カモミールを買うとき、まず「ジャーマン」か「ローマン」かを確認してください。
見た目はよく似ていますが、片方は一年草で花をたくさんつけ、もう片方は多年草で地面を這って広がります。ハーブティーを目的に買ったのに、花がほとんど咲かないという失敗は、ここを見ずに選んだときに起こります。
この記事では2種類の違いと、それぞれの育て方を解説します。ほかの食用花は食用花の家庭菜園にまとめています。
ジャーマンとローマンの違い
| ジャーマン・カモミール | ローマン・カモミール | |
|---|---|---|
| 分類 | 一年草 | 多年草 |
| 草丈 | 40〜60cm(立ち上がる) | 10〜30cm(地面を這う) |
| 花の数 | 非常に多い | 少なめ |
| 香り | りんごのような甘い香り | やや青くて強い |
| 味 | 穏やか。飲みやすい | 苦味が強い |
| 主な用途 | ハーブティー・乾燥 | グラウンドカバー・芳香 |
| 増え方 | こぼれ種で翌年生える | 株が広がる・株分け |
| 育てやすさ | ★☆☆☆☆ 非常に易しい | ★★☆☆☆ |
ハーブティーが目的ならジャーマン一択です。 花の数が桁違いに多く、味も穏やかです。
ローマンは踏まれても育つため、通路や庭のグラウンドカバー向きです。踏むと香りが立ちます。お茶にすると苦味が強く、好みが分かれます。
種袋・苗ラベルの見分け方
- ジャーマン|「Matricaria」「カミツレ」と書かれていることがある
- ローマン|「Chamaemelum」「ローマンカモミール」
「カモミール」とだけ書かれている場合、種はほぼジャーマンです。 苗はローマンのことがあるので、ラベルを確認してください。

基本情報
| 項目 | ジャーマン | ローマン |
|---|---|---|
| 種まき | 9〜10月(秋まき)/3〜4月 | 3〜4月/9〜10月 |
| 開花 | 4〜6月 | 5〜7月 |
| 生育適温 | 15〜25度 | 15〜25度 |
| 日照 | 日なた | 日なた〜半日陰 |
| 耐寒性 | 強い(マイナス5度まで) | 強い |
| 耐暑性 | 弱い(夏に枯れる) | やや弱い |
秋まきのほうが花が多くなります。 秋にまいて冬を小さな苗で越し、春に一気に育てるほうが株が大きくなるためです。
3〜4月にまいても育ちますが、株が小さいうちに開花期を迎えるため、花数は減ります。
準備するもの
プランターと土
カモミールは根が浅く、深さ15〜20cmで十分です。
| プランター | 土の量 | 植えられる株数 |
|---|---|---|
| 標準65cm | 12L | 3〜4株(株間20cm) |
| 丸型8号(直径24cm) | 5L | 1〜2株 |
| 丸型10号(直径30cm) | 8L | 2〜3株 |
| 浅型・鉢皿型 | — | ローマン向き |
土は水はけを重視してください。 過湿を嫌います。
- ハーブ用の培養土、または
- 野菜用培養土に軽石か赤玉土を2割混ぜる
- 腐葉土を多く入れない(保水しすぎる)
肥料はほとんど要らない
肥料が多いと葉ばかり茂り、花が減ります。 香りも薄くなります。
- 元肥は培養土に入っているもので足りる
- 追肥は不要(やるなら開花前に1回だけ、規定より薄い液肥)
種まきの手順
カモミールは好光性種子です。土をかぶせると発芽しません。
- プランターに培養土を入れ、表面を平らにする
- 表面に種をばらまく(ごく細かい種なので、指でつまんで散らす)
- 覆土しない(またはごく薄く。種が見える程度)
- 霧吹きでやさしく水をやる(じょうろだと種が流れる)
- 発芽まで土を乾かさない
- 7〜10日で発芽
間引きの手順
| 時期 | 株間 |
|---|---|
| 本葉2〜3枚 | 5cm |
| 本葉5〜6枚 | 10cm |
| 本葉8枚以降 | 20cm |
最終的に20cm空けてください。 詰めると風通しが悪く、うどんこ病とアブラムシが出ます。
間引いた芽も食べられます。サラダに散らすと香りが立ちます。

日常の管理
水やり
表面が乾いたらたっぷりが基本です。
| 時期 | 頻度 |
|---|---|
| 発芽まで | 乾かさない(霧吹きで毎日) |
| 苗の時期 | 2〜3日に1回 |
| 開花期(4〜6月) | 2日に1回 |
| 梅雨 | 控えめに(過湿で根腐れする) |
梅雨は水をやりすぎないでください。 蒸れて株元から腐ります。雨が続くなら軒下へ移してください。
風通しを確保する
カモミールの失敗でもっとも多いのが蒸れです。
- 株間を20cm確保する
- 混み合った下葉を摘む
- 梅雨前に一度、全体を3分の1ほど刈り込む
アブラムシがつく
カモミールはアブラムシが非常につきやすいハーブです。
一方で、これはおとり作物としての利点でもあります。カモミールにアブラムシを集めておくと、周囲の野菜への被害が減ります。テントウムシも寄ってくるので、益虫が定着します。
- テープで取るか、水で流す
- 牛乳スプレー(家庭で作れる無農薬スプレーを参照)
- 数が多ければ、その茎ごと切る
食用にするので薬剤は使わないでください。 対処法はアブラムシ対策にまとめています。
収穫と乾燥
収穫のタイミング
花びらが水平に開いた日が最適です。
| 状態 | 収穫の可否 |
|---|---|
| つぼみ | まだ早い |
| 花びらが水平 | 最適。香りが最も強い |
| 花びらが下向きに反り返る | やや遅い(まだ使える) |
| 中心が茶色い | 遅い。種ができている |
晴れた日の午前中、露が乾いてから摘んでください。この時間帯に香り成分がもっとも多くなります。
摘み方
花だけを指でつまんで摘みます。 茎は苦味が出るので入れません。
摘み続けると次々に咲きます。 4〜6月の間、週に2〜3回摘めば、株1つで大量に穫れます。
乾燥させる
| 方法 | 時間 | 香りの残り方 |
|---|---|---|
| 自然乾燥(ざるに広げる) | 3〜7日 | ◎ 最良 |
| 天日干し | 1〜2日 | ○(退色しやすい) |
| 電子レンジ | 1〜1分30秒(600W) | △ 手軽 |
| オーブン | 100度で40〜60分 | ○ |
香りを重視するなら自然乾燥です。 風通しのよい日陰にざるを置き、重ならないように広げます。
急ぐなら電子レンジが使えます。耐熱皿にキッチンペーパーを敷き、重ならないように並べて600Wで1分。30秒ずつ様子を見て追加してください。花が小さいので焦げやすくなります。手順はハーブを電子レンジで乾燥する方法にまとめています。

保存
完全に乾いてから密閉してください。 指で押して砕けるのが目安です。
- 遮光ガラス瓶か金属缶
- 乾燥剤を一緒に入れる
- 冷暗所で約1年
保存の詳細は家庭菜園のハーブを乾燥させて保存する基本とアイデアを参照してください。

使い方
ハーブティー 乾燥花をティースプーン1杯に熱湯200ml、3〜5分。生花なら小さじ2杯分。
入浴剤 乾燥花を布袋に入れて湯船へ。
チンキ・オイル ホワイトリカーやオリーブオイルに漬け込む。
コンパニオンプランツとして キャベツやタマネギの近くに植えると生育が良くなるとされ、「植物のお医者さん」と呼ばれます。組み合わせはコンパニオンプランツ入門にまとめています。
夏越しと翌年
ジャーマンは夏に枯れる
一年草なので、6〜7月に花が終わると枯れます。 これは失敗ではありません。
枯れる前に花をいくつか残しておくと、種がこぼれて秋に自然に発芽します。 翌年は何もしなくても生えてきます。
種を採るなら、中心が茶色くなった花を紙袋に入れて振ってください。
カモミールの種は1袋で十分な株数がまけます。ハーブティーが目的ならジャーマン種を選んでください。
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ローマンは株分けで更新
多年草なので数年もちますが、3〜4年で中心が枯れ込みます。 春か秋に掘り上げて株分けしてください。
夏は蒸れやすいので、梅雨前に半分ほど刈り込んで風を通します。
よくある質問
Q. ジャーマンとローマン、どちらを選べばいいですか?
ハーブティーが目的ならジャーマンです。花の数が多く、味も穏やかで飲みやすくなります。ローマンは多年草で地面を這うため、通路や庭のグラウンドカバー向きです。お茶にすると苦味が強く出ます。
Q. 種をまいたのに発芽しません。
土をかぶせすぎている可能性が高いです。カモミールは光を受けないと発芽しない好光性種子なので、種は土の表面にまき、覆土はしないでください。水やりも霧吹きで、種が流れないようにします。
Q. 花が咲かず、葉ばかり茂ります。
肥料が多すぎます。カモミールはやせた土でよく育つハーブで、窒素が多いと葉ばかりになります。追肥は基本的に不要です。
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Q. アブラムシがすごいのですが。
カモミールはアブラムシがつきやすい植物です。ただし周囲の野菜からアブラムシを引き寄せる「おとり」としての役目もあり、テントウムシも集まります。食用にするので薬剤は使わず、テープで取るか水で流してください。
Q. 夏に枯れてしまいました。失敗ですか?
ジャーマン・カモミールなら正常です。一年草なので、開花後の6〜7月に枯れます。花をいくつか残しておけば種がこぼれ、秋に自然に発芽します。
まとめ
カモミールの育て方の要点を整理します。
まず種類を選ぶ
- ハーブティーが目的 → ジャーマン(一年草・花が多い・味が穏やか)
- グラウンドカバーが目的 → ローマン(多年草・這って広がる)
育て方の3つの要点
- 種は土をかぶせない(好光性種子。覆土すると発芽しない)
- 肥料はほぼ不要(多いと葉ばかり茂って花が減る)
- 株間20cm・風通しを確保(蒸れが最大の敵)
収穫と乾燥
花びらが水平に開いた日の午前中に、花だけを摘む。摘むほど次が咲きます。乾燥は自然乾燥がもっとも香りが残り、急ぐなら電子レンジで1分。
秋まきがおすすめです。 9〜10月にまいて冬を越させると、春に株が大きく育ち、花の数が格段に増えます。まずは種1袋、プランター1つから始めてみてください。