株間は「今の苗の大きさ」ではなく、収穫時の株の大きさで決めます。ここを取り違えると、植えた直後はちょうど良く見えても、1か月後には葉が重なって風が通らなくなります。
「本に書いてある株間が広すぎる気がして、つい詰めて植えてしまう」という声をよく聞きます。実際、詰めて植えると最初は順調に見えるので、失敗に気づくのが遅れます。
この記事では、野菜別の株間の目安と、その数字がどう決まっているのかを解説します。間引きの実務は間引きの基本にまとめています。
株間・条間・畝幅の関係
用語を整理しておきます。混同すると早見表が読めません。
- 株間(かぶま):同じ列の中で、株と株の間隔
- 条間(じょうかん):列と列の間隔
- 畝幅(うねはば):畝そのものの幅
- 通路幅:畝と畝の間の、人が歩く幅
株間と条間はセットで考えます。株間30cm・条間40cmなら、1株が占める面積は30×40=1,200平方センチになります。
畝幅と通路の設計は畑の区画整理のやり方と家庭菜園の通路幅はどれくらい?で詳しく扱っています。
株間はこう決まる
早見表を丸暗記する必要はありません。3つの原理を知っていれば、載っていない野菜でも見当がつきます。
原理1|収穫時の株の直径がベース
株間の基本は「収穫するときの株の直径」です。
キャベツは結球すると直径30cm前後になります。葉を広げる範囲を含めると40〜45cm。だから株間は40〜45cmが標準です。
小松菜は収穫時でも直径10cm程度なので、株間は5〜10cmで足ります。
迷ったら「収穫時の株の直径と同じか、やや広め」と覚えてください。
原理2|光が全体に届くか
葉が重なると、下の葉に光が届かなくなります。光合成できない葉は黄変して落ち、株全体の勢いが落ちます。
密植で徒長が起きるのはこのためです。株は光を求めて上へ伸び、茎が細く弱くなります。
原理3|風が通るか
株の間を風が抜けないと、湿気がこもります。うどんこ病、べと病、灰色かび病はいずれも多湿で発生しやすくなります。
密植は病気のリスクを直接的に上げます。葉物野菜で株間を詰めがちですが、梅雨時期は特に注意が必要です。梅雨の管理は梅雨の家庭菜園対策を参照してください。

野菜別 株間早見表
葉物野菜
| 野菜 | 株間 | 条間 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 小松菜 | 5〜10cm | 15〜20cm | 間引きながら収穫 |
| ほうれん草 | 5〜10cm | 15〜20cm | 密植気味でも可 |
| 水菜 | 10〜15cm | 20cm | 大株にするなら30cm |
| 春菊 | 15〜20cm | 20〜25cm | 摘み取り収穫なら狭めで可 |
| レタス(結球) | 25〜30cm | 30cm | 結球するので広め |
| リーフレタス | 20〜25cm | 25cm | |
| チンゲンサイ | 15〜20cm | 20cm | |
| ベビーリーフ | 2〜3cm | すじまき | 若採り前提 |
根菜類
| 野菜 | 株間 | 条間 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ラディッシュ | 5cm | 10cm | |
| カブ(小) | 10cm | 15〜20cm | |
| にんじん | 5〜10cm | 20〜25cm | 最終間引きで10cm |
| 大根 | 25〜30cm | 30〜40cm | 品種で大きく変わる |
| じゃがいも | 30cm | 60cm | 土寄せ分の余裕が必要 |
| さつまいも | 30〜35cm | 60〜75cm | つるが広がる |
| 玉ねぎ | 10〜15cm | 20cm |
果菜類
| 野菜 | 株間 | 条間 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ミニトマト | 40〜50cm | 60cm | 支柱を立てる前提 |
| 大玉トマト | 45〜50cm | 60cm | |
| ナス | 50〜60cm | 60cm | 3本仕立てならさらに広く |
| ピーマン | 40〜50cm | 60cm | |
| きゅうり | 40〜50cm | 60cm | ネット栽培 |
| ゴーヤ | 50〜60cm | 60cm | |
| ズッキーニ | 60〜80cm | 80cm | 葉が大きく広がる |
| かぼちゃ | 90〜100cm | つる次第 | 最も広い |
| オクラ | 30〜40cm | 45cm | 複数本立ても可 |
| 枝豆 | 20〜30cm | 40cm |
アブラナ科の大型野菜
| 野菜 | 株間 | 条間 | 備考 |
|---|---|---|---|
| キャベツ | 40〜45cm | 45cm | |
| 白菜 | 40〜45cm | 45〜50cm | |
| ブロッコリー | 40〜45cm | 45cm | |
| カリフラワー | 45〜50cm | 45cm |
プランターでの株間の考え方
畑の数字をそのまま持ち込むと、プランターには1株も入らないことがあります。
制約は「土の量」
プランター栽培で株間より重要なのは、1株あたりの土の量です。根が張れる体積が確保できていれば、株間はやや詰めても育ちます。
目安は次のとおりです。
- 葉物野菜:1株あたり2〜3L
- 根菜(小型):1株あたり3〜5L
- 果菜類:1株あたり10〜15L
65cmの標準プランター(約12L)なら、ミニトマトは1株が限界です。2株植えると、どちらも実つきが落ちます。
プランター別の植え付け数
| プランターサイズ | 容量 | ミニトマト | 小松菜 | ラディッシュ |
|---|---|---|---|---|
| 60〜65cm 標準型 | 12〜15L | 1株 | 12〜15株 | 20株 |
| 65cm 深型 | 20〜25L | 1〜2株 | 15株 | 25株 |
| 大型(80cm) | 35〜40L | 2株 | 20株 | 30株 |
| 丸型 10号 | 8L | 1株 | 6〜8株 | 12株 |
サイズごとの容量はベランダ菜園のプランター選びで詳しく比較しています。
縁から5cm空ける
プランターの端ぎりぎりに植えると、根が容器の壁に当たって伸びられません。水やりのときに土がこぼれる原因にもなります。
両端は5cm程度空けてください。65cmのプランターなら、実際に使える幅は55cm程度と考えます。

株間を間違えたときの症状と対処
狭すぎた場合
症状:茎が細く伸びる(徒長)、下葉が黄色くなる、実が小さい、病気が出やすい
対処:思い切って間引いてください。もったいなく感じますが、残した株の生育が明らかに変わります。果菜類なら、葉が重なる部分の下葉を除くだけでも風通しが改善します。
葉の異変の見分け方は葉の異変サイン10種にまとめています。
広すぎた場合
症状:株間の土がむき出し、雑草が生えやすい、収量が面積に対して少ない
対処:空いたスペースに生育の早い葉物を混植する手があります。ミニトマトの株間にリーフレタスを植えるなど、収穫時期がずれる組み合わせなら両立します。
雑草対策としてマルチを敷くのも有効です。マルチシートの張り方と効果を参照してください。

意図的に密植する場合
例外として、株間を詰めるのが正解になる場面もあります。
ベビーリーフ:若い葉を収穫するので、株を大きくする必要がありません。すじまきで密に育てます。
間引き菜を収穫する:小松菜やほうれん草は、密にまいて間引きながら収穫すると、若い間引き菜も食べられます。最終的な株間さえ確保できれば問題ありません。
支え合わせる:枝豆や小麦など、風で倒れやすい作物をやや密に植えて互いに支えさせる方法があります。ただし病気のリスクは上がります。

よくある質問
Q. 株間は種袋に書いてある数字を守ればいいですか?
基本的にはそれで問題ありません。種袋の数字は品種ごとの適正値です。ただしプランター栽培の場合は土の量が制約になるので、株数を減らす方向で調整してください。種袋の見方は種袋の読み方完全ガイドで解説しています。
プランターの容量に合わせて培養土を用意します。14L入りが標準サイズで、65cmプランター1つにつき2〜3袋が目安です。
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Q. 株間を広くとれば収量は増えますか?
1株あたりの収量は増えますが、面積あたりの収量は減ります。限られたスペースで最大の収穫を得たいなら、適正株間を守るのが最も効率的です。広げすぎても収量は上がりません。
Q. 苗が余ったので詰めて植えてもいいですか?
おすすめしません。全体の生育が落ちて、結果的に総収量が減ります。余った苗は別の容器に植えるか、知人に譲るほうが得策です。
Q. 株間を測るのが面倒です。目分量ではだめですか?
慣れれば目分量で構いません。最初のうちは、支柱や割り箸に目印を付けて「ものさし」を作っておくと早いです。手のひらの幅(約18cm)を基準にする方法もあります。
Q. 混植(コンパニオンプランツ)のときの株間はどうしますか?
主役の野菜の株間を確保したうえで、その間に補助的な作物を入れます。たとえばトマトの株間50cmを守り、その間にバジルを1株入れる形です。組み合わせはコンパニオンプランツ入門を参照してください。
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まとめ
株間を決めるときの要点を整理します。
基本の考え方
- 今の苗の大きさではなく、収穫時の株の直径で決める
- 迷ったら「収穫時の直径と同じか、やや広め」
- 光が全体に届くか、風が抜けるかで検証する
サイズ感の目安
- 葉物(小松菜・ほうれん草):5〜10cm
- 根菜(大根・じゃがいも):25〜30cm
- 果菜(トマト・ナス・きゅうり):40〜60cm
- 大型(かぼちゃ・ズッキーニ):60〜100cm
プランターの場合
株間より1株あたりの土の量を優先します。果菜類なら10〜15L、葉物なら2〜3Lが目安です。65cmの標準プランターにミニトマトは1株までです。
詰めて植えたくなったときは、1か月後の姿を思い浮かべてください。植え付け直後にすかすかに見えるくらいが、ちょうど良い株間です。