和室に本棚を置きたいけれど、畳がへこまないか心配という方は少なくありません。
本は1冊あたりの重さは大したことがなくても、冊数が増えるとかなりの重量になります。文庫本で1冊約150g、ハードカバーなら300g以上になるため、棚いっぱいに並べると数十キログラムに達します。それだけの重さが畳の上にかかると、へこみや跡が気になるのは当然のことです。
しかし、本棚の選び方と設置の工夫次第で、畳を傷めずに和室で快適な読書空間をつくることは十分可能です。この記事では、和室に合う本棚の選び方から畳の保護対策、押入れ活用のアイデアまで詳しく解説します。和室インテリアの基本や和室に合う家具の選び方と併せて参考にしてください。
和室に本棚を置くときの注意点
和室に本棚を設置する前に、畳への影響を正しく理解しておくことが大切です。あらかじめ注意点を把握しておけば、適切な対策が取りやすくなります。
畳のへこみと跡が残りやすい
畳はい草と藁(わら)、もしくはボード素材でつくられており、フローリングに比べて表面が柔らかい素材です。そのため、重い家具を長期間同じ場所に置くと、脚の部分を中心にへこみや跡が残りやすくなります。
特に本を大量に収納した本棚は、家具の中でもかなりの重量になります。幅90cm程度の本棚に文庫本や単行本をぎっしり詰めると、本だけで30〜50kg、本棚自体の重量を合わせると50〜70kg以上になることも珍しくありません。
脚の形状による影響の違い
本棚の脚が細い4本脚タイプの場合、荷重が脚の1点に集中するため、畳に深いへこみができやすくなります。一方、底板が床に接するベタ置きタイプの場合は、荷重が分散されるため、畳への影響は比較的軽くなります。
畳を傷めにくいのは、底面が広く接地するタイプの本棚です。選ぶ際は脚の形状を必ず確認しましょう。
湿気とカビのリスク
本棚を壁際の畳の上に置くと、本棚の裏側に湿気がこもりやすくなります。和室はもともと調湿機能がある空間ですが、家具で塞がれた部分は空気が循環しにくくなるため、カビが発生するリスクが高まります。
本棚を設置する際は、壁から5cm程度離して空気の通り道を確保することが大切です。定期的に本棚を動かして、畳の状態を確認する習慣をつけておくと安心です。
賃貸の場合は退去時に注意
賃貸住宅で和室に本棚を置く場合は、退去時の原状回復が気になるポイントです。家具による畳のへこみは通常の使用による損耗として認められるケースもありますが、大きなへこみや変色が生じている場合は修繕費を求められる可能性があります。
賃貸にお住まいの方は、後述する保護対策をしっかり行っておくことをおすすめします。
畳を傷めない本棚の設置対策
本棚を和室に置くと決めたら、畳への負担を最小限に抑えるための対策を行いましょう。適切な保護をすれば、畳のへこみや跡をかなり軽減できます。
保護マット・畳用シートを敷く
最も手軽で効果的な対策が、本棚の下に保護マットを敷くことです。ホームセンターやインテリアショップで手に入る畳用保護シートや家具用マットを、本棚の底面より一回り大きいサイズにカットして使います。
保護マットの種類と特徴
- コルクマット:クッション性があり、荷重を分散しやすい。見た目もナチュラルで和室に馴染む
- フェルトマット:薄手で家具の下に敷きやすい。ずれにくいタイプを選ぶとよい
- EVA樹脂マット:軽量で耐久性がある。ジョイント式なら本棚の大きさに合わせやすい
- 合板・MDF板:薄い板を本棚の下に敷くと、荷重を広い面積に分散できる
畳の保護を重視するなら、薄い合板やMDF板の上にコルクマットを重ねる方法が効果的です。板で荷重を分散しつつ、コルクがクッションの役割を果たしてくれます。
脚にフェルトパッドを貼る
脚付きの本棚を使う場合は、脚の底面にフェルトパッドを貼ることで畳への負担を軽減できます。100円ショップでも手に入る手軽な対策ですが、効果は十分にあります。
脚の面積が小さい場合は、フェルトパッドだけでは不十分なこともあります。その場合は、脚の下に小さな板やコースターを敷いて、接地面積を広げるとよいでしょう。
定期的に位置をずらす
同じ場所に長期間置き続けると、畳にくっきりと跡が残ります。半年から1年に一度、本棚の位置を数センチずらすだけでも、畳の同じ部分に荷重がかかり続けることを防げます。
大型の本棚は簡単に動かせないため、あらかじめキャスター付きの台に乗せておくと移動が楽になります。ただし、キャスターは畳に傷をつけるリスクがあるため、必ずストッパー付きのものを選び、移動時以外はロックしておきましょう。

和室に合う本棚のタイプ
和室に置く本棚は、見た目の調和と実用性の両方が重要です。ここでは和室に向いている本棚のタイプを紹介します。
ロータイプの本棚
和室に最もおすすめなのが、高さ60〜90cm程度のロータイプの本棚です。畳に座って過ごす和室では目線が低くなるため、背の低い家具のほうが空間に圧迫感を与えません。
ロータイプの本棚には以下のメリットがあります。
- 和室特有の開放感を損なわない
- 座った状態で本を取り出しやすい
- 本棚の上面をディスプレイスペースとして活用できる
- 重心が低いため地震時に倒れにくい
高さ90cm程度のロータイプなら、文庫本で150〜200冊程度、単行本で100冊程度を収納できます。蔵書が多い場合は、2台並べて使うことで収納力を確保しながら圧迫感を抑えられます。
和室に合うテーブルの選び方でも解説していますが、和室の家具は低めを基本にすると空間にまとまりが出ます。
オープンラックタイプ
背板がないオープンラックは、和室の圧迫感を最小限に抑えられる本棚です。向こう側が透けて見えるため、部屋を広く感じさせる効果があります。
オープンラックは本棚としてだけでなく、飾り棚としても活用できます。本と一緒に花瓶や小物を置くことで、和室のインテリアとしても機能します。間仕切りとして部屋の中央に置く使い方にも向いています。
ただし、背板がないぶん本が後ろに落ちやすい点と、ホコリがたまりやすい点には注意が必要です。ブックエンドを使ったり、定期的に掃除をしたりすることで対処しましょう。
壁面収納タイプ
蔵書が多い方には、天井近くまで高さのある壁面収納タイプも選択肢になります。大量の本を一か所にまとめて収納でき、見た目にも統一感が出ます。
和室で壁面収納を使う場合は、以下の点に注意してください。
- 転倒防止の突っ張り棒や金具で固定する
- 畳への荷重が大きいため、必ず底面に保護板を敷く
- 壁一面を占めると和室の雰囲気が変わるため、1か所に留める
- 扉付きのタイプを選ぶと、すっきりした印象になる
壁面収納は重量が大きくなりがちなので、畳の保護対策は入念に行いましょう。薄い合板を本棚の下全面に敷くことをおすすめします。
回転式ブックタワー
省スペースで本を収納したい場合は、回転式のブックタワーも和室に向いています。1本の柱を中心に回転する構造のため、設置面積が小さく、畳への負担も比較的軽いのが特徴です。
文庫本やコミックの収納に適しており、直径40cm程度のスペースがあれば設置できます。見た目にもユニークで、和室のアクセントにもなります。

素材とデザインの選び方
和室の雰囲気を壊さずに本棚を置くには、素材とデザインの選び方が重要です。畳や柱、障子といった和室の構成要素と調和する本棚を選びましょう。
木製が基本
和室に置く本棚は木製が最も馴染みます。畳や木の柱と素材感が合うため、部屋に統一感が生まれます。
おすすめの木材と特徴
- パイン材:明るい色合いで軽く、手頃な価格帯が多い
- オーク材:木目が美しく耐久性が高い。やや重めだが高級感がある
- ウォールナット材:落ち着いた濃い色合いで、和モダンな空間に合う
- 桐:軽量で調湿効果がある。日本の家具に伝統的に使われてきた素材
和室の柱や鴨居の色に合わせて本棚の木材を選ぶと、統一感が出やすくなります。明るい色の和室には明るい木材を、濃い色の和室には落ち着いた色の木材を合わせるのが基本です。
金属やスチール製の本棚は、シンプルなデザインであれば和室に置けなくはありませんが、どうしても冷たい印象になりがちです。選ぶ場合はマットブラックなど主張の少ない色味のものを選ぶとよいでしょう。
和モダンなデザインを選ぶ
和室に合う本棚のデザインは、シンプルで無駄な装飾のないものが基本です。直線的なフォルム、すっきりとした見た目の本棚を選ぶと和室の雰囲気を壊しません。
近年は「和モダン」と呼ばれるスタイルの家具が増えています。和の要素を残しつつ現代的なデザインに仕上げた家具で、格子模様や曲線を控えめに取り入れたものが和室によく合います。
北欧デザインの本棚も和室と相性が良い選択肢です。木を活かしたシンプルなデザインが多く、和室の美意識と共通する部分があります。和室に合う家具の選び方でも触れていますが、北欧と和のテイストは組み合わせやすいスタイルです。
色選びのポイント
本棚の色は、和室の建具や柱の色に合わせるのが失敗しない方法です。
- ナチュラル系(明るい木の色):新しい畳や明るい和室に合う
- ミディアムブラウン:最も万能で、多くの和室に馴染む
- ダークブラウン:落ち着いた雰囲気の和室や、古い木の柱がある部屋に合う
- ホワイト系:和室には合わせにくいが、壁が白い場合はなじむこともある
塗装の質感も大切です。テカテカした光沢のある仕上げよりも、マットな質感や木目が透けて見えるオイル仕上げのほうが、和室の自然な雰囲気に合います。
押入れを本棚として活用するアイデア
畳を傷める心配をせずに本を収納したいなら、押入れを本棚代わりに活用する方法があります。押入れの奥行き(約80cm)を活かせば、かなりの量の本を収納できます。
棚板を追加して本棚化する
押入れの中板(上段と下段の仕切り板)だけでは本を効率よく並べられません。追加の棚板やカラーボックスを入れることで、本棚のように使えるようになります。
手軽な方法としては、押入れの中にカラーボックスや収納ラックを入れる方法があります。押入れの高さと幅に合うサイズのものを選び、段ごとに本を並べれば、見た目もすっきりします。
奥行きを活かす2列収納
押入れの奥行き約80cmは、文庫本や単行本を2列に並べられる深さです。手前と奥の2列で収納すれば、見た目以上の大量の本を収納できます。
奥の列には読む頻度の低い本を、手前の列にはよく読む本を並べるのがコツです。奥の本が見えなくなるため、ジャンルごとに分けてラベルを貼っておくと探しやすくなります。
見せる押入れ収納
押入れの襖(ふすま)を外して、本棚として見せる使い方も人気があります。襖を取り外すだけで開放感が生まれ、和室の雰囲気もがらりと変わります。
見せる収納にする場合は、本だけでなく雑貨や植物を織り交ぜると、おしゃれなディスプレイになります。カーテンやロールスクリーンを取り付ければ、来客時にはさっと隠すこともできます。
押入れ収納アイデアの記事で、押入れの活用方法をさらに詳しく紹介していますので、併せてご覧ください。

本棚タイプ別比較表
和室に置く本棚のタイプごとの特徴を一覧で比較します。自分の優先項目に合わせて選んでください。
| タイプ | 高さの目安 | 収納力 | 畳への負担 | 和室との相性 | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|---|
| ロータイプ | 60〜90cm | 中 | 小〜中 | 非常に良い | 5,000〜20,000円 |
| オープンラック | 60〜120cm | 中 | 小〜中 | 良い | 3,000〜15,000円 |
| 壁面収納 | 180〜240cm | 大 | 大 | やや注意が必要 | 15,000〜50,000円 |
| 回転式ブックタワー | 100〜170cm | 中 | 小 | 良い | 5,000〜15,000円 |
| カラーボックス組み合わせ | 自由 | 小〜中 | 小 | 工夫が必要 | 1,000〜5,000円 |
| 押入れ活用 | – | 大 | なし | 非常に良い | 0〜10,000円 |
畳への負担を最も少なくしたいなら押入れ活用が最適です。部屋のインテリアとして本棚を見せたい場合は、ロータイプの木製本棚がバランスの良い選択になります。蔵書が多い方は、壁面収納と押入れ活用を組み合わせるのも一つの方法です。
和室の収納アイデアでも、収納タイプごとの選び方を詳しく紹介しています。
ロータイプの木製本棚なら、畳を傷めにくく和室にも自然に馴染みます。
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よくある質問
Q. 和室に重い本棚を置いても大丈夫ですか?
適切な保護対策をすれば問題ありません。本棚の下に合板やコルクマットを敷いて荷重を分散させ、定期的に位置をずらすことで、畳へのダメージを最小限に抑えられます。ただし、あまりに重い場合は畳だけでなく床下への影響も考慮し、建物の構造に不安がある場合は管理会社や専門家に相談してください。
Q. 本棚による畳のへこみは退去時に修繕費がかかりますか?
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、家具の設置によるへこみは通常の生活による損耗とされており、原則として借主の負担にはなりません。ただし、著しいへこみやカビの発生など、通常の使用を超える損傷がある場合は費用を求められる可能性があります。心配な方は入居時に畳の状態を写真に残しておくとよいでしょう。
Q. ニトリやIKEAの本棚でも和室に合いますか?
合うものはあります。ニトリやIKEAでも木目調やナチュラルカラーの本棚は多く取り扱っています。ポイントは素材感と色味です。明るい木目のシンプルなデザインを選べば和室にも馴染みます。金属製や原色の本棚は和室では浮きやすいため、避けたほうが無難です。実際に店舗で畳のサンプルと合わせて色味を確認するのもおすすめです。
Q. 本棚を置く場所は和室のどこがいいですか?
壁際が基本です。特に窓がない壁面は日焼けによる本の劣化を防げるため、本棚の設置場所に向いています。直射日光が当たる窓際は、本が日焼けするだけでなく、畳の変色も進みやすくなるため避けましょう。また、エアコンの風が直接当たる場所も本の乾燥や反りの原因になるため、適していません。
Q. 本棚以外で和室に本を収納する方法はありますか?
押入れの活用のほかにも、いくつかの方法があります。籐やラタンのバスケットに本を入れて見せる収納にする方法は、和室の雰囲気によく合います。また、壁に取り付けるウォールシェルフは畳を傷める心配がなく、少量の本やお気に入りの本をディスプレイするのに向いています。積み上げ式のスタッキングボックスも、必要に応じて増やせる柔軟な収納方法です。
この記事を書いた人
田中 由美(たなか ゆみ)
家庭菜園アドバイザー / 畳と家庭菜園のある暮らし研究家自宅の庭で10年以上家庭菜園を実践し、年間20種類以上の野菜を育てています。最初は「次に何を植えればいいかわからない」状態でしたが、年間カレンダーを作ってからは、1年中収穫が途切れない菜園ライフを楽しめるようになりました。菜園教室では500人以上の方の年間計画づくりをサポートしてきました。
まとめ
和室に本棚を置く際のポイントを振り返ります。
- 畳は柔らかい素材のため、重い本棚を直接置くとへこみや跡が残りやすい
- 保護マットや合板を敷くことで、畳への負担を大幅に軽減できる
- ロータイプの本棚が和室には最も適しており、圧迫感なく設置できる
- 木製でシンプルなデザインの本棚を選ぶと、畳や柱と調和する
- 押入れを本棚として活用すれば、畳を傷めずに大量の本を収納できる
- 壁面収納を使う場合は、転倒防止と畳の保護対策を入念に行う
和室は本来、落ち着いて読書を楽しむのにぴったりの空間です。本棚の選び方と設置の工夫を押さえれば、畳を傷めることなく、自分だけの読書スペースをつくれます。
本棚選びと合わせて、和室インテリアの基本や和室の収納アイデアも参考に、居心地の良い和室を仕上げてください。