苗を買ってきて植えたのに、いつまでも大きくならない。ようやく育ったと思ったら、すぐに花が咲いて終わってしまう。

パクチーでつまずく原因は、だいたい2つです。移植してしまったことと、暑い時期にまいたこと。

この記事では、サカタのタネの栽培解説をもとに、直まきの下準備ととう立ちを遅らせる収穫のしかたをまとめます。

苗を買ってはいけない理由

パクチーはセリ科コエンドロ属。その性質を、サカタのタネはこう説明しています。

細根が少なく移植には弱い。

太い根を1本まっすぐ下へ伸ばす直根性で、横に広がる細かい根が少ない。だからポットから出して植え替えると、その1本を傷めて立ち直れません。

向く 直まき(植える場所に直接まく)
条件つき 深いポットで育苗し、根鉢を崩さず定植
向かない 根を洗う・崩す・切る植え替え

同じ性質を持つのがディルです。 対処も同じなので、ディルの育て方も参考になります。

鉢で育てる場合も、深さが要ります。浅いプランターでは根が底に当たってそこで止まり、株が小さいまま花を咲かせてしまいます。横幅より深さを優先して容器を選んでください。

直根性なので、横幅より深さを優先します。20cm以上の深さがあるものを選んでください。

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A coriander seedling carefully lifted from soil showing one long thick taproot with very few side ro

種の下準備

そのまいても、なかなか発芽しません。 固い殻に覆われているためです。

サカタのタネが示す手順は2段階です。

1. 殻を割る

種まき前に種を板などで挟んで擦り合わせ、つぶして割る

丸い粒が2つに割れる程度で十分です。力を入れすぎると中身がつぶれます。

市販の種は1袋に数百粒入っていることが多く、多少つぶれても問題にはなりません。

2. 吸水させる

湿らせたティッシュの上に置いて、4~5時間または一晩吸水させてから

この2つをやるかどうかで、発芽のそろい方がまったく違います。

まいたあとは、表面を乾かさないことが肝心です。発芽までの数日で一度でもからからに乾くと、そこで止まります。新聞紙を一枚かぶせて、芽が見えたら外すという方法が手軽です。

Round coriander seeds split in half on a wooden board beside a damp paper towel with soaked seeds on

まく時期

サカタのタネが示す時期は次のとおりです。

時期
春まき 4月中旬〜8月中旬
秋まき 9月中旬〜10月中旬

生育適温は15〜25℃です。

家庭菜園で安定するのは秋まきです。 春にまくと、株が育ちきる前に気温が上がり、早々にとう立ちします。秋にまけば涼しい時期に葉を伸ばし、収穫期間が長くなります。

とう立ちは、日が長くなることと気温が上がることの両方が引き金になります。春まきでこれを完全に避けるのは難しく、半日陰に置いて地温の上昇を抑えるくらいが限界です。真夏の直射を遮るだけでも、花が立つまでの時間はいくらか稼げます。

まき方と間引き

手順

  1. プランターなら深さ20cm以上のものを用意する
  2. 15〜20cm間隔にくぼみをつくる(直まきなら10cm)
  3. 1か所に3〜4粒まく
  4. 薄く覆土して水をやる
  5. 乾かさないように管理する

種を収穫したい場合は、株間を30cmとります。

覆土は薄くします。種が隠れる程度で十分で、深く埋めると発芽までの日数が延びます。まいたあとに手のひらで軽く押さえて、種と土を密着させておくと水が回りやすくなります。

間引き

回 タイミング 残す本数
1回目 本葉2〜3枚 3本立ち
2回目 本葉4〜5枚 1本立ち

抜かずにハサミで切ってください。 隣の株の根を引っぱると、直根性のパクチーはそれだけで弱ります。

間引いた芽も食べられます。本葉が出た頃の小さな葉はやわらかく、香りも穏やかです。捨てずに薬味として使ってください。

直まきが前提なので、粒数の多い袋のほうが扱いやすくなります。晩抽性と書かれた品種はとう立ちが遅くなります。

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種まきの道具は種まき用トレーとポットの選び方にまとめています。

収穫ととう立ち

サカタのタネによれば、葉の収穫は種まき後50〜60日で草丈20cm以上になったら始められます。方法は2つです。

外葉から順に株元から切り取るか、株ごと抜き取る

とう立ちを遅らせたいなら、外葉から順に切るほうを選んでください。 中心を残しておけば、新しい葉が出続けます。

一度に採りすぎないことも大切です。株の葉を半分以上落とすと回復が遅れ、結果として収穫できる期間が短くなります。必要な分だけ外側から摘んでいくのが、いちばん長く穫れるやり方です。

とう立ちしたらどうするか

花茎が立ってしまうと、葉は固く、香りも変わります。ただし、ここで終わりではありません。

開花後約50日で種が茶色くなったら株ごと刈り取る

茶色く熟した種がコリアンダーシードです。乾かして保存すれば、香辛料として使えます。

葉をあきらめた株は、種を採る株に切り替える。 そう決めてしまえば、無駄になりません。乾燥のしかたは家庭菜園のハーブを乾燥させて保存する基本を参照してください。

花にはアブやハチが集まります。すぐ横に果菜を植えておくと、受粉を助けてくれることもあります。畑の片隅に一株だけ花を咲かせたまま残す、という使い方にも意味があります。

A coriander plant that has bolted with white umbrella shaped flowers on tall stems in a home garden,
Brown ripened coriander seeds drying on a paper sheet in a shallow basket, warm indoor daylight

連作を避ける

サカタのタネは、はっきりこう書いています。

セリ科作物の連作は避けましょう。

セリ科にはパクチーのほか、ニンジン、パセリ、ミツバ、セロリ、ディル、フェンネルが含まれます。

「パクチーを作った場所に、翌年ニンジン」も連作にあたります。 科で管理してください。作付けの回し方は連作障害を避ける畝のローテーションにまとめています。

プランターなら、土を入れ替えてしまうのがいちばん確実です。限られた容量では、同じ土を使い回すほど障害が出やすくなります。

水耕での再生とは別物

スーパーで買った根付きのパクチーを水につけて伸ばす方法もありますが、あれは一時的な再生で、株を育てる栽培ではありません。

再生栽培 種からの栽培
収穫量 わずか 株ごと使える
期間 数週間 数か月
種の収穫 できない できる

手軽に試すならキッチンで再生栽培できる野菜10選を、本格的に穫るならこの記事の方法を選んでください。

水につけた株から新しく伸びるのは、たくわえられた養分を使って出てくる葉です。根が土から養分を吸い直しているわけではないため、何度も繰り返すことはできません。

よくある質問

Q. 苗を買って植えてもいいですか?

おすすめしません。細根が少なく移植に弱い直根性のため、植え替えで根を傷めると立ち直れません。どうしても苗から始めるなら、深いポットのものを選び、根鉢を崩さずに植えてください。

Q. 発芽がそろいません。

種の下準備をしていない可能性があります。種は固い殻に覆われているため、板などで挟んで擦り合わせて割り、湿らせたティッシュの上で4〜5時間または一晩吸水させてからまいてください。

Q. すぐとう立ちしてしまいます。

春まきで気温が上がる時期に当たると起こりやすくなります。9月中旬〜10月中旬の秋まきにすると、涼しい時期に葉が育ち、収穫期間が長くなります。収穫も外葉から順に切るほうが長持ちします。

Q. とう立ちした株は捨てるしかないですか?

種を採ってください。開花後およそ50日で種が茶色くなったら株ごと刈り取ります。これがコリアンダーシードで、乾かせば香辛料として使えます。

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まとめ

  • 直根性で移植に弱い。 苗ではなく直まきが基本
  • 種は殻を割って、4〜5時間〜一晩吸水させてからまく
  • 時期は春4月中旬〜8月中旬、秋9月中旬〜10月中旬。 生育適温15〜25℃
  • 家庭菜園で安定するのは秋まき
  • 間引きは本葉2〜3枚で3本、本葉4〜5枚で1本。 抜かずに切る
  • 収穫は種まき後50〜60日、草丈20cm以上から。 外葉から順に
  • セリ科の連作は避ける(ニンジン・パセリ・ミツバも同じ科)

秋にまいて、外葉から採る。 これだけで収穫期間が倍くらい変わります。


参考