里芋は畑の野菜という印象がありますが、深さ30cm以上のプランターがあればベランダでも育てられます。

手間は多くありません。植えたあとにやることは水やりと土寄せの2つだけです。ただしこの2つを外すと、まったく穫れません。

里芋は乾燥に最も弱い野菜のひとつです。 原産地が熱帯の湿地帯で、日本の夏の乾燥がそのまま生育の壁になります。

里芋の基本情報

項目 内容
サトイモ科
植え付け 4月中旬〜5月中旬(地温15度以上)
収穫 10月中旬〜11月(霜が降りる前)
生育適温 25〜30度
日照 半日以上(半日陰でも育つ
連作年限 3〜4年
難易度 ★★★☆☆

栽培期間は約6か月と長く、プランターを半年占有します。始める前に置き場所を決めておいてください。

里芋の構造

里芋は親芋・子芋・孫芋の三層になります。

部位 特徴 食べ方
親芋 種芋が肥大したもの。大きく硬い 品種による
子芋 親芋の周りにつく。一般的な里芋 煮物・汁物
孫芋 子芋にさらにつく。小さい 素揚げ・煮物

家庭菜園で穫るのは主に子芋です。土寄せをするほど子芋・孫芋が増えます。

Cross section illustration of a taro plant showing the parent corm with smaller offspring corms atta

準備するもの

プランターは深さが最優先

深さ30cm以上が必須です。 芋は種芋より上にできるため、土を足す余裕が要ります。

容器 深さ 土の量 植えられる株数
標準65cm 18cm 12L 不可(浅すぎる)
深型65cm 25cm 20L 1株(ぎりぎり)
菜園プランター(大型) 30cm以上 30L以上 2株
丸型15号(直径45cm) 35cm 30L 1〜2株。最適
不織布プランター(30L以上) 30cm 30L 1〜2株
発泡スチロール箱 30cm 30L 2株(底に穴を開ける)

土は最初から満杯にしません。 深さの半分程度まで入れ、生育に合わせて足していきます。

種芋の選び方

ホームセンターや園芸店で「種芋」として売られているものを買ってください。 食用の里芋は貯蔵中に芽が出ないよう処理されていることがあり、発芽しません。

良い種芋の条件は次の4点です。

  • 60〜80g(卵より少し大きいくらい)
  • 芽の出る先端(とがったほう)がしっかりしている
  • カビ・傷・しわがない
  • ずっしりと重い

品種は「石川早生(いしかわわせ)」か「土垂(どだれ)」が育てやすく、プランター向きです。

そのほか

  • 野菜用の培養土(30L以上)
  • 追加用の土(土寄せに使う。10〜15L)
  • 化成肥料(8-8-8)
  • わら・バークチップ(マルチング用。乾燥対策に必須)

芽出しをしてから植える

そのまま植えるより、芽出しをしたほうが揃います。

里芋は地温が15度を超えないと芽が動きません。4月上旬はまだ寒く、そのまま植えると発芽まで1か月かかることがあります。

芽出しの手順

  1. 3月下旬〜4月上旬に始める
  2. 浅い箱に湿らせた培養土を入れる
  3. 種芋を芽(とがったほう)を上にして並べる
  4. 土を軽くかぶせる(芽が隠れる程度)
  5. 日当たりのよい室内か軒下に置く
  6. 20〜30日で芽が3〜5cm伸びる
  7. 芽が出たものから植え付ける

芽出しをすると、収穫が2週間ほど早まります。 省いても育ちますが、揃いは悪くなります。

植え付けの手順

  1. プランターの深さの半分まで培養土を入れる
  2. 芽を上にして種芋を置く
  3. 上から5〜6cmの土をかぶせる
  4. 2株植えるなら株間30cm以上空ける
  5. たっぷり水をやる

深く埋めすぎないでください。 5〜6cmが目安です。深いと発芽が遅れます。

この時点でプランターは半分しか埋まっていません。 残りは土寄せで足していきます。

Hands placing a sprouted taro seed corm into a deep planter half filled with soil, showing the corre

土寄せが収穫量を決める

里芋栽培でもっとも重要な作業です。

子芋と孫芋は、種芋よりにできます。土が足りないと芋が地表に出て、日光で緑化したり、そもそも大きくなりません。

土寄せのタイミングと量

時期 目安 足す土の量
1回目 草丈20〜30cm(6月上旬) 本葉2〜3枚 5cm
2回目 草丈50cm(7月上旬) 本葉5〜6枚 5cm
3回目 草丈70cm以上(8月上旬) 葉が大きく展開 5cm

合計15cmを3回に分けて足します。1回で大量に足すと、茎が埋まって蒸れます。

土寄せの手順

  1. 追肥をする(化成肥料15〜20g)
  2. 株元に土を足す
  3. 茎の付け根が隠れる程度まで寄せる
  4. 軽く押さえて、水をやる

葉の付け根まで埋めないでください。 生長点が埋まると生育が止まります。

土寄せができないときの代替

プランターの縁まで土が来てしまったら、それ以上足せません。その場合は次で代用します。

  • わらやバークチップを厚く敷く(5〜10cm)
  • 遮光できる素材で株元を覆う
  • 黒い袋(不織布プランター)なら、袋の折り返しを伸ばして深くする

水やり|これを外すと穫れない

里芋は乾燥に最も弱い野菜のひとつです。

時期 頻度
植え付け〜発芽 2〜3日に1回(乾かしすぎない)
6月 1日1回
7〜9月(盛期) 1日1〜2回。朝夕
10月以降 2〜3日に1回

真夏に1日水を切らすと、その時点で芋の肥大が止まります。 葉が大きいぶん蒸散量も多く、プランターの土はすぐ乾きます。

乾燥を防ぐ3つの手段

  1. マルチング|わらやバークチップを厚さ5cm。もっとも効果が大きい
  2. 受け皿に水を張る里芋は例外的に有効。真夏の日中だけ浅く張る
  3. 半日陰に置く|西日を避けるだけで乾きが変わる

受け皿に水を溜めてよい数少ない野菜です。 ただし夕方には捨ててください。受け皿の使い方はプランター受け皿の選び方にまとめています。

判断は土を見て行います。方法は水切れと過湿の見分け方を参照してください。

Straw mulch spread thickly around the base of taro plants in a large planter to retain moisture, pra
Freshly harvested taro corms with soil still attached, laid out on newspaper beside an emptied plant

収穫と保存

収穫の時期

茎葉が黄色く枯れ始めたらが合図です。10月中旬から11月上旬が目安になります。

霜に当たると芋が傷みます。 霜が降りる前に収穫してください。

収穫の手順

  1. 晴れた日が2〜3日続いたあとに行う
  2. 茎を地際から10cmほど残して切る
  3. プランターを横に倒し、土ごと出す
  4. 手で土をほぐしながら芋を外す
  5. 親芋から子芋・孫芋を切り離す

スコップで掘ると芋を傷つけます。 プランターごと倒すのが確実です。

保存

里芋は低温に弱く、冷蔵庫に入れると傷みます。

方法 期間 手順
常温(土付きのまま) 1〜2か月 新聞紙に包み、8〜10度の冷暗所へ
洗って冷蔵 3〜4日 傷みやすい
皮をむいて冷凍 1か月 下ゆでしてから

洗わないでください。 土が付いたままのほうが日持ちします。保存方法全般は収穫した野菜の保存方法にまとめています。

種芋として残す

親芋のうち形のよいものを、翌年の種芋にできます。発泡スチロールの箱に籾殻を入れて、10度前後で貯蔵してください。5度を下回ると腐ります。

トラブルと対策

葉が枯れる・黄色くなる

夏に下葉が枯れるのは正常です。上の葉が展開していれば問題ありません。

株全体が黄色いなら、水切れか肥料切れです。

芋ができていない

原因は次のいずれかです。

  • 土寄せをしなかった(もっとも多い)
  • 水切れが続いた
  • プランターが浅かった
  • 種芋が小さすぎた

土寄せは省けません。 3回、合計15cmを足してください。

葉に穴が開く

セスジスズメ(スズメガの幼虫)です。緑または黒の大きな幼虫で、1匹で葉を丸ごと食べます。

見つけたら捕殺してください。数は多くないので、防虫ネットまでは不要なことがほとんどです。害虫対策の基本は農薬を使わない家庭菜園の害虫対策を参照してください。

芋が緑色になった

日光に当たったためです。土寄せが足りていません。緑化した部分は苦味が出るので削ってください。

よくある質問

Q. 標準のプランターでは育てられませんか?

深さ18cmでは足りません。芋は種芋より上にできるため、土寄せの余裕が必要です。深さ30cm以上のプランター、または不織布プランター(30L以上)を選んでください。

里芋には深さ30cm以上が必要です。土寄せの余裕を見て、大型の菜園プランターか丸型15号を選んでください。

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Q. 食用の里芋を種芋にできますか?

できないことがあります。市販の食用里芋は、貯蔵中に発芽しないよう処理されている場合があるためです。園芸店で「種芋」として売られているものを選んでください。

Q. 土寄せは何回必要ですか?

3回です。草丈20〜30cm・50cm・70cm以上のタイミングで、それぞれ5cmずつ足します。合計15cm。この作業を省くと芋がほとんどできません。

Q. 半日陰でも育ちますか?

育ちます。里芋は日照要求がそれほど高くなく、むしろ西日の強い場所より半日陰のほうが乾燥しにくく安定します。1日4〜5時間の日照があれば十分です。

Q. 収穫した里芋は冷蔵庫で保存できますか?

向きません。里芋は低温障害を起こし、5度以下では傷みます。土を落とさず新聞紙に包み、8〜10度の冷暗所で常温保存してください。1〜2か月もちます。

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まとめ

里芋のプランター栽培の要点を整理します。

準備

  • 深さ30cm以上のプランター(丸型15号・大型菜園プランター・不織布プランター)
  • 種芋は60〜80g。品種は石川早生か土垂
  • 土は半分だけ入れる(残りは土寄せで足す)

外してはいけない2つ

  1. 水を切らさない|真夏は朝夕2回。マルチング必須。受け皿に水を張ってよい数少ない野菜
  2. 土寄せを3回|草丈20〜30cm・50cm・70cmで、5cmずつ合計15cm

収穫

茎葉が黄色くなったら。霜が降りる前に。 プランターごと倒して手でほぐします。保存は土付きのまま常温で1〜2か月。

栽培期間は6か月と長めですが、途中の作業は水やりと土寄せだけです。芋が土から出てくる瞬間は、根菜のなかでも特に楽しい収穫になります。

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