和室は日本の住まいならではの落ち着いた空間ですが、畳やふすま、障子といった独特の素材が使われているため、フローリングの部屋とは掃除の方法が異なります。「畳に掃除機をかけてもいいの?」「ふすまの黄ばみはどうすれば落ちる?」「障子はどのくらいの頻度で張り替えるべき?」といった疑問を持っている方は少なくないでしょう。
正しいお手入れの方法を知っておけば、和室は何年経っても美しい状態を保つことができます。この記事では、畳・ふすま・障子・壁・天井それぞれの掃除方法から、季節ごとの手入れポイント、便利なお掃除グッズまで、和室の掃除に必要な知識をまとめて解説します。
畳の掃除方法|日常のケアと定期的なお手入れ
畳は天然のイ草でできているため、湿気や汚れに弱い反面、正しく手入れすれば長持ちする素材です。日常の掃除と定期的なメンテナンスを組み合わせることで、畳本来の香りと美しさを保てます。
日常の掃除機がけのポイント
畳に掃除機をかけること自体は問題ありませんが、必ず「畳の目に沿って」かけるのが鉄則です。目に逆らってかけると、イ草の繊維が傷んだり、毛羽立ちの原因になったりします。
掃除機のヘッド部分は、回転ブラシ付きのものよりも吸引のみのタイプが畳には適しています。回転ブラシはイ草を引っかけて傷める可能性があるため、もし回転ブラシ付きの掃除機しかない場合は、ブラシの回転を止める機能を活用しましょう。
1畳あたり40秒から1分ほどかけて、ゆっくりと吸い取るのが目安です。急いでかけるとホコリやダニの死骸を十分に除去できません。
拭き掃除の正しいやり方
畳の拭き掃除は「乾拭き」が基本です。固く絞った雑巾での水拭きも可能ですが、頻繁に行うとイ草が水分を吸収して劣化が早まります。水拭きは月に1回程度にとどめ、それ以外は乾いた布やドライタイプのフローリングワイパーで拭き取るのがおすすめです。
水拭きをする際は、お湯ではなく水を使いましょう。お湯はイ草の油分を奪いやすく、乾燥やひび割れの原因になります。また、拭いたあとは窓を開けてしっかりと換気し、畳を乾燥させることが大切です。
カビ・ダニの予防策
畳のカビは梅雨時期に発生しやすく、特に新しい畳ほどイ草の水分含有量が多いためカビが生えやすい傾向があります。予防のためには以下の点を心がけてください。
- 部屋の湿度を60%以下に保つ(除湿機やエアコンの除湿機能を活用)
- 天気のよい日は窓を開けて換気する(最低でも1日1回、10分以上)
- 畳の上に布団を敷きっぱなしにしない
- 加湿器を和室で長時間使用しない
もしカビが発生してしまった場合は、まず乾いたブラシで表面のカビを除去してから、消毒用エタノールをスプレーボトルに入れて吹きかけ、乾いた布で拭き取ります。その後、十分に乾燥させてから掃除機で残ったカビの胞子を吸い取ると効果的です。塩素系の漂白剤は畳を変色させるため、使用は避けてください。
ダニ対策としては、定期的な掃除機がけに加えて、年に1〜2回は畳を持ち上げて裏面に風を通す「畳干し」が有効です。畳を立てかけて4〜5時間ほど日陰で干すと、内部の湿気が抜けてダニの繁殖を抑えられます。
ふすまの手入れ方法|汚れ別の対処法
ふすまは和室の間仕切りとして欠かせない存在ですが、紙でできているため汚れやすく、一度汚れると落としにくいという特徴があります。汚れの種類に応じた適切な対処法を知っておきましょう。
日常のほこり取り
ふすまの表面にはホコリが溜まりやすいため、週に1回ほどの頻度ではたきやハンディモップで軽く払うのが理想的です。はたきを使う際は、上から下へ向かって払うようにします。下から上に払うと、落としたホコリが再びふすまに付着してしまいます。
ふすまの引き手周辺は手垢がつきやすい部分です。汚れが軽いうちであれば、消しゴムで軽くこするだけで落とせることもあります。力を入れすぎると紙が破れるので、やさしく丁寧にこすってください。
汚れ別の落とし方
ふすまに付いた汚れは、その種類によって対処法が異なります。
手垢や皮脂汚れの場合は、消しゴムでやさしくこすります。それでも落ちないときは、中性洗剤を薄めた液を布に含ませ、固く絞ってから軽く叩くように拭き取ります。ただし、ふすま紙の種類によっては水分でシミになる場合があるため、目立たない場所で試してから行いましょう。
醤油やお茶などのシミには、大根おろしの汁が効果的です。大根おろしの汁を脱脂綿に含ませ、シミの部分に軽く叩くように塗布します。大根に含まれる酵素が有機物のシミを分解するとされ、昔ながらの方法として知られています。

張り替えのサインと費用の目安
ふすまの張り替え時期は、一般的に10年前後が目安とされています。ただし、以下のような状態が見られたら、早めの張り替えを検討しましょう。
- 全体的に黄ばみや変色が目立つ
- 破れや穴が複数箇所にある
- シミが広範囲に広がっている
- たわみやたるみが出ている
業者に依頼する場合の費用は、片面で2,000円から8,000円程度が相場です。ふすま紙のグレードによって価格は大きく変わります。DIYで張り替えるなら、ふすま紙とのり・道具一式で1枚あたり1,000円から3,000円ほどで済みます。和室インテリアの基本を押さえたうえで、ふすまのデザインにもこだわると部屋全体の印象が変わります。
障子の手入れと張り替え
障子は和室に柔らかい光を取り込む大切な建具ですが、紙素材のため経年劣化は避けられません。日常的なケアと適切なタイミングでの張り替えが、障子を美しく保つ鍵です。
日常のケア方法
障子のホコリは、はたきやハンディモップで定期的に払い落としましょう。障子紙の表面は非常にデリケートなので、強い力で触れないよう注意が必要です。
障子の桟(さん)部分は特にホコリが溜まりやすいポイントです。細かい部分は古い歯ブラシや綿棒を使って丁寧に取り除きます。桟の上部にホコリが積もると、障子紙の変色やシミの原因にもなるため、月に1回はチェックするとよいでしょう。
張り替え頻度と方法
障子の張り替え頻度は、一般的に1年から2年に1回が目安です。直射日光が当たる場所では劣化が早く進むため、もう少し短い間隔での張り替えが必要になることもあります。
張り替えの手順は以下のとおりです。
- 障子を外して平らな場所に置く
- 霧吹きで古い障子紙を湿らせ、5分ほど待つ
- 紙が十分にふやけたら、端からゆっくりはがす
- 桟に残ったのりをスポンジで拭き取り、乾燥させる
- 新しい障子紙を桟にのりで貼り付ける
- 貼り終わったら霧吹きで軽く水をかけ、乾燥させるとピンと張る
最近は「プラスチック障子紙」や「強化障子紙」といった破れにくい素材も販売されています。小さなお子さんやペットがいる家庭では、こうした丈夫な素材を選ぶと張り替えの頻度を減らせます。

壁・天井の掃除|見落としがちなポイント
和室の壁と天井は、畳やふすまに比べて掃除を忘れがちな場所です。しかし、放置するとホコリやカビが蓄積し、部屋全体の印象を損ねてしまいます。
土壁・砂壁の注意点
和室の壁には土壁や砂壁が使われていることが多く、これらは水拭きができません。表面を強くこすると砂や土が剥がれ落ちてしまうため、掃除は「やさしく払う」のが基本です。
はたきやドライシートを使い、壁の上部から下部に向かって軽くホコリを払います。掃除機の先端にブラシノズルを付けて、弱い吸引力で表面のホコリを吸い取る方法も効果的です。
砂壁が経年劣化でポロポロと剥がれてくる場合は、市販の砂壁用固化剤を塗布すると崩れを防げます。劣化がひどい場合は、砂壁の上から塗れるタイプの壁材でリフォームする方法もあります。
天井の掃除
和室の天井は板張りになっていることが多く、ホコリが溜まりやすい場所です。長い柄のフローリングワイパーにドライシートを付け、天井に沿って拭き取るのが安全で効率的な方法です。
天井のシミは雨漏りのサインであることもあります。茶色いシミが広がっている場合は、まず雨漏りの有無を確認し、必要に応じて専門業者に点検を依頼してください。
押入れ収納のコツも参考に、和室全体のメンテナンスを計画的に行うと、いつでも快適な空間を維持できます。
和室掃除の便利グッズ早見表
和室の掃除には、素材を傷めずに汚れを落とせる専用のグッズがあると便利です。以下に、場所別のおすすめグッズをまとめました。
| 掃除場所 | おすすめグッズ | 用途 | 価格帯の目安 |
|---|---|---|---|
| 畳(日常) | ドライフローリングワイパー | ホコリ・髪の毛の除去 | 300〜800円 |
| 畳(カビ対策) | 消毒用エタノールスプレー | カビの除去・予防 | 400〜1,000円 |
| 畳(ダニ対策) | 布団用ノズル付き掃除機 | ダニ・ホコリの吸引 | 掃除機付属品 |
| ふすま | ハンディモップ | 表面のホコリ取り | 300〜600円 |
| ふすま(手垢) | 砂消しゴム・プラスチック消しゴム | 手垢・軽い汚れの除去 | 100〜200円 |
| 障子の桟 | 細口ブラシ・古歯ブラシ | 桟のホコリ除去 | 100〜300円 |
| 障子(張り替え) | 障子のりセット | 張り替え用のり・カッター | 500〜1,500円 |
| 壁・天井 | 長柄フローリングワイパー | 高所のホコリ取り | 500〜1,200円 |
| 壁(砂壁) | 砂壁用固化剤 | 表面の崩れ防止 | 1,000〜2,500円 |
これらのグッズはホームセンターや100円ショップでも手に入るものが多いので、和室の掃除を始める前にそろえておくとスムーズです。
季節別の掃除ポイント
和室の手入れは季節によって重点を置くべきポイントが変わります。それぞれの時期に適したケアを行うことで、年間を通じて和室を清潔に保てます。
春(3月〜5月)
春は花粉やPM2.5が室内に入り込みやすい季節です。換気の際は花粉の飛散が少ない早朝や雨上がりを狙い、レースカーテンを閉めた状態で行いましょう。畳の表面に花粉が積もりやすいため、掃除機がけの頻度を上げるのが効果的です。
また、春は障子の張り替えに適した時期でもあります。湿度が安定しているため、障子紙がきれいに張れます。
夏(6月〜8月)
梅雨から夏にかけては湿度が高く、畳にカビが発生しやすい時期です。除湿機やエアコンの除湿機能を積極的に活用し、室内の湿度管理に特に注意しましょう。
畳干しを行うなら、梅雨入り前の5月下旬から6月上旬がベストタイミングです。梅雨に入ってからでは屋外に干せないため、事前に済ませておくのがおすすめです。
秋(9月〜11月)
秋は気候が安定し、和室の大掃除に最適な季節です。年末の大掃除を待たず、この時期にふすまの張り替えや壁の掃除などの大がかりな作業を済ませておくと、年末がぐっと楽になります。
秋口はダニの死骸やフンが増える時期でもあるため、畳の掃除機がけを丁寧に行いましょう。アレルギー対策としても重要なポイントです。
冬(12月〜2月)
冬は乾燥による畳のひび割れや、暖房による結露に注意が必要です。加湿器を使う場合は、畳のそばに置かないようにし、適度な湿度(40〜60%)を保つことを心がけましょう。
結露はふすまや障子のシミ・カビの原因になります。窓際の障子は特に結露の影響を受けやすいため、こまめに水滴を拭き取るようにしてください。
和室の快適さを高めるために、和室の各部名称も季節に合わせて変えると、掃除のモチベーションにもつながります。
よくある質問
Q. 畳の上にカーペットを敷いても大丈夫ですか?
畳の上にカーペットやラグを敷くこと自体は可能ですが、通気性が悪くなるためカビやダニが発生しやすくなるリスクがあります。敷く場合は定期的にカーペットを持ち上げて換気し、畳の状態をチェックするようにしましょう。防ダニシートを間に敷くのも有効な対策です。なお、和室の上手な使い方については和室リフォームの費用相場でも詳しく解説しています。
Q. 畳に飲み物をこぼしてしまったときの対処法は?
できるだけ早く対処することが重要です。まず、乾いた布やキッチンペーパーでこぼした液体を押さえるようにして吸い取ります。こすると汚れが広がるので、必ず「叩く」ようにして拭き取ってください。その後、塩をふりかけて水分を吸わせ、十分に乾いたら掃除機で塩を吸い取ります。それでもシミが残る場合は、薄めた酢を布に含ませて叩き拭きすると効果的です。
Q. ふすまの小さな穴を自分で補修できますか?
小さな穴であれば、市販の「ふすま補修シール」で簡単に補修できます。穴よりも一回り大きいシールを貼るだけなので、特別な道具は必要ありません。デザイン性のある補修シールを使えば、アクセントとして楽しむこともできます。穴が大きい場合や複数箇所にある場合は、全面の張り替えを検討した方がきれいに仕上がります。
Q. 障子紙にはどんな種類がありますか?
障子紙は大きく分けて「手すき和紙」「機械すき和紙」「プラスチック障子紙」の3種類があります。手すき和紙は風合いに優れていますが価格が高く、機械すき和紙はコストパフォーマンスが良い一般的な選択肢です。プラスチック障子紙は破れにくく水拭きもできるため、小さなお子さんやペットがいるご家庭に人気があります。それぞれの特徴を踏まえて、ライフスタイルに合ったものを選びましょう。
Q. 和室の掃除はどのくらいの頻度で行うべきですか?
掃除の頻度は場所によって異なります。畳の掃除機がけは週に2〜3回、拭き掃除は月に1回が目安です。ふすまと障子のホコリ取りは週に1回程度、壁や天井の掃除は月に1回から季節の変わり目ごとに行うとよいでしょう。日常的な掃除を習慣にしておけば、大掃除の際の負担が大幅に軽減されます。
プラスチック障子紙は破れにくく、小さなお子さんやペットがいる家庭に最適です。
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この記事を書いた人
田中 由美(たなか ゆみ)
家庭菜園アドバイザー / 畳と家庭菜園のある暮らし研究家自宅の庭で10年以上家庭菜園を実践し、年間20種類以上の野菜を育てています。最初は「次に何を植えればいいかわからない」状態でしたが、年間カレンダーを作ってからは、1年中収穫が途切れない菜園ライフを楽しめるようになりました。菜園教室では500人以上の方の年間計画づくりをサポートしてきました。
まとめ
和室の掃除は、素材の特性を理解して適切な方法で行うことが大切です。この記事のポイントを振り返っておきましょう。
- 畳の掃除機がけは必ず「目に沿って」行い、1畳あたり40秒以上かけてゆっくり吸い取る
- 畳の拭き掃除は乾拭きが基本。水拭きは月1回程度にとどめ、拭いたあとはしっかり換気する
- カビ予防には室内の湿度を60%以下に保ち、定期的な換気と畳干しを行う
- ふすまの汚れは消しゴムや大根おろしの汁など、素材に合った方法で対処する
- 障子の張り替えは1〜2年に1回が目安。プラスチック障子紙を使えば張り替え頻度を減らせる
- 壁や天井は水拭き不可の素材が多いため、はたきやドライシートでやさしく払う
- 季節ごとに重点ポイントが異なるため、年間を通じた計画的なケアが効果的
- 便利グッズを活用すれば、素材を傷めずに効率よく掃除できる
和室は手間がかかると思われがちですが、日々のちょっとした手入れを続けるだけで、美しい状態を長く保つことができます。まずはできることから始めて、和室のある暮らしを快適に楽しんでください。