を欠かさない
- 4〜6cmの若いうちに穫る
収穫
2〜3日に1回、大きくなったものから順に。採り遅れが収穫量を最も減らします。 8月に実がつかなくなったら、切り戻しと追肥で9月から再開できます。
まずは1株から試してみてください。ピーマンより早く穫れて数も多いので、育てている実感が得やすい野菜です。