10月の種まきは、9月までとは考え方を変える必要があります。気温が下がって発芽が遅れ、生育できる期間も限られるためです。
同じ野菜でも、9月上旬にまけば年内に収穫できるものが、10月にまくと春までかかります。この差を理解しないまま種袋の「秋まき」表示だけで判断すると失敗します。
この記事では、10月ならではの制約と、それを踏まえた野菜選びを解説します。9月上旬までの種まきはお盆過ぎに種まきする秋野菜にまとめています。
10月の種まきが難しい理由
発芽適温を下回る
多くの野菜の発芽適温は20〜25度です。10月は日中こそ20度前後ありますが、朝晩は15度を下回る日が増えます。
地温が下がると発芽までの日数が伸び、発芽率も落ちます。9月なら3日で出た芽が、10月下旬には7〜10日かかることもあります。
生育できる期間が短い
野菜は積算温度(日々の平均気温の合計)が一定量に達して収穫期を迎えます。
気温が下がるほど1日あたりの積算が少なくなり、成長が緩やかになります。11月下旬からはほとんど大きくなりません。
つまり10月にまいた種は、11月中旬までにどこまで育つかで結果が決まります。
日照時間が短くなる
10月は日ごとに日照が短くなります。光合成できる時間が減るぶん、生育はさらに緩やかになります。
収穫までの2つのパターン
10月まきには2通りの結果があります。
パターンA|年内収穫 生育の早い葉物を10月上旬にまき、11月〜12月に収穫する。
パターンB|越冬して春どり 小さい苗のまま冬を越させ、春の気温上昇とともに一気に育てて3〜5月に収穫する。
この2つを最初に決めてください。 選ぶ野菜も、まく時期も変わります。

10月上旬にまける野菜(年内収穫)
10月10日ごろまでなら、生育の早い葉物が年内に間に合います。
| 野菜 | 収穫まで | 収穫時期 | ポイント |
|---|---|---|---|
| ラディッシュ | 25〜30日 | 11月上旬 | 最も早い。失敗が少ない |
| ベビーリーフ | 25〜30日 | 11月上旬 | 若採りなので確実 |
| 小松菜 | 40〜50日 | 11月下旬 | 寒さで甘くなる |
| 水菜 | 40〜50日 | 11月下旬 | 低温に強い |
| ほうれん草 | 50〜60日 | 12月上旬 | 寒締めで糖度が上がる |
| チンゲンサイ | 45〜55日 | 11月下旬 | 生育が安定 |
| 春菊 | 50〜60日 | 12月上旬 | 摘み取りで長く収穫 |
| リーフレタス | 50〜60日 | 12月上旬 | 結球しないので早い |
ほうれん草と小松菜は、むしろ寒さに当てたほうがおいしくなります。 霜に当たると凍結を防ぐために糖分を蓄えるためです。育て方はほうれん草をプランターで育てる方法を参照してください。

10月下旬にまける野菜(越冬・春どり)
10月20日以降にまくなら、年内収穫は諦めて春を狙います。
| 野菜 | まく時期 | 収穫時期 | ポイント |
|---|---|---|---|
| そら豆 | 10月中旬〜下旬 | 翌5〜6月 | 本葉4〜5枚で越冬させる |
| スナップエンドウ | 10月下旬〜11月上旬 | 翌4〜5月 | 大きくしすぎると寒害に遭う |
| 絹さや | 10月下旬〜11月上旬 | 翌4〜5月 | 同上 |
| 玉ねぎ | 苗の植え付け | 翌5〜6月 | 種まきは9月。10月は苗を買う |
| にんにく | 10月上旬〜中旬 | 翌6月 | 球を植える |
| ほうれん草(秋冬どり) | 10月下旬 | 翌2〜3月 | 越冬させて春に太らせる |
豆類は「大きくしすぎない」
そら豆とエンドウ類で最も多い失敗が、年内に育ちすぎることです。
大きく育った株は寒さに弱く、冬の寒風や霜で傷みます。本葉4〜5枚の小さな状態で冬を越させるのが正解です。
だから10月下旬という遅い時期にまきます。早くまきすぎると年内に大きくなりすぎます。
そら豆の詳しい育て方はそら豆のプランター栽培にまとめています。
発芽を成功させる4つの工夫
10月の低い地温を補うための手当てです。
工夫1|まく前に地温を上げる
種まきの1〜2週間前に、透明マルチや不織布で畝を覆って地温を上げておきます。
数度の違いでも発芽日数が変わります。マルチの張り方はマルチシートの張り方と効果を参照してください。
工夫2|まいた後は不織布で覆う
べたがけと呼ばれる方法です。種をまいた上から直接、不織布を軽くかけます。
べたがけ用の不織布は薄手で軽いものを選びます。厚手は保温力が高い代わりに光を通しにくく、発芽後の生育が遅れます。
(PR)「不織布 農業用 べたがけ」をAmazonで探す / 楽天で探す
- 地温と湿度を保つ
- 雨で種が流れるのを防ぐ
- 虫の飛来も防げる
発芽したら日中は外すか、そのまま生育させます。トンネル支柱を使えば長く使えます。
工夫3|浅くまき、鎮圧する
10月は乾燥する日が増えます。深くまくと発芽に時間がかかり、その間に乾いて失敗します。
種の3倍程度の深さにまき、まいた後は上から軽く押さえて土と種を密着させてください。密着していないと水分が届きません。
工夫4|プランターは移動させる
プランター栽培の利点を使います。発芽までは日当たりの良い暖かい場所に置き、発芽後に定位置へ移すだけで結果が変わります。
夜間だけ室内や軒下に入れる手もあります。

プランターと畑で変わる点
| プランター | 畑(地植え) | |
|---|---|---|
| 地温 | 下がりやすい(側面から冷える) | 安定している |
| 対策 | 移動できる・二重鉢にする | マルチ・トンネル |
| 越冬 | 凍結しやすい | 土中は凍りにくい |
| 向く野菜 | 葉物・ラディッシュ | 豆類・玉ねぎ・にんにく |
プランターは冬に不利です。 土の量が少なく、側面が外気に直接触れるため、畑より地温が下がります。
越冬させるなら、プランターを発泡スチロールの箱に入れる、壁際に寄せる、といった対策が要ります。
11月以降にまける野菜
参考までに、10月を逃した場合の選択肢です。
- 11月上旬まで:スナップエンドウ、絹さや、そら豆(暖地なら)
- 11月中旬まで:ほうれん草(トンネル栽培)
- 12月以降:屋外での種まきは現実的でない
12月以降は、明るい窓辺での室内栽培に切り替えるのが現実的です。方法は室内で野菜を育てる方法にまとめています。
冬の作業全般は冬の畑仕事の服装や冬でも育てやすい家庭菜園の野菜7選も参考になります。

よくある質問
Q. 種袋に「秋まき」とあれば10月でもまけますか?
そうとは限りません。種袋の「秋まき」は9〜10月を広く指すことが多く、10月下旬では遅すぎる野菜もあります。袋の裏にある地域別のまき時カレンダーを確認してください。読み方は種袋の読み方完全ガイドにまとめています。
Q. 発芽しません。まき直したほうがいいですか?
10月は発芽に7〜10日かかることがあります。1週間で判断せず、10日は待ってください。それでも出ない場合は、土が乾いていたか、深くまきすぎたかです。まき直すなら不織布で覆って地温を確保してください。
Q. 年内に収穫したいのですが、10月下旬でも間に合う野菜はありますか?
ラディッシュとベビーリーフなら25〜30日なので、11月下旬に収穫できる可能性があります。ただし気温次第で遅れます。確実性を求めるなら、不織布のトンネルで保温してください。
Q. 越冬させる株に肥料は必要ですか?
冬の間は控えめにしてください。窒素が多いと株が軟らかく育ち、寒害を受けやすくなります。追肥は春の気温上昇に合わせて再開します。
▼ 有機液体肥料で野菜をもっと元気に
土の力を引き出す、菌根菌のチカラ【生きてる肥料】![]()
Q. 霜に当たっても大丈夫ですか?
ほうれん草・小松菜・春菊などは、むしろ霜に当たると甘くなります。一方、豆類の大きく育った株や、レタス類は傷みます。野菜によって耐寒性が大きく違うので、不織布で保護するかどうかを個別に判断してください。
まとめ
10月の種まきの要点を整理します。
まず決めること
- 年内収穫を狙う → 10月上旬までに、生育の早い葉物をまく
- 春どりを狙う → 10月下旬に、豆類や越冬野菜をまく
10月上旬(年内収穫)
ラディッシュ・ベビーリーフ(25〜30日)、小松菜・水菜(40〜50日)、ほうれん草・春菊(50〜60日)。ほうれん草と小松菜は寒さに当たると甘くなります。
10月下旬(春どり)
そら豆・スナップエンドウ・絹さや・にんにく。豆類は本葉4〜5枚の小さい状態で越冬させるのが要点で、大きく育ちすぎると寒害に遭います。
発芽させる4つの工夫
- まく1〜2週間前にマルチで地温を上げておく
- まいた後は不織布でべたがけする
- 浅くまき、上から軽く押さえて密着させる
- プランターなら発芽まで暖かい場所へ移す
10月は「まける野菜が減る月」ではなく、「春の収穫を仕込む月」です。そら豆やスナップエンドウを今まいておけば、来年5月の食卓が変わります。