春菊は、プランターでも育てやすく、摘み取り収穫を繰り返すことで長期間にわたって収穫を楽しめる葉物野菜です。
「春菊は独特の香りがあるから好き嫌いが分かれそう」「育て方が難しそう」と思う方もいるかもしれません。実は、春菊は病害虫に強く、特に秋まきであれば手間をかけずに育てられます。独特の香り成分には害虫を遠ざける効果もあり、プランター栽培との相性が良い野菜です。
この記事では、春菊をプランターで育てる方法を種まきから収穫まで詳しく解説します。これから家庭菜園を始める方にもおすすめの野菜です。
春菊の基本情報と品種の選び方
まずは春菊の基本と、プランター栽培に適した品種を押さえておきましょう。
春菊とは
春菊はキク科の葉物野菜で、独特の香りとほろ苦さが特徴です。鍋料理の定番として知られていますが、サラダや天ぷら、和え物など幅広い料理に使えます。名前の由来は「春に菊に似た花を咲かせる」ことから。栽培中は花を咲かせる前に収穫するのが基本です。
栽培データ – 科名:キク科 – 生育適温:15〜20℃ – 発芽適温:15〜20℃ – 種まきから収穫:40〜50日 – 育てやすさ:★★★★☆(初心者向け)
品種の違い(大葉種・中葉種)
春菊の品種は葉の切れ込みの深さで大きく3つに分かれます。プランター栽培では大葉種と中葉種がおすすめです。
大葉種 – 葉が大きく、切れ込みが浅い – 香りがやわらかく、苦味が少ない – サラダなど生食にも向く – 代表品種:大葉春菊、おたふく春菊
中葉種 – 最も一般的な春菊 – 葉の切れ込みが中程度 – 香りと味のバランスが良い – 代表品種:菊之助、中葉春菊、きくまろ
小葉種 – 葉が細く切れ込みが深い – 香りが強く苦味もある – 現在はあまり流通していない – プランターでは収量がやや少なめ
初心者には、苦味が少なく食べやすい大葉種か、流通量が多く種が手に入りやすい中葉種がおすすめです。
栽培カレンダー
春菊の栽培スケジュールを時期別にまとめました。
秋まき栽培(おすすめ)
| 時期 | 作業 |
|---|---|
| 9月中旬〜10月上旬 | 種まき |
| 種まき後7〜10日 | 発芽 |
| 本葉1〜2枚(10月上旬頃) | 間引き1回目(株間2〜3cm) |
| 本葉4〜5枚(10月中旬頃) | 間引き2回目(株間5〜6cm)、追肥開始 |
| 種まき後40〜50日(11月頃) | 摘み取り収穫開始 |
| 11〜1月 | 2週間ごとに追肥しながら収穫を継続 |
春まき栽培
| 時期 | 作業 |
|---|---|
| 3月下旬〜5月 | 種まき |
| 種まき後7〜10日 | 発芽 |
| 本葉1〜2枚 | 間引き1回目 |
| 本葉4〜5枚 | 間引き2回目、追肥開始 |
| 種まき後40〜50日 | 収穫(とう立ち前に早めに) |
春まきは気温の上昇とともに、とう立ちしやすくなります。摘み取り収穫の回数は秋まきより少なくなることが多いです。
プランターと土の準備
春菊栽培に必要な道具と土を準備しましょう。
プランターの選び方
サイズの目安 – 深さ15cm以上 – 幅60cm程度の横長タイプが使いやすい – 容量12L以上が理想
春菊の根は比較的浅いため、深型のプランターでなくても十分育ちます。横長の標準プランターなら、2列のすじまきで10株以上育てられます。プランターの選び方を参考に、底に排水穴があるものを選びましょう。
土の準備
おすすめの土 – 市販の野菜用培養土がそのまま使える – 水はけが良く、保水性もある土が理想 – 元肥入りの培養土なら追加の肥料は不要
土づくりのポイント – pH6.0〜6.5のやや酸性〜中性を好む – 有機質に富んだ土で育ちが良くなる – 土づくりの基本を参考に準備する
培養土をプランターに入れる際は、縁から2〜3cm下までを目安にします。土が少なすぎると乾燥しやすく、多すぎると水やり時にあふれるので注意してください。

その他の道具
- じょうろ(細かいシャワー口付き)
- 園芸用はさみ(摘み取り収穫用)
- 防虫ネット(春まきの場合)
種まきの時期と方法
春菊は種から育てるのが基本です。苗での流通が少ないため、種まきの手順をしっかり覚えておきましょう。
種まきの適期
春まき:3月下旬〜5月 – 桜が咲く頃から種まき可能 – 気温が上がると、とう立ちしやすい – 早めの収穫を心がける
秋まき:9〜10月(おすすめ) – 害虫が少なく管理しやすい – 涼しい気候で葉が柔らかく育つ – 長期間の摘み取り収穫が楽しめる
秋まきの方が栽培しやすく、味も良い春菊が収穫できます。初めて育てる方は9月中旬〜10月上旬の種まきがおすすめです。
種まきの手順
- プランターに培養土を入れる(縁から2〜3cm下まで)
- 土の表面を平らにならす
- 深さ5mm程度のまき溝を2本作る(溝の間隔は10〜15cm)
- 種を1cm間隔ですじまきする
- ごく薄く土をかぶせる(種が隠れる程度)
- 手のひらで軽く押さえて土と種を密着させる
- じょうろで優しくたっぷり水やりする
種まきのコツ
光を好む「好光性種子」
春菊の種は好光性種子のため、土を厚くかぶせると発芽しにくくなります。覆土はごく薄く、種がうっすら見える程度で構いません。これが春菊の種まきで最も大切なポイントです。
発芽までの管理 – 発芽まで7〜10日かかる – 土の表面が乾かないようこまめに水やり – 霧吹きを使うと種が流れにくい – 発芽適温は15〜20℃
発芽率はやや低めなので、多めに種をまいておくと安心です。発芽がそろわない場合は追いまきをしましょう。
間引きのタイミングと方法
春菊は間引きで適切な株間を確保し、一株一株を充実させます。
春菊の種は通販なら品種を選べて、中葉種は初心者にも育てやすいです。
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間引きのタイミング
1回目:本葉1〜2枚の頃 – 株間2〜3cmに間引く – 生育の悪い株、密集している部分を間引く
2回目:本葉4〜5枚の頃 – 株間5〜6cmに間引く – 最終的な株間を確保する
間引きのやり方
- 土が湿っている状態で行う
- 残す株の根元を指で押さえる
- 間引く株をまっすぐ上に引き抜く
- ハサミで根元を切ってもよい(残す株の根を傷めにくい)
間引き菜の活用
間引いた春菊は小さくても香りがあり、食べられます。サラダに加えたり、味噌汁に散らしたりして活用しましょう。間引き菜はやわらかく、生食でも美味しくいただけます。
日常の管理(水やり・追肥)
春菊の生育を左右する日常管理のポイントを解説します。
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水やりのポイント
頻度の目安 – 土の表面が乾いたらたっぷり – 秋:1〜2日に1回 – 冬:2〜3日に1回 – 春:1〜2日に1回
水やりのコツ – 朝の時間帯に行う – シャワー口で株元に優しく – 過湿は根腐れの原因になるので排水を確認 – 冬場は暖かい日の午前中に
春菊は乾燥に弱い野菜です。土の表面が白っぽく乾いてきたら水やりのサインです。ただし、常に湿った状態は根腐れを招くため、水やりの基本を参考にメリハリのある水やりを心がけましょう。

追肥のタイミング
追肥スケジュール – 2回目の間引き後に1回目の追肥 – その後は2週間に1回のペースで追肥 – 摘み取り収穫を始めたら、収穫のたびに追肥
肥料の種類 – 液体肥料が手軽で使いやすい – 規定の濃度に薄めて水やり代わりに与える – 窒素分の多い肥料で葉の生育を促す
肥料切れのサイン – 葉の色が薄くなる – 新芽の伸びが悪くなる – 下葉が黄色くなって枯れる
摘み取り収穫を長く続けるためには、こまめな追肥が欠かせません。肥料が切れると葉が硬くなり、香りも強くなりすぎるので注意しましょう。
摘み取り収穫のやり方
春菊栽培の最大のポイントは「摘み取り収穫」です。正しいやり方を覚えれば、1つの株から何度も収穫できます。
摘み取り収穫とは
春菊は主枝の先端を摘み取ると、そこからわき芽が伸びてきます。伸びたわき芽をまた摘み取ると、さらに新しいわき芽が出る仕組みです。これを繰り返すことで、1つの株から長期間にわたって収穫を続けられます。
収穫の手順
1回目の収穫(草丈20cm程度になったら) 1. 草丈が20cm程度に育ったら収穫開始 2. 株元から数えて4〜5枚の葉を残す 3. その上の茎をハサミで切る 4. 切り口のすぐ下の葉の付け根からわき芽が出る
2回目以降の収穫 1. わき芽が15〜20cm程度に伸びたら収穫 2. わき芽の下の葉を1〜2枚残して切る 3. 残した葉の付け根からさらにわき芽が出る 4. これを繰り返す
摘み取り収穫のコツ
株元の葉を必ず残す
株元に葉を残さないと、わき芽が出なくなります。最低でも4〜5枚は残すようにしましょう。欲張って短く切りすぎると株が弱って枯れる原因になります。
収穫は午前中に
朝の涼しい時間帯に収穫すると、葉がみずみずしい状態で採れます。収穫後はすぐに水に浸けると鮮度が長持ちします。
収穫回数の目安
秋まきの場合、上手に管理すれば2〜3ヶ月にわたって5〜6回の収穫が可能です。追肥を怠らず、わき芽を伸ばし続けることが長く収穫するコツです。
株ごと収穫する場合
春まきで、とう立ちが心配な場合は、草丈が20〜25cmになった時点で株元からハサミで切り取って株ごと収穫しましょう。この方法では一度きりの収穫になりますが、確実に収穫できます。

春菊の活用アイデア
採れたての春菊は香りが格別です。鍋料理以外にもさまざまな使い方があります。
生食(サラダ) 大葉種や若い葉は苦味が少なく、サラダに最適です。ごま油と塩、レモン汁を合わせたドレッシングが春菊の香りを引き立てます。
天ぷら 春菊の天ぷらは香りがふわっと広がり、ほろ苦さが大人の味わいです。葉を数枚束ねて揚げます。
和え物・おひたし さっと茹でて、白ごまやくるみで和えると風味豊かな一品になります。茹ですぎると香りが飛ぶので、10〜15秒程度で十分です。
ペースト・ジェノベーゼ風 春菊をバジルの代わりに使ったジェノベーゼ風ソースは、パスタやトーストに合います。オリーブオイル、にんにく、松の実と一緒にフードプロセッサーにかけるだけです。
よくあるトラブルと対策
春菊はキク科で比較的病害虫に強い野菜ですが、いくつか注意すべきトラブルがあります。
とう立ち(花が咲く)
春菊は花が咲くと葉が硬くなり、苦味が強くなって食用に適さなくなります。
原因 – 高温と長日条件が重なる(春〜初夏) – 株が老化した場合 – 肥料切れで生育が止まった場合
対策 – 秋まきで栽培する – 春まきは早めに収穫する – つぼみが見えたらすぐに摘み取る – こまめに追肥して生育を維持する
つぼみを早めに摘み取れば、しばらくは収穫を続けられます。ただし、一度とう立ちが始まると完全に止めることは難しいため、早めの対処が大切です。
アブラムシの発生
症状 – 新芽や葉の裏に小さな虫が群がる – 葉が縮れたり、すす病を引き起こす
対策 – 見つけ次第、水で洗い流す – 防虫ネットで予防する – 窒素肥料のやりすぎに注意する(柔らかい新芽が増えるとつきやすい)
害虫対策の基本も参考にしてください。
その他のトラブル
葉が黄色くなる – 肥料切れ → 追肥する – 水切れ → 水やりの頻度を見直す – 老化 → 早めに収穫して次の作を準備
発芽がそろわない – 覆土が厚すぎる → 種が見える程度に薄くする – 乾燥 → こまめに水やりする – 古い種 → 新しい種を購入する
徒長する(茎がひょろひょろ伸びる) – 日照不足 → 日当たりの良い場所に移動 – 株間が狭すぎる → 間引きで株間を確保
春菊はキク科特有の香りが害虫を遠ざける効果があり、他の葉物野菜に比べると虫の被害は少ない方です。小松菜のプランター栽培など、アブラナ科の野菜と並べて育てると、コンパニオンプランツ的な効果も期待できます。
よくある質問
Q. 春菊の種はどこで買える?
ホームセンターの園芸コーナーや種苗店で購入できます。品種にこだわりたい場合は、インターネット通販も便利です。「中葉春菊」が最も入手しやすく、初心者にもおすすめです。種の寿命は1〜2年と短めなので、できるだけ新しい種を使いましょう。
Q. 春菊は連作できる?
キク科の春菊は連作障害が出にくい野菜です。同じプランターで続けて栽培することも可能ですが、2〜3回栽培したら土を新しく入れ替えるか、他の科の野菜と交互に育てるのが理想的です。
Q. 冬でも育てられる?
秋にまいた春菊は冬の間も収穫を続けられます。ただし、霜が降りると葉が傷むため、霜よけとして不織布をかけるか、軒下に移動させましょう。寒さに当たると葉がやや硬くなりますが、甘みが増す傾向があります。5℃以下になると生育が止まるため、新しい葉の伸びは遅くなります。
Q. 室内の窓辺でも育てられる?
日当たりの良い窓辺であれば育てられます。ただし、屋外に比べて光量が不足しやすく、徒長しやすいです。できるだけ日照時間が長い場所を選び、風通しにも気を配りましょう。屋外栽培の方が香り高く、しっかりした株に育ちます。
Q. 春菊が苦い場合はどうすればいい?
春菊の苦味が気になる場合は、いくつかの対策があります。まず、品種を大葉種に変えると苦味がかなり軽減されます。また、若い葉を早めに収穫すると苦味が少なくなります。調理の面では、ごま油で炒めると苦味がマイルドになり、天ぷらにすると香ばしさに変わります。とう立ちが始まった葉は苦味が強くなるため、早めに摘み取りましょう。
まとめ
春菊はプランターで育てやすく、摘み取り収穫を繰り返すことで長期間にわたって収穫を楽しめる葉物野菜です。
栽培のポイント – 秋まき(9月中旬〜10月上旬)がおすすめ – 種は好光性なので覆土はごく薄く – 間引きで株間5〜6cmを確保 – 2週間ごとの追肥で生育を維持
摘み取り収穫のコツ – 草丈20cmで1回目の収穫 – 株元の葉を4〜5枚残して切る – わき芽が伸びたら繰り返し収穫 – 追肥を忘れずに行う
トラブル防止 – とう立ちは早めのつぼみ摘みで対処 – アブラムシは水で洗い流す – 肥料切れに注意して葉の色を観察
キク科の春菊は害虫に比較的強く、独特の香りが食卓に彩りを添えてくれます。鍋料理はもちろん、サラダや天ぷらなど幅広い料理に使えるので、収穫の楽しみが広がります。小松菜やほうれん草と一緒にプランターで育てて、秋冬の葉物野菜を自家栽培で楽しみましょう。