和室の壁を飾るときは、まず壁の材質を確かめてください。砂壁や繊維壁に洋室と同じフックを使うと、粉が落ちて跡が残ります。
「殺風景な和室に何か飾りたいけれど、壁に穴を開けたくない」「掛け軸をもらったが、どこにどう掛ければいいか分からない」という悩みは、和室特有の壁構造を知れば解決します。
この記事では、和室の壁を傷めずに飾る具体的な方法を、材質の見分け方から高さの決め方まで解説します。和室インテリアの基本とあわせて読むと、部屋全体の統一感まで整えられます。
まず和室の壁の材質を見分ける
飾り方を決める前に、壁が何でできているかを確認します。ここで対応を間違えると、退去時の補修費用につながります。
砂壁・繊維壁の見分け方
指で軽くこすってみてください。粉が指に付く、ざらざらした感触がある、表面に細かい繊維が見えるなら砂壁や繊維壁です。築年数の古い和室に多く見られます。
この壁は粘着テープが効きません。貼っても表面ごと剥がれ落ちます。ピンを刺しても周囲がぼろぼろと崩れます。壁に直接何かを固定するのは避けてください。
京壁・じゅらく壁の見分け方
砂壁より粒子が細かく、こすっても粉が付きにくいのが特徴です。落ち着いた土色をしています。
粘着力の弱いテープなら使える場合がありますが、剥がすときに表面が持っていかれるリスクは残ります。試すなら目立たない場所で確認してから使ってください。
クロス(壁紙)の見分け方
継ぎ目が縦に走っている、表面が均一でつるりとしている、水拭きできるならクロスです。近年リフォームされた和室に多く見られます。
クロスなら洋室と同じ飾り方が使えます。剥がせるフックやピンも使用できます。壁紙の種類については和室の壁紙選びで詳しく解説しています。

壁に穴を開けずに飾る4つの方法
砂壁や繊維壁でも、壁そのものを使わずに飾る手段があります。
方法1|長押(なげし)を使う
和室の壁の上部、天井から30〜50cmほどの位置に横木が渡してあれば、それが長押です。もともと物を掛けるための構造材で、和室で最も安全な飾り場所です。
長押専用のフックがホームセンターやネット通販で数百円から手に入ります。挟み込むだけで固定でき、壁にはまったく触れません。耐荷重は製品によりますが、3〜5kg程度まで対応するものが一般的です。
長押フックは挟み込む厚みに対応幅があります。手持ちの長押の厚みを測ってから選ぶと、ぐらつかず安定します。
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額装した作品、季節の飾り、帽子やかごなど、軽いものであればほぼ何でも掛けられます。長押の役割は和室の各部名称を図解で解説でも触れています。
方法2|突っ張り式のラックを使う
床と天井で突っ張るタイプの棚やポールです。壁に一切触れずに飾るスペースを作れます。
和室で使うなら、木目調やホワイト系のシンプルなものを選んでください。金属むき出しの製品は和の空間から浮きます。
突っ張り式のラックは対応できる天井高が製品ごとに決まっています。設置場所の高さを測ってから選んでください。木目調なら和室にもなじみます。
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設置場所は部屋の隅がおすすめです。中央付近に立てると空間を分断してしまい、和室特有の広がりが失われます。
方法3|置いて飾る
そもそも壁に掛けない、という選択も有効です。和室は視線が低い空間なので、床置きの飾りが自然になじみます。
小さな飾り棚、脚付きの花台、イーゼルに立てかけた額。どれも壁を傷めずに視線の高さを作れます。高さ40〜80cm程度の家具を選ぶと、座ったときの目線に合います。
方法4|床の間を使う
床の間があるなら、それが本来の飾り場所です。飾るために作られた空間なので、迷う必要がありません。
床の間の活用方法は床の間の活用アイデア完全ガイドに詳しくまとめています。

掛け軸の飾り方
和室の飾りとして最も定番でありながら、扱い方が分からない人が多いのが掛け軸です。
掛ける高さ
掛け軸の中心が、座ったときの目線の高さに来るように調整します。畳に座った状態での目線は、床から約100〜110cmです。
洋室の絵画は立った目線(床から145〜150cm)に合わせますが、和室では低くします。これを間違えると「見上げる」形になり、落ち着きません。
季節に合わせて掛け替える
掛け軸は本来、季節や行事に応じて掛け替えるものです。年間を通して同じものを掛けっぱなしにすると、傷みも早くなります。
季節別の題材の目安
- 春:桜、梅、鶯
- 夏:涼を感じる水辺、朝顔
- 秋:紅葉、月、菊
- 冬:雪景色、松、椿
- 通年:山水画、書
すべて揃える必要はありません。2〜3本を季節で入れ替えるだけでも空間が変わります。
保管方法
外した掛け軸は、桐箱に入れて湿気の少ない場所で保管します。巻くときは強く締めすぎないでください。紙や絹が痛みます。
年に1〜2回は箱から出して風を通すと、カビと虫害を防げます。
現代的なアートを飾るときのコツ
掛け軸でなくても、和室に合う飾り方はあります。
額縁は木製・細枠を選ぶ
金縁や太い装飾枠は和室から浮きます。木製で、枠が細いものを選んでください。色は木目のままか、黒、白が無難です。
マット(作品の周りの余白)を広めに取ると、和室の余白の美しさと呼応して落ち着きます。
額縁は木製の細枠で、マット付きのものを選ぶと和室になじみます。サイズ違いで揃えるより、まず1点から試すのがおすすめです。
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数を絞る
洋室では複数の額を並べる飾り方が一般的ですが、和室では1〜2点に絞ります。和室の美しさは余白にあるため、埋めすぎると狭く感じられます。
壁一面に対して1点。これを基本に考えてください。
色数を抑える
作品の色数が多いと、畳・土壁・木という和室の落ち着いた色調とぶつかります。モノトーン、あるいは2〜3色に収まった作品を選ぶとなじみます。
和室と現代的な要素の合わせ方は和室×北欧インテリアのつくり方も参考になります。
照明との関係を考える
飾ったものに光が当たらないと、存在感が出ません。和室のシーリングライト1灯だけでは、壁面は暗くなります。
スポットライトやスタンドライトで壁面を照らすと、飾りが引き立ちます。照明の選び方は和室に合う照明の選び方で解説しています。


やってはいけない飾り方
失敗例から学ぶほうが早いこともあります。
砂壁に画鋲やピンを刺す
刺した瞬間は問題なくても、抜いたときに周囲が崩れます。補修には同じ材質の壁材が必要で、色合わせも難しくなります。
強力両面テープを使う
砂壁・繊維壁では表面ごと剥がれます。クロスであっても、剥がすときに壁紙が破れることがあります。
壁全面を飾りで埋める
和室の心地よさは余白から生まれます。飾る面積は壁全体の3割以下に抑えてください。
重いものを長押に掛ける
長押は装飾材を兼ねた構造材ですが、重量物を想定していません。3kgを超えるものは掛けないでください。
直射日光の当たる壁に飾る
掛け軸も額装作品も、紫外線で退色します。南向きの窓に面した壁は避けるか、レースやスクリーンで光を和らげてください。
よくある質問
Q. 賃貸の和室でも壁を飾れますか?
飾れます。長押フック、突っ張りラック、床置きの3つはいずれも壁に触れません。この記事で紹介した方法は、原状回復を前提に選んでいます。
Q. 長押がない和室ではどうすればいいですか?
突っ張り式のラックか、床置きの飾り棚を使ってください。天井と床で突っ張るポールにフックを付ければ、掛ける飾りも楽しめます。
Q. 掛け軸をもらいましたが床の間がありません。どこに飾ればいいですか?
長押に専用の掛軸フックを取り付ければ、床の間がなくても飾れます。掛ける高さは座った目線(床から100〜110cm)に中心を合わせてください。
Q. 和室に写真を飾るのは変でしょうか?
問題ありません。額縁を木製の細枠にし、点数を1〜2点に絞れば和室になじみます。モノクロ写真は特に相性が良く、落ち着いた印象になります。
Q. 砂壁の粉が落ちるのを止める方法はありますか?
砂壁専用の固化剤をスプレーすると粉落ちが軽減します。ただし賃貸では管理会社への確認が必要です。根本的に解決したい場合は、クロスへの張り替えを検討してください。
まとめ
和室の壁を飾るときの要点を整理します。
最初にやること
- 壁の材質を指でこすって確かめる
- 砂壁・繊維壁なら壁に直接固定しない
- 長押の有無を確認する
壁を傷めない4つの方法
- 長押フックを使う
- 突っ張り式のラックを立てる
- 床置きの飾り棚を使う
- 床の間を活用する
和室に合わせる3つのコツ
- 高さは座った目線(床から100〜110cm)
- 点数は壁一面に1〜2点まで
- 額は木製・細枠、色数は絞る
和室の壁は、洋室のように自由に釘を打てない代わりに、長押という飾るための仕組みが最初から備わっています。まずは長押フックを1つ買って、手持ちの額を掛けてみてください。壁を傷めずに、部屋の印象が変わります。