ビーツは、深さ25cmのプランターがあればベランダで育てられます。

輸入品か水煮の缶詰でしか見かけない野菜ですが、栽培自体は難しくありません。大根やにんじんより育てやすい部類です。

ひとつだけ、他の野菜と違う点があります。1粒の種から2〜4本の芽が出ることです。これを知らないと、発芽したときに戸惑います。

ビーツの基本情報

項目 内容
ヒユ科(アカザ科)。ほうれん草と同じ
種まき 春3〜5月/秋8月下旬〜9月
収穫 種まきから60〜90日
生育適温 15〜21度
日照 1日5時間以上
連作年限 1〜2年
難易度 ★★☆☆☆

ヒユ科なので、アブラナ科(大根・カブ)ともセリ科(にんじん)とも別系統です。 前作がアブラナ科でも問題ありません。

ほうれん草と同じ科なので、ほうれん草の後には植えないでください。

春まきと秋まきの違い

春まき(3〜5月) 秋まき(8月下旬〜9月)
収穫 6〜7月 11〜12月
生育 やや早い ゆっくり
標準 甘みが強い
リスク とう立ち(花が咲く) 少ない
おすすめ度

秋まきのほうが失敗が少なく、味もよくなります。 春まきは、生育中に低温に当たるととう立ちして根が太らないことがあります。

Two beetroot plants side by side, one with deep red stems and one with golden yellow stems, showing

準備するもの

プランター

根が地中に伸びるため、深さ25cm以上が必要です。

プランター 深さ 土の量 植えられる株数
標準65cm 18cm 12L 不可(根が窮屈)
深型65cm 25cm 20L 6〜8株(株間10cm)
丸型10号 25cm 8L 3〜4株
丸型12号 30cm 12L 5〜6株
菜園プランター 30cm 30L 10株前後

株間は10〜12cmを確保してください。詰めると球が丸くならず、細長くなります。

やわらかく、石のない土が要点です。根が伸びる先に硬い塊があると、そこで曲がります。

  • 野菜用の培養土をそのまま使う
  • 古い土を使うならふるいにかけて根や塊を取り除く
  • pH6.0〜7.0(酸性に弱い)

ビーツは酸性土壌を嫌います。 古い土を再利用するなら、苦土石灰を混ぜて2週間置いてください。手順は土壌pHの測り方と調整にまとめています。

土の再生方法はプランターの土は再利用できる?を参照してください。

品種

品種 特徴
デトロイト・ダークレッド 定番。濃い赤。育てやすい
ゴルゴ(キオッジャ) 切ると赤と白の渦模様
ゴールデンビーツ 黄色。土臭さが少ない
ベビービーツ 小型で早採り向き

初めてならデトロイト系が確実です。発芽率がよく、形も安定します。

種まきの手順

1粒から複数の芽が出る

ビーツの「種」は、実は複数の種が集まった果実(種球)です。

そのため、1粒まくと2〜4本の芽がまとまって出ます。これは異常ではありません。

間引きを前提に、株間を空けてまいてください。

まき方

  1. 一晩水に浸ける(種皮が硬いので吸水を助ける)
  2. プランターの土を平らにする
  3. 深さ1〜1.5cmの穴を、10〜12cm間隔であける
  4. 1穴に1粒まく
  5. 土をかぶせ、軽く押さえる
  6. 霧吹きかハス口の細かいじょうろで水をやる
  7. 発芽まで土を乾かさない

発芽日数は5〜10日です。20度前後がもっとも揃います。

すじまきでもよい

間引き菜(葉)を食べたいなら、すじまきにします。

  • 5cm間隔で1粒ずつまく
  • 間引きながら最終的に10〜12cmにする
  • 間引いた芽はベビーリーフとして食べられる

間引きが要点

1穴から出た複数の芽を、1本に絞ります。

手順とタイミング

時期 残す本数 株間
1回目 本葉1〜2枚 各穴2本
2回目 本葉3〜4枚 各穴1本 10〜12cm

引き抜かず、ハサミで地際を切ってください。

複数の芽が根元でくっついているため、引き抜くと残す株の根まで傷めます。ハサミで切れば、残す株に影響しません。

間引かないとどうなるか

  • 球が丸くならず、細長く変形する
  • 大きくならない
  • 根同士が押し合って割れる

間引きは省けません。 ここを飛ばすと、収穫時に細い根が数本できるだけになります。

Multiple beet seedlings emerging from a single seed cluster in a planter, with scissors thinning the
Young beet plants growing evenly spaced in a deep planter after thinning, red stems visible, tidy ba

日常の管理

水やり

土の表面が乾いたらたっぷりが基本です。

時期 頻度
発芽まで 乾かさない(毎日、霧吹きで)
本葉が出るまで 1〜2日に1回
生育期 2〜3日に1回

乾湿の差が激しいと根が割れます。 極端に乾かしてから大量に与える、という与え方は避けてください。

追肥

種まきの1か月後に1回で足ります。

  • 化成肥料(8-8-8)を10〜15g
  • 株間にまいて軽く土と混ぜる

窒素が多いと葉ばかり茂って根が太りません。 追肥は控えめにしてください。量の目安はプランター追肥のリズムにまとめています。

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土寄せ

球が肥大すると、上部が土から出てきます。

そのままだと日光で表面が硬くなるので、土を寄せて肩を隠してください。 2〜3週間に1回、様子を見て行います。

葉も収穫できる

ビーツの葉は食べられます。 ほうれん草と同じ科で、味も近くなります。

  • 外側の葉から数枚ずつ摘む
  • 一度に半分以上取らない(根が太らなくなる)
  • 若い葉はサラダ、大きい葉は炒め物やおひたしに

間引き菜も同様に食べられます。 根が太るまでの2か月間、葉を少しずつ収穫できるのがビーツの利点です。

収穫

タイミング

直径5〜8cmが食べごろです。

大きさ 状態
3〜4cm ベビービーツ。柔らかい
5〜8cm 最適。甘みと食感のバランスがよい
8〜10cm やや硬くなる
10cm以上 すが入る。繊維が硬い

大きくしすぎないでください。 10cmを超えると中がスカスカになり、味も落ちます。

穫り方

球の上部が土から見えているので、葉の付け根を持って引き抜きます。

抜けにくい場合は、周りの土を少し掘ってからにしてください。無理に引くと葉がちぎれます。

保存

方法 期間 手順
冷蔵(葉を落とす) 2〜3週間 葉を切り、根は残す
常温 1週間 新聞紙に包んで冷暗所
冷凍 1か月 下ゆでして皮をむき、カット

収穫したらすぐ葉を切り落としてください。 葉をつけたままだと、根の水分が葉へ吸い上げられてしわしわになります。

保存方法全般は収穫した野菜の保存方法にまとめています。

Freshly harvested beetroots with leaves trimmed, laid out on a wooden surface beside a knife, showin

トラブルと対策

発芽が揃わない

種皮が硬いためです。一晩水に浸けてからまくと改善します。

古い種は発芽率が大きく落ちます。購入から2年以内のものを使ってください。

球が丸くならない

原因 対処
間引きが不十分 各穴1本に絞る
株間が狭い 10〜12cm確保
土が浅い 深さ25cm以上
土に塊や石がある ふるってから使う

葉ばかり茂って根が太らない

窒素過多です。追肥を止めてください。

培養土の元肥だけで足りることも多く、追肥は1回で十分です。

とう立ちする(花が咲く)

春まきで起きやすい現象です。 苗のうちに低温(10度以下)に当たると、花芽ができます。

とう立ちすると根は硬くなり、食用としての品質が落ちます。秋まきにすればほぼ避けられます。

葉に穴が開く

ヨトウムシかハモグリバエです。葉も食べるので、防虫ネットで予防するのが確実です。 張り方は防虫ネットの使い方にまとめています。

よくある質問

Q. 1粒から何本も芽が出ましたが、失敗ですか?

正常です。ビーツの種は複数の種が集まった果実なので、1粒から2〜4本の芽が出ます。本葉3〜4枚のときに、ハサミで切って1本に絞ってください。引き抜くと残す株の根を傷めます。

ビーツの種はデトロイト系が育てやすく、形も安定します。切ると渦模様になるゴルゴなど、品種を選ぶ楽しみもあります。

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Q. 標準のプランターでは育てられませんか?

深さ18cmでは根が窮屈になり、球が丸くなりません。深さ25cm以上のプランター、または丸型10号以上を選んでください。株間は10〜12cm必要です。

Q. 春と秋、どちらにまくのがいいですか?

秋まき(8月下旬〜9月)がおすすめです。春まきは生育中の低温でとう立ちすることがあり、根が太らなくなります。秋まきなら失敗が少なく、甘みも強くなります。

Q. 葉は食べられますか?

食べられます。ほうれん草と同じ科で、味も近いものです。外側の葉から数枚ずつ摘んでください。一度に半分以上取ると根が太らなくなります。間引き菜もサラダに使えます。

Q. どのくらいの大きさで収穫すればいいですか?

直径5〜8cmが目安です。10cmを超えるとすが入り、繊維が硬くなります。上部が土から見えているので、大きさを確認しながら順に穫ってください。

まとめ

ビーツのプランター栽培の要点を整理します。

準備

  • 深さ25cm以上のプランター(深型65cmまたは丸型10号以上)
  • 秋まき(8月下旬〜9月)がおすすめ
  • 土は塊のないやわらかいもの。酸性を嫌う

他の野菜と違う点

1粒から2〜4本の芽が出ます。 これは正常です。本葉3〜4枚でハサミで切って1本に絞ってください。引き抜くと残す株を傷めます。

管理

  • 発芽まで土を乾かさない
  • 追肥は1回だけ(窒素が多いと葉ばかりになる)
  • 球が土から出てきたら土を寄せる
  • 葉も少しずつ収穫できる

収穫

直径5〜8cm。 10cmを超えるとすが入ります。収穫したらすぐ葉を落として冷蔵すれば2〜3週間もちます。

秋にまけば11〜12月に穫れます。深型プランター1つで6〜8個、しかも葉まで食べられるので、面積あたりの収穫が多い野菜です。

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