畳のへこみは、ある程度なら自宅で回復させることが可能です。
「ベッドを動かしたら畳のへこみが残ってしまった」「タンスの位置を変えたら、四角い凹みが消えない」という悩みは、和室を長く使う中で誰もが経験するもの。早めに対処すれば畳の表面はかなり戻せます。
この記事では、畳のへこみを直す手順、家具設置時の予防策、回復が難しい畳のへこみのケースの見極めを解説します。掃除全般は和室の掃除方法、畳替えの判断は畳の種類と選び方とあわせて読むと理解が深まります。
畳がへこむ仕組み
そもそも畳がなぜ凹むのかを知っておくと、対処も予防もしやすくなります。
畳は「畳床(たたみどこ)」と呼ばれる芯材を、「畳表(たたみおもて)」のい草でくるんだ構造をしています。畳床は伝統的にワラを圧縮したもの、最近ではポリスチレンフォームやインシュレーションボードを組み合わせたものが使われます。
家具の重みが長時間かかると、畳床と畳表のい草の繊維が押し潰されて元の厚みに戻りにくくなります。この圧縮された状態が「へこみ」として残るわけです。和室の畳のへこみは年数が経つほど戻りにくくなるため、早めの対処が成否を分けます。

つまり畳のへこみは「い草と畳床の弾性が長期間の荷重で失われた状態」であり、繊維がまだ生きているうちなら水分と熱で再起させられる可能性が高いということ。築年数が新しい畳ほど回復しやすく、古い畳は芯材まで潰れていることが多いので回復は難しくなります。

蒸しタオル+アイロンで畳のへこみを直す手順
軽度の凹みなら、蒸気を当てて繊維を膨らませることで多くは回復します。
用意するもの
- 濡らしてしっかり絞ったタオル1枚
- アイロン(中温・スチーム機能つき)
- 換気用に窓を開ける
手順
1. 凹み箇所にタオルをのせる
凹みより一回り大きいサイズで折り畳んだ濡れタオルを、跡の上にぴったり乗せます。タオルは水が垂れない程度に絞ってください。
2. アイロンを中温で当てる
中温(120〜150℃程度)に設定したアイロンを、タオルの上から30秒〜1分かけて押し当てます。スチーム機能がある場合は併用します。
3. 一旦タオルを外して状態を確認
凹みが浅くなっていれば成功です。まだ残っている場合は、タオルを湿らせ直してもう一度繰り返します。
4. 乾燥させる
仕上げに乾いた布で軽く拭き、半日ほど自然乾燥させます。湿気が残るとカビの原因になるので、必ずしっかり乾かしてください。
注意点
- アイロンを直接畳に当てない(焦げ・変色の原因)
- 高温(綿コース)にしない(い草が焦げる)
- 化学繊維畳・樹脂畳には不可(変形・溶ける可能性)
ドライヤーやスチームアイロンでも代用可能
アイロンが手元にない場合は、スチームアイロンやハンディスチーマー、布団乾燥機の熱風でも代用できます。原理は同じで、繊維に蒸気を浸透させてふくらませる仕組みです。ドライヤーは温度が局所的に高くなりすぎないよう、10〜15cm離して左右に動かしながら当てます。
重い家具を置くときの予防策
凹みは直すより予防するほうが圧倒的に楽です。主な対策を整理します。
コルクマット・敷板を敷く
家具の脚の下にコルクマットや厚手のフェルトを敷くと、荷重が分散して凹みが大幅に軽減されます。脚のサイズより一回り大きい正方形に切って使うのがコツです。
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家具の配置換えを定期的に行う
同じ場所に家具を置きっぱなしにせず、年1〜2回少しずらすだけでも、繊維の圧縮を逃がせます。完全な模様替えではなく、5〜10cm動かすだけでも有効です。
重量物には専用キャスター・耐荷重マット
ピアノやキャビネットなどとくに重い家具は、専用の耐荷重マットを使うのが安全です。一般的なフェルトでは荷重に耐えきれません。
畳のへたり防止には敷物も有効
家具の有無に関わらず、ラグやい草マットを敷いておくと、人の歩行による畳表のすり減りも軽減できます。畳の上に敷くラグの選び方で詳しく解説しています。

予防策をまとめると、「家具の脚にコルクマットを敷く」「年1〜2回家具を5〜10cmずらす」「ロータイプの軽い家具を選ぶ」の3つに集約されます。これらを習慣化するだけで、畳のへこみの発生頻度は大幅に下がります。すでにある凹みも軽度なら蒸しタオル法で十分対応できるので、慌てて畳替えする前にまず試してみるのがおすすめです。

回復が難しいケースと判断基準
すべての凹みが自宅で直せるわけではありません。次のような状態は業者対応を検討しましょう。
自宅で対応が難しい状態
| 状態 | 推奨対応 |
|---|---|
| い草が破れている | 表替えを検討 |
| 畳床まで凹んでいる | 新調が必要 |
| カビ・シミと併発 | 専門業者に相談 |
| 凹み面積が広範囲 | 表替え or 新調 |
| 築20年以上で全体的にへたっている | 新調を検討 |
表替えと新調の費用目安
| 内容 | 1畳あたり |
|---|---|
| 裏返し(築3〜5年) | 4,000〜6,000円 |
| 表替え(築5〜10年) | 5,000〜15,000円 |
| 新調(築15年〜) | 10,000〜35,000円 |
費用は地域と素材で大きく変動するため、複数の畳店から見積もりを取ることをおすすめします。
よくある質問
Q. 凹みを放置するとどうなりますか?
A. 軽度の畳のへこみならば、家具を撤去後に半年〜1年程度で自然に目立たなくなることもあります。い草はある程度の弾性を持っており、荷重が抜ければ徐々に膨らみを取り戻していくためです。ただし長期間の重荷重で芯材まで潰れている場合、自然回復はほぼ望めず、いくら待っても凹みは残り続けます。新しい畳ほど自己修復能力は高いと考えてよいでしょう。少しでも早く戻したい場合は、家具を撤去したその日のうちにアイロン法を試すのが効果的です。
Q. 樹脂畳(プラスチック畳)にもアイロン法は使えますか?
A. 使えません。樹脂は熱で変形・溶けるため絶対に避けてください。樹脂畳の凹みは基本的に直らないので、予防が最優先です。
Q. キャスター付きの椅子を畳の上で使うのは大丈夫ですか?
A. 畳が大きく傷みます。チェアマットを敷くか、キャスターのない椅子を使うのが推奨されます。テレワークでの利用は和室をテレワークスペースにするレイアウトも参照してください。
Q. 子どもが落書きやシール跡をつけた凹みも直せますか?
A. 凹み自体はアイロン法で対応できますが、色素汚れやシール糊が残ると見た目は完全に戻りません。汚れ落としは和室の掃除方法の畳の掃除セクションを参考にしてください。
Q. 畳のへこみを未然に防ぐ最強の組み合わせは?
A. 「ロータイプの軽量家具」+「家具脚下のコルクマット」+「年1回の小さな配置換え」の3点が現実的な最強コンビです。とくに重量物のあるリビング兼用の和室では、この3つを徹底するだけで、新調までの寿命を2〜3年延ばすことが期待できます。畳のへこみは一度ついてしまうと修復に手間がかかるので、家具を置く前段階での予防が何よりの近道です。
まとめ
軽度の畳のへこみは、蒸しタオルとアイロンの組み合わせで多くは回復します。家具を置くときはコルクマットや敷板で荷重分散を行い、年1〜2回の配置換えで畳を労わりましょう。畳のへこみが深く、い草の破れや芯材まで潰れた場合は早めに畳店へ相談するのが安心です。日々のちょっとした工夫で、和室の畳は長く美しい状態を保てます。