ふすまが重い、途中で引っかかる、持ち上げないと動かない。
この症状の大半は、敷居の汚れとすべりの低下が原因です。 掃除と数百円の材料で直ることがほとんどで、業者を呼ぶ前に試す価値があります。
一方で、建物側が原因のケースもあります。この場合は自分で直せません。まず原因を切り分けるところから始めてください。
ふすまの種類と張り替えについては和室のふすまの種類と選び方にまとめています。
原因の切り分け
5分でできる確認です。
確認1|どこで引っかかるか
| 症状 | 疑われる原因 |
|---|---|
| 全体的に重い | 敷居の汚れ・すべりの低下 |
| 特定の場所で引っかかる | 敷居の削れ・ゴミ |
| 端まで閉まらない | 建具の反り・建物の歪み |
| 上が擦れる | 鴨居が下がっている |
| 下が擦れる | 敷居が上がっている・建具が膨張 |
| ガタガタして浮く | 建具が縮んだ・敷居が減った |
確認2|敷居の溝を見る
ふすまを外して、溝を覗いてください。
- ほこりと綿ぼこりが溜まっている → 掃除で直る
- 溝が黒くつやつやしている → すべり材の劣化。ロウかテープで直る
- 溝に凹みや傷がある → 削れ。テープで直る
- 溝が明らかに波打っている → 建物側の問題
確認3|隙間を測る
建具の上と下に、それぞれ何mmの隙間があるかを見ます。
- 上下とも2〜3mm程度 → 正常
- 上が0mm、下が大きい → 鴨居が下がっている
- 上が大きく下が0mm → 敷居が上がっている
上が擦れていて下に隙間がある場合、建具ではなく建物の問題です。 自分で直すのは難しくなります。

掃除で直す(まず最初に)
費用0円。これで直る例が最も多くなります。
手順
- ふすまを外す(持ち上げて手前に引く)
- 掃除機の細ノズルで溝のほこりを吸う
- 固く絞った布で溝を拭く
- 完全に乾かす
- ふすまの下端(敷居に接する部分)も拭く
- 元に戻す
溝の奥に綿ぼこりが固まっていることが多くあります。 掃除機で取り切れなければ、割り箸の先に布を巻いてこすってください。
水分を残さないでください。 木の敷居は湿ると膨らみ、かえって重くなります。
すべりを良くする
掃除しても重い場合、すべり材を足します。
選択肢は2つ
| 材料 | 費用 | 持続 | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| ロウ(すべり剤) | 200〜500円 | 数か月 | すべりだけ改善したい |
| 敷居すべりテープ | 500〜1,500円 | 数年 | 溝が削れている・長く効かせたい |
| シリコンスプレー | 500〜800円 | 短い | 応急処置 |
ロウを使う場合
もっとも手軽です。
- 溝を掃除する
- ロウを溝に沿って塗る(クレヨンのように)
- 乾いた布で薄く伸ばす
- ふすまを数回動かして馴染ませる
塗りすぎないでください。 厚く残るとほこりを吸着し、かえって重くなります。
専用の「すべりロウ」が数百円で売られています。ろうそくで代用することもできますが、専用品のほうが硬さが適しています。
敷居すべりテープを使う場合
溝が削れている場合は、こちらが根本的な解決になります。
- 溝を掃除し、完全に乾かす
- 溝の幅を測る(一般的に18mm・21mm・24mm)
- 必要な長さに切る
- 端から少しずつ剥がしながら、まっすぐ貼る
- 上から布で強く押さえる
- 継ぎ目は突き合わせにする(重ねない)
溝の幅に合ったものを買ってください。 幅が広すぎると溝の壁に乗り上げ、狭すぎると効果が半減します。
まっすぐ貼るのが唯一のコツです。 曲がると引っかかりの原因になります。一度に全部剥がさず、20cmずつ進めてください。
貼る前にやすりをかける
溝がざらついている、または古いすべり材が残っている場合は、細かいサンドペーパー(240番程度)で軽くならしてから貼ってください。
密着が良くなり、剥がれにくくなります。

建物側が原因の場合
次の症状は、自分で直すのが難しい領域です。
鴨居が下がっている
上が擦れ、下に大きな隙間がある状態です。
上の横木(鴨居)が、長年の荷重や建物の変形で垂れ下がっています。
| 対処 | 難易度 | 備考 |
|---|---|---|
| 建具の上端を削る | 中 | 元に戻せない。慎重に |
| 鴨居を持ち上げる(つっぱり式の建具調整具) | 中 | 市販品がある |
| ジャッキで根本的に直す | 業者 | 建物の構造に関わる |
建具を削るのは最後の手段です。 将来鴨居が戻ったとき、隙間が空いたままになります。
建具が反っている
ふすまは湿気で反ります。 特に片面だけ湿度が高い環境(押入れ側と部屋側)で起きやすくなります。
- 軽い反り|逆方向に重しを乗せて数日置く
- 強い反り|張り替えか交換
張り替えの費用感は和室リフォームの費用相場を参照してください。
敷居が減っている
長年の使用で溝が削れて浅くなり、建具がガタつく状態です。
敷居すべりテープを貼れば、厚みのぶん改善します。 それでも足りない場合は、敷居の交換になります。

障子の場合
基本的にふすまと同じですが、2点だけ違います。
障子は軽いぶん、原因が絞れる
障子はふすまより軽いため、重いと感じる時点で敷居の問題である可能性が高くなります。
桟が歪んでいることがある
障子の格子(桟)が歪むと、枠全体がねじれて引っかかります。
紙を張り替えるタイミングで確認してください。 紙を剥がすと歪みが分かりやすくなります。
障子の張り替えは和室の障子の役割と種類にまとめています。
予防
定期的な掃除だけで、多くは防げます。
| 頻度 | 作業 |
|---|---|
| 月1回 | 敷居の溝に掃除機をかける |
| 年1回 | すべりロウを塗り直す |
| 数年に1回 | 敷居すべりテープを貼り替える |
| 随時 | 敷居を踏まない |
敷居は踏まないでください。 「作法」として言われることですが、実用的な理由があります。踏むと溝が変形し、建具が引っかかるようになります。
湿気対策も有効です。 木は湿ると膨らみます。梅雨時期に急に重くなったなら、除湿で改善することがあります。和室の湿気対策は和室の湿気・カビ対策にまとめています。

賃貸の場合
掃除とロウ・テープは、原状回復の対象になりません。
- 敷居すべりテープ|貼って剥がせる。問題ない
- ロウ|拭き取れる。問題ない
- 建具を削る|不可。原状回復の対象
- 敷居を削る・交換する|不可
建具を削る必要がある状態なら、管理会社に連絡してください。 建物側の不具合なので、貸主の負担で直る可能性があります。
賃貸和室でできる範囲は賃貸の和室を活用する方法にまとめています。
よくある質問
Q. まず何をすればいいですか?
敷居の溝を掃除してください。掃除機の細ノズルでほこりを吸い、固く絞った布で拭いて乾かすだけです。費用0円で、これだけで直る例が最も多くなります。
Q. ロウとテープ、どちらを使えばいいですか?
すべりだけを改善したいならロウ(200〜500円、数か月もつ)、溝が削れているならテープ(500〜1,500円、数年もつ)です。まずロウで試し、効果が続かなければテープに切り替えるのが無駄になりません。
Q. 上だけが擦れます。
鴨居が下がっている可能性が高い状態です。建具の上と下の隙間を測り、上が0mmで下に大きな隙間があれば、建物側の問題です。建具を削れば一時的に直りますが、元に戻せないため慎重に判断してください。
Q. 梅雨になると急に重くなります。
木が湿気を吸って膨らんでいます。除湿機やエアコンの除湿運転で改善することがあります。無理に力を入れて動かすと、敷居の溝を傷めるので避けてください。
Q. 敷居すべりテープの幅はどう選びますか?
溝の幅を実測してください。一般的に18mm・21mm・24mmがあります。幅が広すぎると溝の壁に乗り上げ、狭すぎると効果が半減します。買う前に定規で測っておくと確実です。
敷居すべりテープは溝の幅に合ったものを選んでください。18mm・21mm・24mmが一般的で、買う前に定規で測っておくと確実です。
(PR)「敷居すべり テープ」をAmazonで探す / 楽天で探す
まとめ
ふすま・障子が重いときの対処を整理します。
まず原因を切り分ける
- 全体的に重い → 敷居の汚れ・すべりの低下(自分で直せる)
- 特定の場所で引っかかる → 溝の削れ・ゴミ(自分で直せる)
- 上だけ擦れて下に隙間 → 鴨居の下がり(建物側)
手順は3段階
- 溝を掃除する(費用0円。これで直る例が最多)
- すべりロウを塗る(200〜500円、数か月)
- 敷居すべりテープを貼る(500〜1,500円、数年。溝の削れに有効)
テープは溝の幅を実測してから買う。 18mm・21mm・24mmが一般的です。まっすぐ貼ることだけ意識してください。
予防
月1回、溝に掃除機をかける。 そして敷居を踏まない。 これだけで、重くなる時期を大きく先送りできます。
参考